殺処分寸前だった兄妹猫/下半身不随だった姉妹猫 2匹の保護猫を迎えた家族たちの話

殺処分寸前だった兄妹猫/下半身不随だった姉妹猫 2匹の保護猫を迎えた家族たちの話

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犬や猫の迎え方はペットショップやブリーダーさんなど、さまざまあると思いますが最近では、保護犬・保護猫から迎えることも珍しくなくなってきました。でも、「保護犬・保護猫を迎えるのって大変じゃないの?」「子犬・子猫からじゃなくても懐くの?」といった疑問や不安を持っている方も少なくないと思います。シリーズ「#OMUSUBIさとおや部」では、実際に保護犬・保護猫を迎えた飼い主さんたちから、迎えた当初の話や現在の様子をお聞きして紹介します。

保護犬・保護猫を迎えて幸せに暮らしている飼い主の皆さんは、ぜひハッシュタグ「#OMUSUBIさとおや部」で幸せな様子を教えてください。犬や猫を飼いたいと思っている方は、この記事やハッシュタグが付いた投稿を参考にして、保護犬・保護猫を迎える選択肢を検討してみてください。週末はいろいろな場所で譲渡会が開催されていますよ♪


yucca_catsさんと兄くん&妹ちゃん

今回の「お結びさとおや部」では、兄妹猫・姉妹猫の2組を紹介します。最初はyucca_catsさんの家族になった兄くん&妹ちゃんの兄妹猫です。

兄くん&妹ちゃんとの出会い

兄くん&妹ちゃん

2013年5月ごろが誕生日で双子の男の子(白)と女の子(茶色)です。名前は、男の子が「兄」、女の子が「妹」です。Instagramをやっていて、そのときに仮で「兄」「妹」と書いていたのがそのままになっています。フォロワーさんは「兄やん」「妹ちゃん」といってくださってます(笑)。

私が猫が好きで、以前はブリーダーさんから購入した血統書付きの猫を飼っていたのですが、そのときに保護猫のことを知り、次に迎える猫は保護猫にしようと決めていました。毎日毎日ネットにかじりついて、保護団体の里親探しサイトからピンとくる子を探していました。そこで、見つけたのが女の子の写真です。

問い合わせをしたところ、ぜひ見に来てくださいとのことで、保護されている個人宅に伺いました。そこではじめて兄妹がいることを知りました。多頭飼いは全く念頭になかったので驚いたのですが、保護主さんから、どうしても兄妹そろって引き取ってほしいという話があり、2匹を1週間のトライアルで預かりました。

それからボランティアさんが我が家に来られ、住環境やマンションの規定などを確認された後、契約等の手続きをして譲渡していただきました。

迎えたばかりの頃の兄くん&妹ちゃん
迎えたばかりの頃

この子たちが保護された経緯をボランティアさんから聞いたところによると、とある方の家の庭で野良猫が出産したらしいのですが、その家の方は大の猫嫌い。2匹はかなり怖い目にあっていたらしいです。そして、ついにその方が2匹を捕まえて保健所に連れて行ったそうなのですが、ご近所の方が見るに見かねて保健所から救い出したとのこと。

しかし、その方も飼うことができず、結局また保健所に連れていかれたそうです。そして殺処分される前日、たまたま保健所を訪れたボランティアさんが2匹のことを耳にして保護されたとのことでした。

相当怖い目に遭っていたようで、とにかく人を怖がっ て近づけないくらいだったそうです。保護したボランティアさんも、この子たちが全く人に懐かないので譲渡はあきらめて、自分たちで育てる決心をしたそうです。

しかし、1年経過したあたりで、だいぶ人に慣れてきたので、募集をかけたところ私が応募してきたとのこと。私はこれまで長年猫を飼っていたので、もしかしたらやっていけるかもしれないと思って譲渡してくださったのことでした。

兄くん&妹ちゃん
保護されたとき


迎えたばかりの頃

2匹とも、すごく怖がっていました。男の子はとにかく臆病ですぐに隠れていました。女の子は全く懐いてくれず、触ることができませんでした。男の子のほうは比較的早い段階で私に懐いてくれ、抱っこもすぐにできるようになりましたが、他の人の声や足音、チャイムなどが鳴ると猛ダッシュで隠れるという生活は変わりませんでした。

兄くん&妹ちゃん

女の子は全く懐いてくれず、抱っこはもちろん、目やにを取ることでさえ嫌がっていました。とにかく触られるのが嫌いで、いつも遠くから人間を観察しているような感じでした。ただ、男の子ほど怖がってはおらず、気を許してくれないといった感じでした。


今では……?

