小池都知事が滝川クリステルさんと対談 「2020年を期限として『殺処分ゼロ』を実現する」

小池百合子東京都知事が26日(金)に行われた「アニマル・ウェルフェア サミット2016」に登壇し、同イベントを主催する一般財団法人「クリステル・ヴィ・アンサンブル」で代表を務める滝川クリステルさんと対談しました。

今回の登壇は公約として掲げた「ペット殺処分ゼロ」に関する初の公務で、会場となった東京大学の福武ラーニングシアター(本郷キャンパス)は立ち見が出るほどの来場者となりました。小池都知事は「東京殺処分ゼロを目指して」をテーマに、今後どのような取り組みをしていくか約20分にわたって話し、自身の経験・思いを交えた話に会場からは拍手が出る場面も見られました。

小池都知事が滝川クリステルさんと対談

この1文は入れたいと思って「殺処分ゼロ」を盛り込んだ

滝川:リオオリンピック閉会式でのフラッグハンドオーバーセレモニーお疲れさまでした。雨の中で大丈夫でしたか?

小池:大丈夫でした。皆さん、「着物が濡れて大変だったんですね」っておっしゃるんですが、私は風邪をひいたんですけどね。そちらのほうは気遣っていただけず(笑)。でも、(滝川クリステルさんの)「オ・モ・テ・ナ・シ」から(2020年の東京オリンピックは)始まっているわけですよね。

滝川:大変感慨深い思いで見ておりました。ありがとうございます。

その興奮もさめやらぬ中、2020年というのがポイントでして、私たちの財団では「アニマルウェルフェアにのっとった『殺処分ゼロ』を目指していこう」と掲げています。都知事は七つの公約の中に、「殺処分ゼロ」を掲げていらっしゃいます。都知事では初めて公約として言及されたと思います。

小池:ペットのことに思いをはせて立候補したのは、たぶん初めてだと思います。私は環境大臣を務め、その後も自民党の動物愛護の議員連盟を会長まで務め、(犬猫が生まれてから親と過ごす期間を最低でも)7週にするのか8週にするのか、夜の動物の販売について時間帯はどうするのか、マイクロチップの話など、行政と業界関係者の方々、獣医さん、そして熱心な議員の方々もおられて、いろいろなことを話す場を取りまとめる仕事を何年もやっていました。

日本でペットの殺処分がひどい状況で行われているのはよく存じておりました。ペットの存在は社会の中でもとても大きいじゃないですか。人の殺人となると大変なことであるけれど、ペット(の殺処分)になると「あらそう?」みたいな話になる現状には大変不満を抱いておりました。(殺処分の話が)都知事選にふさわしいかは別としても、私は「ぜひこの1文は入れたい」と思いまして、盛り込んだわけです。

(会場拍手)

滝川:皆さん本当に思いを持って今日のイベントに参加して、そういったお言葉をうれしく思って拍手をされたかと思います。

滝川クリステルさん

2020年を期限として、ペットと共生する社会の実現を目指す

滝川:まずは法律、規制が進んでいないのが現状ですよね。そういう部分に関して、「国として」という話でもありますが、(東京都としては)いかがでしょう。

小池:そうですね。それでも都知事になって、条例という形がとれると思います。今まで(議員連盟の会長として)いろいろな議員や業界をまとめていく役割でしたけど、これからは都知事として何ができるのか。(殺処分)ゼロを目指すために何が必要なのか。ゼロを目指すがために、かえって別の問題が起こるのではないか。いろいろな自治体の良い例もあるし、課題もありますし、そういったところをしっかり見ていきたいと思います。

ちなみに、最新の東京都の実情を申し上げますと、殺処分は平成27年で816匹。その中でいわゆる安楽死などを除くと実質の殺処分が203匹になっています。他にも大変頑張っておられる地域も多いのですが、東京の大きさを考えますと、ゼロを目指すにはだいぶ良いところまで来ているのではないかなと思います。

一方で、日本は「少子多犬化」と言われている時代ですよね。犬猫の数のほうが新しく生まれてくる子どもの数より多いという状況があって、高齢化が進んでいます。高齢の方も癒やしになるペットをかわいがっているんですけど、その後、面倒を見られなくなってしまうという事情もあるんですね。

(殺処分を)ゼロにするとは言っても、物事はそう簡単ではないではない。けれど、これからの日本の社会のあり方を考える上で、2020年のオリンピック・パラリンピックという一つの期限を設定した上で、東京都で、ペットと共生する社会を作る良い例を示せるようにしていきたいなと思います。

