【獣医師執筆】猫は豆腐を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫は豆腐を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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猫は豆腐を食べても大丈夫です。豆腐は私たちの食卓でよく目にする食材の一つ。適量ならプラスの働きをしてくれますが、摂取し過ぎると体に良くない成分もあります。今回は、猫に豆腐を与える際の注意点をはじめ、にがりや豆乳などにも触れていきます。

猫は豆腐を食べても大丈夫

豆腐

猫にとって豆腐はとても健康的な食材です。ただし豆腐に含まれている成分の中には、適量であればプラスの働きをしてくれるのにも関わらず、摂取しすぎてしまうとマイナスの働きをする成分がいくつかあります。一度確認しておきましょう。

リノール酸

豆腐の脂質に含まれているリノール酸は血中の悪玉コレステロールを減らす働きをもっています。そのため、高血圧を予防するのにとても効果的です。ただし、過剰に摂取してしまうと善玉コレステロールも減らしてしまいます。

フィチン酸

フィチン酸は、デトックス作用が強い物質で、主に玄米に豊富に含まれています。適度に摂取すればプラスの働きをしてくれいます。しかし、過剰に摂取してしまうと、5大栄養素の一つであるミネラルの排出も促してしまいます。

サポニン

大豆に含まれているサポニンは抗酸化作用が優れた成分です。過剰な活性酵素を除去することで老化や免疫力の低下を防ぐ働きがあります。 胃の弱い猫にとっては下痢や腸の炎症の元になってしまいます。

猫が食べて大丈夫な豆腐の栄養成分

豆腐

豆腐は人にだけでなく、猫にとっても健康的な食材です。木綿豆腐や卵豆腐など、豆腐の種類によって栄養素も異なりますが今回は絹ごし豆腐の栄養成分を紹介します。
豆腐の成分(100gあたり)
エネルギー(kcal) 56
たんぱく質(g) 4.9
炭水化物(g) 2.0
脂質(g) 3.0
水分(g) 89.4
カリウム(mg) 150
カルシウム(mg) 57
マグネシウム(mg) 55
リン(mg) 81

豆腐には女性ホルモンであるエストロゲンに非常によく似た性質をもつイソフラボンだけでなく、歯や骨を丈夫にしてくれるカルシウムや腸内環境を整えてくれるオリゴ糖が含まれています。

イソフラボン

エストロゲンは美容成分だけでなく、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える作用があります。そのため、カルシウムの不足によって骨がもろくなってしまう、骨粗鬆(こつそしょう)症の予防のためにも大豆を食べることは効果的です。

オリゴ糖

オリゴ糖は、ビフィズス菌をはじめとする腸内の善玉菌の栄養分となります。善玉菌の働きとして排泄をスムーズにしたり、発がん物質の発生を誘因する悪玉菌の活動を抑えたりする働きを例として挙げられます。

カルシウム

別名「天然の精神安定剤」とも呼ばれているカルシウムは骨や歯を丈夫にするだけではなく、神経や筋肉の活動を円滑に進むようにサポートをする役割をします。

猫に与えていい豆腐の量

豆腐を総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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猫に豆腐を与える際の注意点

大豆アレルギーには注意

大豆の匂いをかぐ猫

大豆アレルギーに限った話ではありませんが、生まれつきの体質による先天性のアレルギーと、長い期間同じ食材を食べて発症してしまう後天性のアレルギーがあります。大豆アレルギーを持っている子もいるので最初は少量を食べさせることからスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢や嘔吐
  • 皮膚をかゆがる
  • 元気がなくなる
  • 目の充血

大豆はキャットフードに使用されていることも多くあります。下痢や嘔吐などがみられる場合は、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

猫が豆腐を食べ過ぎると腎不全になるって本当?

豆腐

カルシウム等のミネラルは葉や骨をつくるために不可欠な栄養素です。しかし、カルシウムをはじめ各種ミネラル、シュウ酸が多い食品などを多く食べ過ぎると、それが結晶化して腎臓、尿管、膀胱、尿道の中に結石となってしまいます。

結晶が尿管や尿道につまってしまうと、排尿ができないために腎臓機能が停止をしてしまい、最終的に腎不全になってしまいます。

製品ごとに若干の差はありますが、100gあたりのカルシウム含有量は木綿豆腐が86mgに対して絹ごし豆腐が57mgといわれています。手作りご飯などで腎臓が気になる猫ちゃんに豆腐を与える場合は、木綿豆腐より絹ごし豆腐のほうがいいでしょう。


猫に豆腐のにがり成分は大丈夫?

目を閉じる猫

にがりは海水から食塩・塩化カリウムを抽出した際にできる液体のことで、主成分はミネラルの一つ、塩化マグネシウムです。豆乳を固めて豆腐に成形する際に使用されますが、豆腐に含まれるにがりはそれほど多くありません。

にがりは2000年代に健康食品の一つとしてブームになったこともありますが、ミネラルはバランス良く摂取すべきもので、単体で摂取するものではありません。

塩化マグネシウムを過剰に摂取してしまうと下痢や嘔吐などの症状が出る可能性がありますので、猫ににがりを舐めさせるのはやめましょう。


マグネシウムはミネラルの中でも重要な成分ですが、猫が過剰摂取した場合はストルバイト尿石症を起こす可能性があります。逆に制限しすぎるとシュウ酸カルシウム尿石症を起こす可能性があります。過剰摂取・過剰制限にならないように、バランスの良い食事を与えるようにしてください。

療法食として加えたり減らしたりする必要がある場合は、獣医師の指示をもらうようにしてください。

参照:日本ペット栄養学会(2014)『ペット栄養管理学テキストブック

猫は豆乳を飲んでも大丈夫?

豆乳

猫に豆乳をあげても大丈夫です。ただし砂糖や塩、乳化剤等の豆乳を飲みやすいように成分を変えていない成分無調整の豆乳をあげるようにしましょう。豆乳には利尿作用の高いカリウムが豊富に含まれています。そのため、豆乳を飲みすぎてしまうと頻尿になってしまいます。

たくさん豆乳を飲むと、下痢になってしまう可能性もあります。猫に豆乳を与える際はあくまでも舐めさせてあげる程度で与えることをおすすめします。


健康的な猫の食生活を!

嬉しそうな猫

豆腐は高タンパクで低カロリーでとても健康的な食材です。ただし、あくまでも豆腐は人間用の食べ物なので、いつも食べているキャットフードにトッピングをする程度で与えるようにしましょう。

また、冷蔵庫から出したての豆腐は猫のお腹を冷やしてしまう可能性があるので、豆腐をあげる際は人肌程度に温めたものをあげるようにしましょう。

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