犬が目を細める理由と注意すべき病気を獣医師が解説

犬が目を細める理由と注意すべき病気を獣医師が解説

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犬が目を細める理由として、「緊張・ストレス」「眠い・リラックス」「まぶしい」といった生理的な理由と、「異物が目に入った」「アレルギー」「目の病気」など病的な理由の二つが考えられます。原因をさぐるためにも、体や行動の変化・サインをしっかり確認しましょう。獣医師の佐藤が解説します。

犬が目を細める理由

犬が目を細める理由として、大きく「生理的な理由」と「病的な理由」の二つに分けることができます。

生理的な理由 緊張・ストレス 知らない人や犬、環境への敵意、警戒、怯え、服従の意思表示など
眠い・リラックス 安心感や信頼感などの愛情表現
まぶしい 寝起きや外からの日差しなど
病的な理由 異物が目に入った違和感や痛み ホコリ、砂、トゲ、虫、毛、シャンプー剤など
アレルギー 花粉、食物、アトピーなど
角膜への刺激 逆さまつ毛、マイボーム腺腫など
目の病気 緑内障結膜炎、ぶどう膜炎、角膜炎、ドライアイ、白内障、水晶体脱臼、目の寄生虫など


1. 生理的な理由で犬が目を細める場合

寝るトイプードル

単純に「眠い」「まぶしい」といった理由で目を細めている場合もありますが、緊張やストレスがサインとして体に現れている場合があります。そのサインは犬の「ストレスサイン」や「カーミングシグナル」と呼ばれます。

足を舐めたりかじったり、尻尾を噛む、吠えるなどの行動のほか、目を見開いたり逆に目を細めたり、まるで笑っているように見える「ストレススマイル」と呼ばれる反応もあります。「笑っている」と感じても実際は緊張やストレスのサインかもしれません。人の目線で勝手に解釈せず、犬目線で原因を探ってあげることが大切です。

カーミングシグナルは自分や相手の気持ちを落ち着かせるために取る「行動」で、こちらも何かしらの緊張やストレスが原因になっています。いずれにしても下痢や嘔吐など体の不調につながり、原因がわからない・取り除くのが難しい場合は、行動診療に強い獣医師やドッグトレーナーに相談するといいでしょう。


2. 病的な理由で犬が目を細める場合

最初に考えられる理由は「異物が目に入った違和感や痛み」です。特に散歩中や散歩から帰ってきた時など、急に目を細めている時はこの可能性が高いでしょう。無理のない範囲でホコリや砂、トゲ、虫などが目に入っていないか確認してみてください。家でもホコリや毛が入っている場合があります。

ゴミや毛など異物が混入している場合は取り除いてください。少量の水道水を数滴垂らし、まぶたを優しく開閉してコットンなどで軽く拭き取ります。目薬は市販品でも「ワンクリーン」などの無添加の人工涙液であれば使用しても問題ありません。無理に取ろうとすると逆に目を傷付けてしまう場合もあり、難しい場合は病院で除去します。


かゆくて目を細めている場合は「花粉症」や「食物アレルギー」「アトピー性皮膚炎」などでが考えられます。アレルギーが疑われる場合はアレルギー検査を受けることで原因(アレルゲン)が特定できる場合もあります。

目の病気では「結膜炎」や「角膜炎」「緑内障」や「白内障」「ぶどう膜炎」「ドライアイ」「水晶体脱臼」「目の寄生虫感染」などの可能性があります。涙や目やにの増加、白目の赤み、物にぶつかるといった行動の変化などが見られる場合は、早めに動物病院へ行くようにしてください。


まとめ

目をしょぼしょぼさせている犬
犬が目を細めるのは何かしらのサイン
ストレスや病気が原因の場合も
原因がわからない場合は専門家に相談
犬は眠いときだけでなく、ストレスや病気が原因で目を細めている場合があります。人目線で「笑っている・リラックスしている」と勝手に解釈してしまうと、愛犬の大事なサインを見落とす可能性もあります。いつもと違う様子が見られた場合は、早めに獣医師やドッグトレーナーなど専門家に相談するようにしてください。