慈しむ気持ちを持った子どもを育てていく

滝川:殺処分ゼロを目指す上で、具体的にどういったことをやっていこうと考えていらっしゃるのでしょうか。

小池:やはり人間教育から始めるのが一番早いのではないかなと考えています。慈しむ気持ちを子どものころからちゃんと育てていくことに力を入れるべきです。

2002年にドイツが憲法にあたる基本法(ドイツ連邦共和国基本法)を、動物にも権利があるということで改正したんですね(動物保護規定の導入)。日本では「憲法改正」というと違ったふうに捉えられるんですが、そのような国があるんだというのに大変衝撃を受けました。

滝川:ヨーロッパ諸外国は動物先進国として特に進んでると思うんですけど、(日本が経済的に先進国である中で)、この部分で(日本が)すごく遅れているということは否めないわけです。東京として、2020年までに(殺処分ゼロを)達成していくというわけですね。

小池:そうですね。NPOの方々、市区町村にも都がバックアップしていきます。ただそれはガス室送りのためではなくて、引き取り手を探すであるとか、そちらにお金が使われてこそ、税金が生きてくると思います。

(会場拍手)

滝川:今おっしゃったように、(現在は)殺処分するために多額の税金が使われているわけです。それは誰もが望んでいるわけではないはずなんですけど、知らぬ間にそういう使い道になってしまっている。皆さん救う方に使いたいはずです。

小池:日本は子犬。小さなわんちゃんが好まれ過ぎますよね。その意味で「8週」というのがあるんですが、「正しくアニマル・ウェルフェアの中で育てられてきたペットをかわいがっていく」ためのルール作りをしていく。虐待をしないようにする。不妊の手術など(税金の使い道として)いろいろな方法があるかと思います。それから譲渡も各地で良い例がありますから、それを学んでいくということがあるかと思います。

小池百合子東京都知事

阪神大震災のときに引き取った被災犬「ポコ」と「リリー」

小池:私、阪神大震災のときに、(被災地の)ど真ん中にいたんですね。そのとき仮設住宅どころか避難所にも、わんちゃんねこちゃんを連れていけない。今回の熊本地震でもペットのためにずっと車の中で一緒にいて、エコノミークラス症候群になって大変だったという例もたくさんありますよね。

阪神大震災のとき、ある公園にみんなが預かれない犬猫の集まり場があって、そこでちょっとお手伝いしまして。ポコちゃんという白内障の雑種なんですが、どう見ても目が真っ白で誰も引き取り手がないだろうなというポコちゃんと、あとビーグル犬なんですけどリリーという名前を付けまして。ポコちゃんは老齢でそのあと数年で亡くなって、リリーのほうはちょうど選挙が重なりまして、みんな選挙で忙しくしているときに逃げて見つからなくなっちゃったんです。確か(滝川クリステルさんも)被災犬を。

滝川:福島の浪江町にいた子を引き取りました。小池都知事も2匹そちらで引き取られたんですね。共通点がありましたね。でも(リリーは)選挙活動中にいなくなってしまったと。

小池:選挙活動でみんなが忙しくしてるときに家出してしまいまして。ポスターを貼ろうと思っても、選挙期間中は住所を書くと選挙違反になるので、いろいろ考えなくちゃいけなくて。

滝川:そうだったんですね。

心にゆとりが持てる東京へ

滝川:これから2020年に向けて、どんな東京を描いていらっしゃいますか?

小池:心にゆとりを持つ。私は長時間労働という、高度成長期を支えてきた日本人の勤労の精神は素晴らしいと思うんですね。しかしながら長時間働けば良い仕事ができるわけではなく。「ワークライフバランス」って言いますが、私はそれをひっくり返して「ライフワークバランス」だと思ってるんです。まず人生があって、それからワークがあるべきだと思うんです。

都庁でも、長時間残業しているところは罰するか、残業を減らしたところはご褒美にするか考えているところなんです。そうすると心の余裕ができて自己研さんもできますし、ペットとともに過ごす時間も増えていく。そういうことで生き方そのものを考えてみたらどうかなと。それを都庁で最初にやってみようと思ってます。

滝川:ゆとりを持つ。動物も含めて向き合えるような余裕を持てるようにということですね。

小池:最後に、私は3年前に母を亡くしたんですけど、末期がんでしたので病院では治しようがないわけで、母が「家に帰りたい」と。「犬がいるから」と。おうちのわんちゃん、「そうちゃん」て言うんですけど。

滝川:セラピーという意味でも、いかにお互い助けあっているかということですよね。

小池:まあ、わんちゃんについてなら、あと1時間でも2時間も話せるんですが(笑)。

滝川:「東京殺処分ゼロ」を達成するために、何かしらお手伝いできればと思います。今日は本当にお忙しい中ありがとうございました。

小池都知事と滝川クリステル

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