【獣医師執筆】犬が痩せる原因は?痩せすぎの判断方法や病院に連れて行くべき症状を解説

【獣医師執筆】犬が痩せる原因は?痩せすぎの判断方法や病院に連れて行くべき症状を解説

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犬が痩せる原因は食生活の問題から病気、シニア犬(老犬)の正常な老化などさまざまです。どれくらいの体重減少が危険かを知り、食欲の有無や頻尿、毛が抜けるなどの症状がないかも確認しましょう。今回は犬が痩せるときに考えられる原因や対処法について、獣医師の佐藤が解説します。

犬が痩せる場合に考えられる原因

チワワ

犬が痩せる場合、大きく二つの原因が考えられます。

  1. 食事や運動など日常生活の問題
  2. 病気

1. 日常生活の問題による体重減少

病気ではなく日常生活に問題があって犬が痩せる場合、原因として以下の3つが考えられます。

  1. 摂取カロリーの不足
  2. 消費カロリーの増加
  3. 老化による栄養吸収率の低下

1-1. 摂取カロリーの不足

食事から摂るカロリーが足りていなければ、必然的に体重が落ちて痩せます。特に子犬期(成長期)で、ペットショップやブリーダーさんから教わった量をそのまま与え続けて栄養が足りていないケースがよく見られます。

成犬期でもフードを変えた際に与える量が不足すると痩せてしまいます。パッケージに書かれた量はあくまで目安です。犬ごとに最適なごはんの量、摂るべきカロリー量になっていなければいけません(※)

私たちと同じく痩せやすい・太りやすい体質もあれば、同じ体重でも運動量が多い犬と少ない犬や不妊去勢手術の有無などで食事量は異なります。平均値としての推奨量ですので、愛犬に合った量を与えるようにしましょう。そのためには、class="under-line">1ヶ月に1度は体重を測り、増減を確認し、増えていてBCSも理想体型より増えたらカロリーを減らす、減っていてBCSも理想体型から減ったらカロリーを増やすようにしましょう。

愛犬にとってのフードの適正量を知るために、毎日の与えるカロリー量を計算しましょう。毎日の最適必要量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

愛犬のカロリー計算をする

PETOKOTO FOODS





1-2. 消費カロリーの増加

活動量の多い犬では、消費カロリーが摂取カロリーを上回って体重が落ちてしまう場合があります。散歩時間やお出かけ回数、同居動物と遊ぶ時間によって消費カロリーが増えていないか、ごはんの量が足りなくなっていないか、定期的に確認しましょう。

1-3. 老化による栄養吸収率の低下

年を取ると消化器の機能低下によって栄養の吸収率が低下し、食欲旺盛でも筋肉量や脂肪量が減ってだんだんと痩せていきます。急激な減少でなければ、シニア犬(老犬)の体重減少は避けられない変化と言えます。


2. 病気による体重減少

病気が原因で痩せてしまうこともあります。病気で痩せる、痩せるから病気になるという悪循環に注意が必要です。

犬が痩せるときの原因として考えられる病気

愛犬が痩せてしまう場合にご自宅で病気かどうかを判断していただく目安として、痩せ方を分類しました。病気のステージによって分類とは異なる痩せ方、原因になります。あくまで初期段階での目安としてください。

痩せ方(初期段階)
考えられる原因
元気なのに痩せる 寄生虫、膵外分泌不全、消化器疾患
食欲があるのに痩せる 寄生虫、膵外分泌不全、消化器疾患、甲状腺機能亢進症(まれ)
食欲がなくなって痩せる あらゆる疾患
急に痩せる 糖尿病、寄生虫、膵外分泌不全、消化器疾患、肝臓病など
緩やかに痩せる 糖尿病、寄生虫感染、膵外分泌不全、心臓病、消化器疾患、腎臓病、巨大食道症など
多尿・頻尿を伴って痩せる 糖尿病、腎臓病
脱毛を伴って痩せる 甲状腺機能亢進症(まれ)
上記を含むあらゆる状態で痩せる 腫瘍性疾患(悪性腫瘍)

各病気の概要

病気 症状・原因・治療法
内分泌疾患 糖尿病 糖尿病になるとインスリンの分泌量が不足して食事をエネルギーに変えることができなくなります。代わりに体内の筋肉や脂肪を分解してしまうため、痩せてしまいます。ご家庭でのインスリン注射が必要になります。
甲状腺機能亢進症 甲状腺が働きすぎて甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、全身の代謝が過剰になって痩せてしまいます。猫に多く犬ではまれです。
消化器疾患 口腔内疾患 口内炎、歯周病などが原因で食べる際に痛みを感じたり、食欲不振になったりして痩せてしまいます。
巨大食道症 食道拡張症とも呼ばれ、食道の機能が低下して食べたものを胃に送ることができずに吐いてしまいます。栄養が摂れずに痩せてしまいます。
膵外分泌不全(すいがいぶんぴふぜん) 膵臓から消化酵素が分泌されなくなり、栄養を吸収できずに痩せてしまいます。下痢や白っぽい便が見られますが、食欲には影響しません。膵炎や遺伝(ジャーマンシェパードなど)が原因の場合もあります。
肝臓病 胃腸で分解された栄養は肝臓を通って全身で利用されます。そのため肝臓の機能が低下すると栄養が摂れずに痩せてしまいます。
腎臓病 さまざまな原因によって腎臓の機能が低下する「腎不全」が慢性化すると「慢性腎不全」となります。初期では腎臓が濃縮できなくなった尿を薄めるため多飲多尿が見られ、次第に食欲が低下して痩せていきます。
寄生虫 鉤虫(こうちゅう)や回虫、条虫、鞭虫(べんちゅう)、糞線虫(ふんせんちゅう)などが体内に寄生虫して栄養不良を起こし、体重減少につながります。下痢や貧血を伴うこともありますが、食欲には影響しないことが少なくありません。定期的な駆虫で予防できます。
その他 胃腸炎、大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、タンパク漏出性腸症など。
腫瘍性疾患(悪性腫瘍) 悪性腫瘍(いわゆる「がん」)の刺激によって、本来はウイルスなどの病原体を攻撃する「炎症性サイトカイン」が過剰放出されます。それによって体全体で炎症が起こり、急激に体力が失われて代謝機能も衰えます(栄養不良)。これが「がん悪液質」と呼ばれる状態で、足りないエネルギーを補うために筋肉や脂肪の分解が進んで痩せてしまいます。
心臓病 心臓の機能が低下すると全身に栄養を送ることができず痩せてしまいます。老化による機能低下として起こることも少なくありません。

