【獣医師執筆】猫はハーブを食べても大丈夫?安全なものと有害のものがあるので注意

【獣医師執筆】猫はハーブを食べても大丈夫?安全なものと有害のものがあるので注意

Share!

猫はハーブを食べても大丈夫なのでしょうか。たくさんの種類があるハーブの中には、猫にとって安全なものと有害なものがあります。種類によっては、香りだけでも毒性としての影響を与えてしまうハーブも。では、猫にとって安全なハーブはどれで、食べさせる際にはどんな注意点があるのでしょうか。今回は代表的なハーブについて解説します。

前提として、総合栄養食のキャットフードを食べていれば、与える必要はありません。あくまでトッピングやおやつとして最低限食べるようにしましょう。

猫が食べても良いハーブ

ハーブの中には、猫が食べても大丈夫なものとそうでないものがあります。まずは、猫が食べても大丈夫なハーブで、特に身近なものをご紹介します。

ハーブ
種類
特徴
注意点
カモミールカモミール
キク科 猫の不安を和らげたり消化を助けたりしてくれます。抗がん作用、抗糖尿病作用、抗炎症作用が期待できる成分(アピゲニン、クマリン、クロロジェン酸など)が含まれます。 アレルギー
ローズヒップローズヒップ
バラ科植物の果実 アレルギー

ローズヒップ

ローズヒップ

ハーブティーなどで楽しむ機会が多くある、ローズヒップ。別名「ドッグローズ」、「イヌバラ」ともいわれています。ローズヒップは赤い小さな実ですが、抗酸化作用が高く免疫力アップに効果的なビタミンCが豊富です。

大葉(しそ)

大葉(しそ)

日本を代表するハーブといえば、大葉(しそ)です。大葉には、ビタミン類、βカロテン、カリウムなどさまざまな成分が含まれていて、消化を助けるほか、疲労回復などに役立ちます。

キャットニップ

キャットニップ

西洋マタタビともいわれるキャットニップは、猫が大好きなハーブの一つです。猫にとってはとても良い香りで、「ネペタラクトン」という成分が猫を興奮させます。

参考文献

  • カモミール
  • ローズヒップ
    • Rose」(ASPCA)

猫が食べてはいけないハーブ

私たちには身近なハーブでも、猫が食べると危険なハーブもあります。知らずに庭やキッチンで栽培しているものはありませんか? そこで、猫が食べてはいけないハーブを紹介します。

ハーブ
中毒成分
中毒症状
ローズマリーローズマリー
揮発性油(ビサボロール、カマズレン、アンセミン酸、タンニン酸など) 嘔吐、下痢、皮膚炎

参考文献

  • ローズマリー

ラベンダー

ラベンダー

人間にとってはリラックスや安眠効果があるといわれ、人気のラベンダー。しかし、猫にとってはとても危険なハーブです。食べてはいけないことはもちろんですが、香りだけでも腎臓や肝臓に異常が出てしまう可能性もあるのです。猫を飼う家では、ラベンダーを飾ったり栽培したりするのはやめておきましょう。

ユーカリ

ユーカリ

優しいグリーンがインテリアにもマッチしやすいと人気のユーカリ。花瓶にいけたり、リースなどにアレンジしたりして、生活に取り入れている方もいるのではないでしょうか。一言にユーカリといっても、さまざまな種類がありますが、なかには毒性があるものもあります。飾ってあるユーカリを猫が食べないように注意しましょう。

オレガノ

オレガノ

少量であれば、食べてしまっても大きな問題にならないか、軽い下痢や嘔吐で済むでしょう。しかし、大量に食べたり成分が濃縮された精油を摂取したりすると肝障害を起こす可能性があります。

※「Oregano」(ASPCA)

猫にハーブを与える際の注意点

ハーブティー

ハーブを猫に与えるときは、少量を細かく刻んで、いつものごはんにトッピングしてあげましょう。また、ハーブは独特の香りや強い香りを持つものが多くあり、嫌がって食べない猫もいます。いくら効果や効能を期待していても、嫌がるハーブを無理に食べさせる必要はありません。別の食物やサプリメントなどで補うようにしましょう。

ハーブティーは猫が飲んでも大丈夫?

食べても良いハーブを使ったハーブティーは、猫に飲ませても問題ありません。ただし、与え過ぎには注意をして、薄めのハーブティーから始めるようにしましょう。

また、気を付けたいのは複数のハーブをブレンドしたハーブティーです。ブレンドされたハーブの中に、猫が食べてはいけないハーブが使われている場合もあるので、市販のハーブティーを使用する場合は必ずパッケージを確認してください。できれば、単一のハーブのみを使ったものを与えるようにしましょう。


ハーブを使ったクッキーなどスイーツには注意!

ハーブを使った加工品は、ハーブティーだけではありません。ハーブは、クッキーやケーキなどのスイーツにも多く使われています。

しかし人間用のお菓子には、砂糖やバターなどがたくさん入っています。いくらハーブに良い効能があるといっても、これらは糖尿病や肥満などの原因になりかねません。猫に人間用のハーブクッキーなどのお菓子を与えないようにしましょう。


猫除けにも使われる猫が苦手なハーブ

そもそも猫にとってハーブは、苦手な香りを発するものが多いようです。特に、かんきつやハッカ、ミントなどの香りは猫が嫌う傾向にあります。そのため、猫が苦手なハーブを庭に植えて猫よけとしているケースもあります。猫が嫌いといわれる主なハーブは次のとおりです。

マリーゴールド

マリーゴールド

オレンジやイエローの花が可愛いマリーゴールドは、庭先で育てることも多い植物です。ハーブティーにも使われ馴染みが深いハーブの一つですが、猫はマリーゴールドが苦手です。

ローズマリー

ローズマリー

肉料理の臭い消しにも使われ、すっきりと爽やかな香りが特徴のローズマリー。ですが、猫にとってはこの爽やかな香りも、嫌いな匂いです。


猫はハーブの精油には注意を

アロマを生活に取り入れることは多くありますが、猫と一緒に暮らす場合、気を付けたいことがあります。植物の成分を濃縮した精油(エッセンシャルオイル)は、使い方を間違うととても危険です。

ハーブの香りが楽しめる精油は多くありますが、猫の体についてしまった精油を舐めたことや、家でアロマを炊いたことが原因で、猫の体調が悪くなってしまうこともあるのです。ハーブの精油に限らず、アロマテラピーは猫を飼う家では避けたほうがいいでしょう。

種類豊富なハーブ。猫に与える前に必ず確認を

ねこ

ハーブには多くの種類があり、ここで紹介しきれていないものも多くあります。ハーブを猫に与える場合、必ず、猫に害がないものかどうかを調べてからにしましょう。

また、ハーブは香りが強いものも多く、猫が苦手と感じることも多い植物です。そんなときは無理に食べさせないようにしてください。また、万が一食べてはいけないハーブを猫が口にしてしまった場合は、獣医師に相談しましょう。

獣医師相談のインスタライブ開催中!

食のお悩み相談会

ペトコトフーズのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」を定期開催しています。愛猫 のごはんについて気になることがある方は、ぜひご参加ください。

アカウントをフォローする