兄くん&妹ちゃん

男の子は私にべったりです。私がソファに座ると飛んできて必ず私の膝枕でくつろいでます。女の子もべったりではありませんが、気づいたらそばにいて、たまに甘えてきます。目やにも取ることができますし、触ることにも抵抗がないようです。ただ、抱っこや爪切りはできません。

兄くん&妹ちゃん

2匹は我が家に来た当初からとにかく仲が良く、いつも2匹で一緒にいます。ケンカもしません。二人で追いかけっこして遊んだり、二人でくっついて寝たりと、元気で楽しく暮らしています。

兄くん&妹ちゃん

最初は人を怖がって警戒していた2匹も、家族に愛されて心を許すようになりました。兄くん&妹ちゃんが仲良く過ごすの様子の続きは、yucca_catsさんのInstagramでご覧ください。

yomo3310kinさんと点心ちゃん&きんとんちゃん

続いて、下半身不随の姉妹猫を迎えたyomo3310kinさんのお話を紹介します。下半身不随の保護猫を迎えるのは大変そうに思えますが、実際どうだったのでしょうか?

点心ちゃんとの出会い

ある動物保護団体さんが下半身不随の状態(頚椎損傷、胸骨骨折)で捨てられていた点心を保護してくださり、2016年10月、推定生後6カ月くらいの点心を我が家に迎えることにしました。

それまで猫ちゃんは、ひっかくし、怖いイメージ。接したことがなかったのです。ところが友人宅の猫ちゃんたちとたくさん遊び、「あれ? にゃんこもわんこもいい意味で、変わらない。なんて、かわいいんだ!」と思うようになりました。

その後、友人から「下半身不随の猫ちゃんの里親さんになってみない?」と声をかけていただきました。そのお宅にも下半身不随の猫ちゃんがいて接していたことや、猫ちゃんは未経験でも大型犬の介護で圧迫排泄の経験があったので、「私にもできるかも! 命を救う助けができるかも!」と思って迎えることにしました。

点心ちゃん
迎える前に保護されていた頃の点心ちゃん

点心は保護されたとき、事故にあったと思われていたのですが、1週間後くらいに別の保護ボランティアさんがほとんど同じ場所で下半身不随(股関節脱臼)の状態で、捨てられているきんとんを保護してくださいました。

偶然どちらも同じ病院で治療されていたので、この子たちは姉妹であろうということ、そして事故ではなく、悲しいことですが、人間がしでかしたことでこのような下半身不随の状態だったのだろうと推測できました。


点心ちゃんを迎えたばかりの頃

点心は病院の先生に「一生歩けないでしょう」といわれましたが、「歩けなくても生きてくれている」それだけで満足していました。

もしかしたら、あのまま亡くなっていてもおかしくなかった子。全身麻酔の手術に耐えられないかもしれないくらいの小さな体で頚椎手術を乗り越えた、奇跡の子。その奇跡は一度だけではありませんでした。最初は未知なる世界の始まりで腰が引けていましたが、ゆっくり、少しよろけつつも歩くようになりました。

当時、全身全霊愛情を注いだワンコを亡くしたばかりで、その悲しい心を点心が溶かし、私自身、救ってもらったことをよく覚えております。

慣れるまでに時間は全くかからず、うちに来てくれた次の日から一緒のお布団で寝たくらいです。小さな小さな点心が、「おかーしゃん、つらいの? 一緒に寝てあげるよ」とそばに来てくれました。


今では……?

