【獣医師執筆】犬の肉球の役割とは?腫れやザラザラの原因やケア方法を解説

【獣医師執筆】犬の肉球の役割とは?腫れやザラザラの原因やケア方法を解説

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犬のシンボルマークとしてもよくイラストにも使われる肉球。ポップコーンのような香ばしい匂いの犬の肉球は、実は大事な役割があります。そのため、愛犬の肉球が赤く腫れたり、怪我をしたり、色が変わったりなど、何か変化があれば、動物病院へ連れて行ったり、肉球クリームなどを使ったりしてケアをしてあげましょう。

犬の肉球の役割

犬の肉球

犬の肉球の役割01:滑らずに歩ける

犬の肉球の表面を見てみると、細かい組織が密集し、雪の上や凍った地面の上でも滑らずに走るためザラザラしていることが多いです。

犬の足は爪がスパイクの役割をし、肉球が滑り止め役割をしているのです。

犬の肉球の役割02:クッション

犬の肉球は触ってみると柔らかく弾力があります。そのため足音を消すことができます。

犬は、野生時代は狩りをして暮らす肉食獣でした。柔らかい肉球は足音を消す役割があったのです。

また、犬の肉球は体重を支えるだけではなく、獲物を追って走ったりジャンプしたりする際のクッションの役割もしていました。

犬の肉球の役割03:体温調節(汗をかく器官)

犬が体温調節をする場合は口を大きく開けて熱を放出するパンティングを行います。パンティングだけでは体温調節できない場合、肉球から汗を出すことで体温調節を行います。

他の器官には汗をかく機能は無いのですが、肉球にだけはほんの少し汗腺が存在しています。

肉球にある汗腺の多くはアポクリン汗腺で、そこから出る汗は多くはマーキングのための臭い付けや肉球を保湿するための汗です。

人間と同じエクリン腺も多少存在しているため体温調節の機能もわずかながらあります。


犬が肉球を執拗に舐める理由

飼い主の手を舐める犬

犬が肉球を執拗に舐める理由01:肉球に異常がある

犬は基本的に自分自身でグルーミングしません。それなのにしょっちゅう愛犬が肉球をなめる様子が見られるときは、肉球に何かしらの異常がある可能性があります。

犬の肉球の異常には「乾燥でカサカサしている」「炎症を起こしている」「怪我をしている」ことなどが考えられます。

多少の乾燥程度では気にする様子はあまり見られません。犬が肉球を気にするような仕草を見せるときは、痛みがあったり痒みがあったりするときのため、愛犬の肉球に異常がないか確認してあげましょう。

犬が肉球を執拗に舐める理由02:ストレス

肉球に異常がなくてもストレスによって自分の体を舐め続けることがあります。

「運動不足」や「飼い主さんとのスキンシップ不足」「新しい家族が増えた」「引っ越しなどの環境の変化」によってもストレスを感じることがあります。

放置すると舐めるだけではなく自分の体を噛んだり、傷つけてたりする場合があるので、ストレスが原因と考えられる場合はなるべく取り除いてあげるようにしましょう。

ストレスの原因がわからないときは獣医師など専門家に相談することをおすすめします。


犬の肉球トラブル

犬の肉球

犬の肉球は表面に血管が通っていないため、怪我や炎症が起こった際には治りが遅いという面があります。

肉球は愛犬が健全な生活を送るために大事な器官のため、普段から気を付けてあげましょう。

犬の肉球トラブル01:やけど

犬の肉球の表面は厚い皮膚で覆われていますが、夏場のアスファルトやコンクリートの温度は60度以上になることもあり、その上を犬が歩くとやけど負ってしまいます。

肉球が火傷する恐れがある温度は42度以上です。現在の日本の夏は簡単にその温度に達する可能性が高いため、熱中症だけでなくやけどにも注意が必要です。




犬の肉球トラブル02:カサカサになる

犬の肉球によく見られる不調が、肉球が乾燥してカサカサになってしまうことです。カサカサし、弾力性が失われると、硬い地面を歩いたり石の上を歩いたりしたときにひび割れから出血する恐れがあります。

