ラブラドール・レトリーバーは「POMC遺伝子」で太りやすい!? ケンブリッジ大学から報告

ラブラドール・レトリーバーは「POMC遺伝子」で太りやすい!? ケンブリッジ大学から報告

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ヒトも肥満は長寿の大敵ですが、実は犬の肥満も大変危険な状態。もし愛犬が肥満になりやすい体質だったら……不安ですよね。犬が長生きする上で大切な遺伝子が、ラブラドールレトリーバーでは突然変異しやすいということを、英ケンブリッジ大学の遺伝学者兼獣医師たちが報告しました。

長寿に大切なPOMC遺伝子

今回の実験で調査されたPOMCとは「プロオピオメラノコルチン」と呼ばれる241個のアミノ酸残基からなるポリペプチド前駆体、つまり遺伝子のこと。体温調節、肥満調節、心臓循環系の制御・学習や記憶、免疫機能の制御など多様な作用を担うとされており、長生きをするには欠かせないものなのです。このPOMCが変異してしまうと肥満につながってしまいます。人間も同様で、肥満症に苦しむ人々もこのPOMCに問題があるのだとか。

ラブラドール・レトリーバーはPOMC遺伝子を壊してしまう?

今回行われたイギリスの実験では、ラブラドールレトリーバーの中でも、肥満の犬15匹と細身の犬18匹に分けて遺伝子を調査。その結果、肥満のラブラドールレトリーバーにはPOMCの突然変異が起こっていたことが発見されました。

この突然変異は、神経刺激性のペプチドの産生機能が破壊されることによって起こるようです。つまり、「満腹状態である」という情報を脳に伝達する脳内化学物質を阻害してしまうため、突然変異が起きた犬は食欲が満たされず、際限なく食べ続けてしまうのです。ラブラドールレトリーバーの他に、フラットコート・レトリーバーでも突然変異が起こることが確認されていますが、他の犬種ではまだ報告されていません。

犬も人間も、肥満は寿命を縮める原因

先進国において、犬の肥満率は34%から59%と言われています。肥満は言わずもがな、運動不足やハイカロリーの食事の摂取によって起こります。そして犬の肥満は人間と同じように、寿命の減少やさまざまな病気を引き起こしてしまうのです。考えられる犬の肥満防止策は、飼い主が運動やダイエットをさせること。しかしその努力に関わらず、今回のラブラドールレトリーバーのように遺伝的要因によって肥満になってしまうことが明らかになってしまいました。

命にも関わってしまう肥満。今回はイギリスの研究ということもあり日本に生息しているラブラドールレトリーバーとどのくらい関連性があるかは明らかにされていませんが、ラブラドールレトリーバーを飼う方たちは体調や食事管理に気を付けてみてくださいね。

今回の実験について詳しい調査結果を知りたい方は、こちらから閲覧できます。