犬が痩せる場合に確認すべき症状

診察を受けるヨークシャーテリア

犬が痩せる原因をたくさん紹介しましたが、飼い主さんとしてはどれくらい緊急度が高いのか判断しにくいと思います。以下の症状が見られた場合は、できるだけ早く動物病院に行くようにしてください。

  1. 急に痩せる、痩せすぎ
  2. 食欲旺盛なのに痩せる
  3. ごはんを食べない
  4. 下痢が続く
  5. 多尿・頻尿、毛が抜けるなどの症状が見られる

1. 急に痩せる、痩せすぎ

体重減少の目安として、普段の体重が10%減った場合は何か問題が起きている可能性があります。例えば60kgの人が急に6kgも痩せたら病気の心配をしますよね。しかし3kgの小型犬が300g減ったときは誤差と感じがちです。300gでも3kgの子にとっては10%。急に10%も減るというのは異常なことだと考えてください。

2. 食欲旺盛なのに痩せる

運動量も食事量も変わらず、しっかり食べているのに痩せる場合は、「エネルギーが過剰に消費されている(代謝異常)」「栄養が吸収できていない(栄養不良)」「栄養が奪われている(悪性腫瘍、寄生虫など)」といった問題が起きている可能性が高いです。


3. ごはんを食べない

普段からよく食べていて食事を変えたわけでもないのに急に食べなくなった場合は、食事ではなく体に問題があるかもしれません。具合が悪くて食欲がないのか、口の中が痛くて食べられないのか、原因を調べなくてはいけません。




4. 下痢が続く

下痢は食事の変化や環境の変化によるストレスでも見られます。下痢以外の症状・変化が見られない場合は1〜2日は様子を見て大丈夫ですが、改善しない場合は消化器疾患や寄生虫の可能性があります。




5. 多尿・頻尿、毛が抜けるなどの症状が見られる

体重減少だけでなく頻尿が見られる場合は糖尿病や腎臓病、脱毛が見られる場合は甲状腺機能亢進症の可能性があります。いずれにしても体重が減って他にも症状があるということは何か問題が起きているということです。なるべく早く病院へ行ってください。


犬が痩せているかを体重以外で確認する方法

チワワ

犬の体重は犬種によってもばらつきが大きいため、「太っている」「ちょうど良い」「痩せている」の区別は体重ではなく体型で確認します。この体型をスコア化して評価できるようにしたものをBCS(ボディコンディションスコア)といいます。

5段階法と9段階法があり、5段階法ではBCS3が理想の体型です。9段階法ではBCS4〜5が理想の状態ですが、基本的には評価基準は同じなので5段階法についてご説明します。これはお家でも確認できるので、ぜひ愛犬の体型をチェックしてみてください。

ボディコンディションスコア(BCS)

BCS1 痩せ 助骨、腰椎、骨盤が容易に見え、触っても脂肪がわからない状態。腰のくびれと横から見た際の腹部の吊り上がりが顕著です。背骨がゴツゴツと見える場合もあります。
BCS2 やや痩せ 助骨が容易に触れます。上から見て腰のくびれが顕著、横から見て腹部の吊り上がりも明瞭な状態です。
BCS3 理想体型 過剰な脂肪の沈着がなく助骨を触れます。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見た際は腹部の釣り上がりも見られます。
BCS4 やや肥満 脂肪の沈着はやや多いものの、肋骨は触れます。上から見て腰のくびれはありますが顕著ではなく、腹部の釣り上がりはやや見られる程度の状態です。
BCS5 肥満 助骨は厚い脂肪に覆われて容易に触れません。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着しています。腰のくびれはないか、ほとんど見られません。横から見て腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている状態です。

犬が痩せる場合に食事の見直しもおすすめ

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犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。

1. 総合栄養食を適量与える

犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。


2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。

そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。

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実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。

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毎日の健康チェックで早期発見・早期治療を

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犬は人間の言葉を話すことができませんので、異変を感じていてもそれをすぐに伝えることができません。そのため見た目にわかるほど体重が減って元気がなくなり、さまざまな症状が出てきたときには重症だったということが珍しくありません。

言葉ではなくても犬は何かしらのサインを出しているはずです。ちょっとずつ体重が減っていないか、見た目で痩せている兆候がないか、行動に気になる変化がないかなど、飼い主さんが異変にすぐ気づけるようにしてあげてください。


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