犬猫に優しいがん治療を 活性化リンパ球療法のメリット・デメリット – ペットの免疫療法vol.2 –

株式会社J-ARMの獣医師、遠矢です。前回は「がん免疫療法」のお話をする前段として「がん治療」の種類を紹介しました。最初に、少し復習してみましょう。

現在、がん治療にはがん免疫療法も含めた「外科療法(手術)」「化学療法(抗がん剤)」「放射線療法」の三つがあります。また、がん治療には「根治療法」と「緩和療法」といった二つの考え方があるというお話しをしました。

そして今回のテーマである、がん免疫療法は、緩和療法の最たるものです。大切なワンちゃん・ネコちゃんが、がんになった時にどのように考えて、どんな治療を行っていくのかをしっかりと獣医師と相談してください。

では、がん免疫療法について詳しくお話をしていきましょう。

「がん」と「免疫」

生物はたくさんの細胞が集まって一つの生命として存在しています。それらの細胞は、何らかの原因で遺伝子に傷が付くことで「がん細胞」となってしまいます。

正常細胞ががん細胞になる過程のイラスト

実は、健康な状態の動物たちの体内でも、がん細胞は毎日5000個ほど発生しています。それでも、がんになることはありません。ではなぜ、がんにならないのでしょうか。そこで重要になってくるのが「免疫」なのです。

「そもそも免疫って何?」「免疫という言葉自体は聞いたことあるけど……」

では、免疫とはどのような働きをしているのでしょうか? 免疫の働きは次のようなものです。

  • 細菌やウイルスといった体内への侵入者を撃退する
  • 異物を取り除く

つまり、免疫は体内に入ってきた敵や体内で発生した異常な細胞を見つけ出して攻撃・撃退して体の中を正常に保つように頑張ってくれているのです。その免疫の主役となるのが血液中に存在する「白血球」です。白血球にもいろいろな種類がありますが、なかでも敵を攻撃する働きが強いのが「リンパ球」と呼ばれるものです。

リンパ球が頑張って働いてくれている間は免疫が上手に働いているので、がんにならないと考えられています。しかし、ストレスやウイルス、細菌、栄養状態といったさまざまな要因により免疫のバランスが崩れると、がん細胞の増殖が抑えられずに、がんになってしまうと考えられています。

リンパ球を元気にする

崩れてしまった免疫のバランスを戻して、リンパ球が再びがん細胞を攻撃・撃退できるようにしてあげようというのが「免疫療法」の考え方なのです。このように、リンパ球を元気にしてがんと闘う治療を「活性化リンパ球療法」と言います。

では、いったいどのようにして治療するのでしょうか?

治療の流れは……

  1. ワンちゃん・ネコちゃんから血液(約10ミリリットル)を採取します。
  2. リンパ球に特別な「栄養」をあげ、2週間かけて元気にして数を増やします。
  3. 元気になり、数の増えたリンパ球をワンちゃん・ネコちゃんの体内に点滴で戻してあげます。

以上です。思っていたより簡単じゃないですか?

活性化リンパ球療法のフロー図

「優しい」がん治療とは?

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