犬の心室中隔欠損症 | 症状や原因、治療・予防法など認定医が解説

犬の心室中隔欠損症 | 症状や原因、治療・予防法など認定医が解説

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犬の心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)は、「中隔」と呼ばれる左右の心室を隔てる組織が十分には発達せず、穴が閉じないままになっている病気です。今回は、犬の心室中隔欠損症の原因や症状、検査・診断、治療法などについて獣医循環器認定医の佐藤が解説します。

犬の心室中隔欠損症の基礎知識

先天性心疾患の一つで、左右短絡性疾患です。「中隔」と呼ばれる左右の心室を隔てる組織が、胎児期や出生後に十分には発達せず、穴が閉じないままになっている病気のことを指します。それによって、正常な状態とは逆に左心室から右心室へ血液が流れ込み、やがて肺に負担がかかるようになってしまうのです。欠損口は膜性周囲部、筋性部、肺動脈弁下部に分けられます。

かかりやすい犬種

犬の先天性心疾患の中では6.2-15.2%と報告され、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル遺伝性疾患の可能性があると考えられています。

かかりやすい年代

  • なし

症状

  • 軽度は無症状
  • 中等度を超えるとチアノーゼ
  • 運動するとすぐに疲れる
  • 発育不良
  • 呼吸困難

原因

  • 先天性:左右の心室を隔てる組織「中隔」の欠損

治療

  • 外科手術
  • 経過観察

早期に発見し手術すれば、健康な犬と変わらない寿命をまっとうできる可能性が高くなります。すでに心不全の症状を呈している場合は、血管拡張剤や強心薬、利尿薬、肺高血圧症治療薬の投与などによる内科的治療を行います。
しかし内科的治療は進行を抑えるためのもので、完治させることはできません。また、心臓の欠損孔が自然に閉じることもあるが、ごくまれで期待できるものではありません。

検査・診断

  • 身体検査による聴診
  • レントゲン検査
  • 心電図検査
  • 心臓超音波検査
  • 心臓カテーテル検査

予後

  • 軽度であれば良い
  • 外科手術の成功により予後は良い

予防

  • 予防はできないため、早期発見・早期治療が重要

対処法・応急処置

  • なし