点心ちゃん

現在は日中、私が仕事の間だけはオムツをしていますが、休日はオムツなしです。平日は朝、夕方、夜と3回のトイレ。休日は朝、昼、夕方、夜4回のトイレ。うち、ウンチくんは、朝夜2回で、ほとんど漏らすこともないです。

トイレが一人でできないだけ。高いところにジャンプができないだけ。トイレの時間はだいたい決まってますが、私が手伝ってあげてトイレ処理も終わるので臭いもないのです。


そんな生活をしている最中、どうやら、姉妹であろう子(きんとん)がいるという話を聞いて、「姉妹なら一緒にいさせてあげたい」と里親になることをまた決めました。


きんとんちゃんとの出会い

保護され病院にいたときのきんとんちゃん
保護され病院にいたときのきんとんちゃん

2016年12月。点心の姉妹であろうきんとんを迎えました。下半身不随の状態で、股関節脱臼があり、何度元に戻してもまた外れてしまいます。神経が尻尾までいっておらず、壊死を避けるため断尾。トイレは自力でできない。そんな状態でした。


きんとんちゃんを迎えたばかりの頃

点心ちゃん

迎えたその日から点心と一緒に過ごし始め、すぐに打ち解けて一緒に遊ぶようになりました。興味津々、いたずらっ子で、脱臼していてもあちこちジャンプします。きんとんは150センチくらいのキャットタワーなら登れます。

きんとんはヤキモチやきで、私がワンコと出かけると「置いてかれた」と拗ねて待ってます(笑)。「きんのおかーしゃんだもん!」とよく甘えてくれて、おしゃべりも多く、心の声もダダ漏れです(笑)。

トイレの圧迫排泄の際にお腹をどうしても押さえるので、きんとんは「いやーー」と叫びますが、やらせてくれます。私自身もこの子たちによく話しかけるので、言葉を覚えてくれているのでしょうね。やらないといけないことも話すとやらせてくれる子たちです。


今では……?

左が点心で、右がきんとん
左が点心で、右がきんとん

私はアウトドアな人間ではなく、休みはのんびりと過ごしたいので、家にいてこの子たちのトイレをしながら猫じゃらしで遊んだり、日向ぼっこをしたり、爪切りや耳掃除などお世話ができることが楽しくて。「初めてのにゃんこがこんなにいい子たちで恵まれてるなあ」と思っています。

壁で爪とぎもしないし、たまに爪とぎではないところでやってるけど、爪とぎのフリというかとぐほどでもないし、怪我をしないためにも、週1で爪切りをしているので、フリなのかもしれません。

毎日、楽しく、笑顔が増えて……。幸せにしたいと思っているのに逆に幸せをたくさんもらっていますよ。

点心ちゃん

猫さんの命は20年と考えると、お年を召した方が迎えるのは躊躇なさることと思います。ましてや、元気満タンの若者だとしたら、それほど大変なことはありません。けれど、下半身不随の猫さんなら、トイレさえマスターしてしまえば逆に、静かに一緒に楽しい時間を過ごせられるのではないかなと思います。

この子たちは、ちょー若者ですが、どこかに隠れてしまって「どこに行ったかわからない… …脱走してしまった……どうしよう」などというような心配がありません。もちろん、不随がいいというわけではないのですよ。悲しい出来事がないほうがもちろんいいのですから。でも、「これからも迎えるとしたら……不随の子……」そう考えています。

私にできる命を救うこと……そのくらいしかお役に立てないことが情けない限りですが、そうしていきたいと思っております^_^

点心ちゃんときんとんちゃん

下半身不随も含めて愛してくれる方に迎えられたこと。お互いに必要としていることこそが本当の家族の証ですね。点心ちゃん、きんとんちゃんの幸せな様子の続きをぜひ、yomo3310kinさんのInstagramでご覧ください。

保護犬・保護猫から飼うという選択肢

ペットショップで運命の子に出会ってしまった方や、憧れの犬種や猫種をブリーダーさんからなど、迎え方はそれぞれですが、一番大事なのは、1匹1匹に愛情を注いで大切に育てるということです。でも、もしこれからペットを飼おうと思っているなら、ぜひ保護犬・保護猫から飼うという選択肢を考えてみてくださいね♪