【循環器認定医が解説】猫の動脈血栓塞栓症とは | 症状と原因、治療・予防法など

猫の動脈血栓塞栓症とは

猫の動脈血栓塞栓症は、多くが心疾患に関連すると言われており、左心房で血栓が形成され、それが血流に乗って移動し塞栓してしまうことにより発生します。腹大動脈の分岐部(両後肢に分かれるところ)に塞栓することが多く、後肢不全麻痺を起こします。

緊急性

緊急性あり(急性時)

かかりやすい猫種

雑種
そのほか、報告ではアビシニアン、バーマン、ラグドール1)

かかりやすい年代

中年齢(どの年齢でも可能性はあります)

症状

  • 後肢不全麻痺

呼吸促迫(心不全からと痛みからとどちらの可能性もあり)を伴うことが多いです。
血栓塞栓は、腹大動脈の分岐部以外にも起こり、前肢に行く血管であれば、前肢が動かなくなります。また、内臓へ行く血管、脳に行く血管、心臓の冠血管、どこにでも起こる可能性があり、それぞれ内臓障害、脳神経障害、そして突然死を引き起こすこともあります。

原因

左心房で血栓が形成される要因として、左心房が拡大して血液がうっ滞してしまうことや、左心房の心内膜がもろくなっていること、血液が凝固しやすい状態になっていることが挙げられます。心筋症では、そのリスクがとても高く、動脈血栓塞栓症の7〜9割は心疾患が関連しており、そのほか腫瘍(肺や気管支の腫瘍)などの関連も言われています。

検査・診断方法

身体検査

足の麻痺・色・痛み・冷たさの状態や足に行く脈の状態をみます。

血栓の状態

超音波検査にて、血栓の存在や血流が途絶えていないかどうか、また心臓内に血栓がないかどうかをみます。
そのほか必要に応じて、後肢不全麻痺の鑑別診断や、心筋症の検査を行います。

治療法

抗血栓治療

  • 血栓溶解療法
  • 保存療法(抗凝固薬・抗血小板薬)

痛みの管理

  • 鎮痛薬

背景の疾患の管理

  • 心筋症による心不全併発の場合は、その治療

予後

予後不良です。
心不全を併発していること、不全麻痺が両後肢であること、低体温であることは予後不良因子とされています。
中央生存期間は2〜6ヶ月程度と報告されています1—4)。

予防

心筋症で左心房拡大が著しい場合や左心房内に“もやもやエコー”を認める場合、そして過去に血栓塞栓症の経緯があるなど発症のリスクが高い場合には、抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を用います。

対処方法・応急処置

できるだけ早く、動物病院を受診しましょう。

まとめ

参考文献
1) Smith SA. et al. J Vet Intern Med. 2003;17(1):73-83.
2) Atkins CE. et al. J Am Vet Med Assoc. 1992;201(4):613-8.

3) Rush JE. et al. J Am Vet Med Assoc. 2002;220(2):202-207.

4) Borgeat K. et al. J Vet Intern Med. 2014;28(1):102-108.

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