
【獣医師プラス】予防医療の大切さを伝える。ー歯科研究会所属 藤間友樹先生ー
獣医師プラスでは、ペットライフメディア「ペトこと」にご協力いただいている獣医認定医・専門医など、専門性の高い獣医師を紹介していきます。第2回のインタビューはバンブーペットクリニック院長で、診療科目を全般的に診ながらも歯科に力を入れている藤間友樹先生。何でも気軽に相談できる「愛される病院」を目指す想いにせまります。
01
獣医師までの道のり
得意を生かして選んだ獣医師の道
獣医師になる道を選んだことに「かっこいい理由はないんです」と笑顔で語る藤間先生。「高校3年生まで将来の夢はなく、目の前にある部活動にひたすら打ち込んでいました。
そんな時、部活内で将来の話をしたところ、仲の良い友人が『獣医師になりたい』と言っていて、興味を持つようになりました。
調べてみると、自分が得意な理系分野で受験できることを知りました。動物好きでもあり、手先の器用さにも自信があって、獣医師を目指すようになりました」
歯科は万人に役立つ科目
「獣医師になりたての頃は、胸を張って『何ができる』といえるものはありませんでした」と語る藤間先生。大学を卒業し、都内動物病院に新人として勤務していた頃は、任せられた仕事が"歯石取り"と"避妊去勢"でした。
しかし毎日のように歯石取りを行っているうちに、藤間先生は歯科の重要性に気付き始めたそうです。そんな中、院長から小動物歯科研究会に入るよう声がかかり、入会を決意します。
「もともとは、当時の院長に言われて入会した歯科研究会ですが、今となっては"万人に役立つ重要な科目である"ことに気付いた大切なターニングポイントになったと思っています」
02
治療にかける熱き想い

感情移入しすぎない
死んでもおかしくないような状態の子が、治療を施すことで回復する様子を見ることがやりがいだという藤間先生は、治療の上で気を付けていることがあります。「飼い主さんと長く付き合っていくと、感情移入してしまう機会が増えます。
飼い主さんからお聞きしてつらいのは『治療が負担になるのでは』『もう老犬だから』というお言葉。確かに治療が負担になる子もいることは事実ですが、良い方向に向かう手がゼロということはありません。
『そうですよね』と飼い主さんに感情移入をし過ぎると、ネガティブな治療案しか提案できず、その子の未来を奪う恐れがあります」
時間をかけて飼い主さんと向き合う
言葉や不調を話せない犬・猫の治療には、飼い主さんが状況や治療をしっかりと理解する必要があります。そのために治療のメリット・デメリットを正確に飼い主さんに伝えることが藤間先生のポリシー。「『こういう注射を打ちますが、すぐに治療効果が出るわけではないです』『こういう治療を行うとこのくらい治療費がかかります』など、包み隠さずお伝えしています」
さらに、全身検査と確定診断が重要だといいます。
「ここを診てほしいと来院いただいても、全身を診るようにしています。その症状が出るであろう原因の検査だけでなく、全身の検査を行うことで、本当の原因が分かり、1番近道で治療が行うことができます」
なかには検査や治療に否定的な飼い主さんもいるといいます。
「『もう何をしても無駄ですよね?』と、言葉通り"何をしても良くならない"と思い込んで、検査や治療に否定的な飼い主さんもいらっしゃいます。
手遅れな子がいることは事実ですが、そんな子ばかりではありません。ずっと診てきた子であれば、飼い主さんに「あなたは十分に頑張った」「この子のためにやるだけやった」という言葉をかけることもあるかもしれません。
しかし、私たち獣医師の役目は病気を治すことです。飼い主さんに最初から諦めることはしてほしくありません。動物たちのことを想って、くどいと思われようと伝わるまで丁寧に説明することを心がけています」
03
先生の私生活

アウトドアもインドアも楽しむ
休日は漫画とゲームをして過ごすか、家族付き合いのある友人とキャンプを楽しむことが多いそうです。「とにかく自然の中で過ごすことが好きです。もし長期連休が取れたら、1週間くらい南国でゆったりとした時間を過ごしたいですね」
このコロナ渦のなか、旅行に行くことは困難のため、現在はもっぱらベランダでキャンプ気分を味わう"ベランピング"を楽しんでいるそう。
「ベランピングを充実させて、自宅でもアウトドアを楽しめるようにしたいと思っています」
パートナーの愛猫にけちゃん
「12歳の愛猫にけと一緒に暮らしています。ブラッシングや熟睡時に触れるなど嫌がることをすると激怒しますが、基本的にのんびりした性格の子です。もうおばあちゃん猫なので、運動しないせいか太りがち。肥満にならないよう気をつけています」

にけちゃんとの出会いはペットショップ。勤務していた動物病院の近くにあったホームセンター内のペットショップにいた猫だったそう。
「買い出しのためによくホームセンターに通っていたのですが、何カ月たっても、にけがいました。売れ残っていたにけを見る度に段々と愛着が湧くようになり、家族として迎えることに決めました」
04
ペットと幸せに暮らすコツ

予防医療が軽視されがちであることに警鐘を鳴らす藤間先生。
予防医療といえば"ワクチン"です。日本では狂犬病ワクチンの接種は義務付けされていますが、接種率は100%ではありません。
「いま、新型コロナウイルスのワクチンが待ち望まれていますが、過去には狂犬病にもワクチンが待ち望まれていました。
先人たちが必要とし、待ち望まれて開発されたワクチンは、接種すべきです」
どうかインターネットの情報のみを鵜呑みにせず、その道のプロに相談してほしいといいます。
「新型コロナウイルスで開催が危ぶまれていますが、今後東京でオリンピックが開催されるのであれば、いつなんどき人畜共通感染症である狂犬病ウイルスが入国するかわかりません。
ワクチンを接種していない犬は、災害時に飼い主さんと同行非難ができず、隔離されてしまいます。ワクチンを接種しないことは、病気のリスクだけでなく、災害時に愛犬を守れないリスクをはらんでいることを知っておいてほしいです」
愛犬・愛猫を病気からも災害からも、後悔なく守るためにはワクチンを接種することを前提に、愛犬・愛猫の日々の体重管理、熱中症予防など「予防医療の知識を持つこと」が大切だと藤間先生は教えてくれました。
歯周病予防も体調管理の第一歩です。まずは、日頃の歯磨き習慣から始めてみませんか?
バンブーペットクリニック
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- 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
- 2006年
都内動物病院にて勤務、うち1年は夜間救急を経験
- 2012年
栃木の動物病院にて勤務
- 2014年
バンブーペットクリニック開業
From 獣医療ライター 織田

笑顔が印象的な藤間先生。お忙しいなか、インタビュー中もニコニコとお話してくださいました。
インタビュー中、終始「かっこいい理由はないです」と前置きがあり、かっこつけず、嘘のないところが藤間先生の魅力であることを再認識しました。