
ペットショップは飾り窓? 小池都知事が犬猫の陳列販売に「再考の余地あり」
小池百合子東京都知事が滝川クリステルさん主催イベント「アニマルウェルフェアサミット2017」の特別インタビュープログラム「“アニマル・ウェルフェア・ファースト”の東京に向けて」に登壇しました。小池知事は2017年6月に犬の殺処分ゼロを達成したことを報告し、猫も含めた殺処分ゼロを当初の2020年から前倒しして、2019年までに達成するとしています。
保護猫と飼いたい人の出会いの場を増やしていく

滝川:皆さんこんにちは、昨年に続き小池都知事に来ていただきました。お忙しい中、急きょ来ていただきまして本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
小池都知事は「ペット殺処分ゼロ」を公約に掲げられ、尽力されています。前回こちらにいらっしゃったときに、2020年より前倒しして東京都の犬猫殺処分ゼロを実現すると語っていただきました。犬については昨年度「ゼロ」を達成したんですが、このあたり、どのように実現されたのかお話しいただけますか。
小池:まず知事選でペットの殺処分ゼロを公約に挙げたのは、たぶん(私が)初めてだと思います。
滝川:そうですね。
来 小池:東京の行政として行うということで、担当局もしっかりワークしてくれました。ワンちゃんのほうは、お蔭さまで2020年どころか2016年度の時点ですでに「ゼロ」を達成することができました。一方で猫のほうはまだ94匹という数字が出ていますが、これも前年度比で言うなら半分に減っています。
ここから何をすべきかというのは、もっと猫にも力を入れて、出会いの場ではないですが、里親をすすめるように。実際に(保護猫を)見てもらって、引き取ってもらえるような。千代田区は非常に熱心にやっておられまして、そこが引き取っていただく出会いの場になっておりまして、里親さんとの出会いのチャンスになっています。
いずれにしても目標・ビジョンを掲げて、それに必要な活動を信念を持ってやっていくということだろうと思っています。
滝川:猫については千代田区のように、不妊去勢に関して自治体ごとに補助金を出るところもありますよね。そのあたり東京都のほうでは具体的に考えていることはありますか?
小池:里親を見つける活動に対して、さまざまな支援をしています。本当に千代田区は良い例を作っていただいていて、「猫のことなら千代田区に聞けばいい」というところまでいっています。23区だけでなく東京には市や村もありますが、それぞれが地域の事情に合った形で進めてくれるように、東京都としては支援をする。
東京都には動物愛護センターが各所にあるんですけど、それがかなり老朽化してまいりました。そこで本所を新しい施設として、ドッグランとかの施設を充実させて、皆さんと動物の出会いの場になったり、動物愛護のことを子どもたちが学んでいくとか、そういった動物愛護の中心地になればいいなと作っているところです。
滝川:ティアハイムのように殺処分をしない施設(※)ということですよね?
小池:そうですね。それを目指していくべきだと思います。
※ティアハイムでも予後不良等、アニマル・ウェルフェアにのっとった致死処分は行われています。
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殺処分94という不名誉な数字を減らしていきたい
滝川:(行政が)殺処分ゼロになることで、受け皿となっている動物保護団体にしわ寄せがいって、多頭飼育になったり、(シェルターでの)アニマルウェルフェアが満たされていないのではないかという不満・不安もあります。そこに対して行政として金銭的な支援をすることは難しいのでしょうか。小池:まずは皆さんに頑張っていただいて。日本は寄付の精神が十分ではありません。自分が寄付をすることで愛護精神が家庭でも、お子さんなどに伝わっていくのではないかと思います。寄付にもいろいろ仕方がありますが、そういったことへのバックアップができればと考えています。
滝川:そういった個人の寄付に頼るしかないというのが現実なんですけれども。
小池:いやいや、そういったことではないんですけど、行政としてすべきことはしっかり頑張っていくということです。

滝川:(犬の殺処分ゼロを)達成したことで反響はありましたか?
小池:そうですね。公約っていうのは張り替えるから効き目がある(※)とも言われているんですけど、一つずつお約束したことは守っていくということで。
※小池都知事も所属していた自由党の初代党首である小沢一郎氏が、公約と膏薬(練り薬)を掛けて「公約は張り替えれば効き目が出る」と語ったとされる。
今は猫ちゃん94匹(2016年度の殺処分数)という不名誉な数字ですね。半分に減ったとはいえ、そういう状況を減らしていきたいと思います。動物との共生社会というのは、極めてあたたかい社会だと考えています。
生体販売の仕方はどうあるべきか
滝川:小池都知事の一言(が有るか無いか)でまったく違うように動いていると思うんですね。東京はオリンピック・パラリンピックで2020年に海外の方がたくさんいらっしゃいます。ペットショップでの子犬・子猫の生体販売に対して、海外の方は少し抵抗があるという現実があります。東京として、どういうふうに対策をしていくか。ビジョンはありますでしょうか。小池:国もいろいろと……。販売の週齢をどうするのかということですね。日本というのは幼犬とか幼猫好みがあまりにも激しくて。そのあたりはしつけの仕方とか含めて、もっと全体的な日本人の趣向の問題も動物愛護教育から来るものだと思います。
そういう趣向があるから、業者の人も飾り窓(※)ではありませんけど、陳列をして、夜の時間は陳列の規制も出てきましたけど、販売の仕方そのものもどうあるべきなのかしっかり考えていかなければならないと思っています。
※オランダ・アムステルダムに、通りに面したガラス窓越しに売春者たちが立って客引きをする通称「飾り窓」地区がある。
滝川:動物愛護管理法に関して、国会議員時代は動物愛護議員連盟の一員でもいらっしゃったわけですけど、次回の法改正で注目しているポイントがありましたら教えていただきたいです。
小池:一員というか会長だったんですけど。(会場笑)
国会議員の方、その数をもっと増やして、しっかり対応していただきたい。私もエールを送っていきたいと思っています。同時に、東京都としてなすべきことをやっていきたいと思っています。
マイクロチップを入れるとか、いろんな議論がございました。このあたりも全国的に進めていくべきこともあろうと思いますが、連携を取りながらやっていきたいと思います。
滝川:最後に、私たちの財団のスローガンとして「動物と人が共に生きる」というのを掲げていますが、動物と人が共に行きやすい東京になるために必要なことは何だとお考えになりますか?
小池:滝川さんに頑張ってもらおうと思います(笑)。(会場拍手)
滝川:今日はお忙しい中ありがとうございました。