犬が地面をたくさん歩いているうちに肉球が硬くなってくるのは普通のことですが、弾力が失われたような状態でカサカサになってはがれる場合はケアが必要です。

>犬の肉球トラブル03:肉球が腫れる・赤くなる(指間炎)

犬の肉球によく見られるのが指と指の間などに炎症が起こる指間炎という症状です。

指間炎の原因としては、何らかの怪我が原因で炎症を起こしたものや皮膚病などがあげられます。犬にもアトピーやアレルギーがあり、それが指間炎の原因となることがあります。

指間炎を放置すると、かゆいあまり肉球を激しくかじってしまい、より症状がひどくなるため、必ず獣医師さんに診てもらいましょう。


犬の肉球が冷たい場合の原因

ソファの下から足を出す犬

通常、犬の足はひやっとするほど冷たくなる事はありません。犬の足は冷たい雪の中でも凍ることなく、歩くことが可能な構造になっています。

しかし、何らかの原因で「体調が良くない」または「高齢で代謝が落ちている」ことなどにより足が冷たくなることがあります。

犬の足が冷えているときは、体全体も冷えているときが多いため、そのときは足をマッサージしてあげたり、体全体を温めてあげたりするなど血流を良くしてあげる必要があるでしょう。


犬の肉球のお手入れケア

肉球を見せる犬

犬用の保湿クリームを使う

犬の肉球用の保湿クリームが市販されています。それらは犬用に作られているので使い勝手も良いですし安全です。

C°35 肉球ケアジェルクリーム【小型犬用】


保湿・滑り止め効果に優れた肉球クリームです。滑りやすく摩擦を受けやすい小型犬の肉球をダメージから守ります。天然成分が深部まで保湿成分を運び、潤いと弾力を与えます。滑りやすいシニア期には、小型犬用がおすすめです。

ブランド Aliel&C。(アリールアンドシー)
容量 25g
全成分 水/グリセリン/BG/トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル/ポリアクリルアミド/ヒアルロン酸Na/フラーレン/PVP/水溶性プロテオグリカン/リンゴ果実培養細胞エキス/キサンタンガム/レシチン/シロキクラゲ多糖体/ローヤルゼリーエキス/グリチルリチン酸2K/馬油/ベタイン/水添ポリイソブテン/ラウレスー7/トコフェロール/ユビキノン/ペンチレングリコール/1,2-ヘキサンジオール/カプリリルグリコール/フェノキシエタノール

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人間用の保湿クリームはNG

人間用の保湿クリームなどは犬には使用しないでください。犬はクリームを舐めてしまう可能性が高いです。

人間用の保湿クリームは犬が舐めることに配慮して作られていないため、使用するのはやめましょう。

ワセリンを使ってケアする

市販のクリーム以外に犬の肉球のケアに効果的なのはワセリンです。通常の人間用の保湿クリームなどは犬に使うべきではありませんが、ワセリンは安全性が高いため、犬に使うことができます。

使い方は犬の肉球に薄く塗ってあげるだけです。塗った後に犬がすぐに舐めとってしまわないように肉球をマッサージしたり、手で包んであげましょう。

20〜30秒ほど肉球を手で包んであげるだけでかなりワセリンがなじみます。もしベタつくときや犬が気にするときはなじませた後にティッシュで拭き取ってしまっても構いません。

犬の肉球をケアしていつでも健康に!

犬と人の手
犬の肉球は「滑り止め」「クッション」「体温調節」などの役割がある
肉球を頻繁に舐めるときは異常がある可能性が高い
日頃から肉球クリームで保湿をしましょう
肉球は愛犬が歩いたり走ったりという日常生活を健全に送るために大切な箇所です。

特に老犬になると肉球もトラブルを起こしがちになります。年をとっても肉球が健康であることが良い犬生を送ることにもつながります。

日常の簡単なケアによって守ってあげることができますので気にかけてあげましょう。