【速報・平成28年度】犬猫殺処分数が8万→5万匹に減少 環境省「『殺処分ゼロ』という言葉に課題」

【速報・平成28年度】犬猫殺処分数が8万→5万匹に減少 環境省「『殺処分ゼロ』という言葉に課題」

Share!

【環境省発表】2016年度(平成28年度)の犬猫殺処分数が2015年度の8万2902匹から5万5998匹(犬:1万424匹、猫:4万5574匹)に減少したことが分かりました。

「全国の犬・猫の殺処分数の推移」(環境省 動物愛護管理室)
「全国の犬・猫の殺処分数の推移」(環境省 動物愛護管理室)

今回の結果を受け、環境省動物愛護管理室の則久 雅司室長はペトことの取材に対し、「昨年度の引き取り数や殺処分数が減少したのは、協力していただいている保護団体の方々が行政に来るまでに直接保護したり、行政で保護している犬猫の譲渡活動を行っていただいたりした効果が大きいと考えています。成果が上がっている地域というのは、官民連携がうまくいっています。ただ野犬については厳しい判断を避けて通れません。そこは地域の実情に応じた管理を進めていく必要があります」とコメントしています。

犬猫の引き取り状況(平成28年・2016年度版速報値)

平成28年・2016年度を含む直近5年間の犬猫の引き取り数、返還・譲渡数、殺処分数は以下の通りです(都道府県・政令市・中核市の合計)。

引き取り数

犬の引取数 猫の引取数 合計
2016年度 41,175 72,624 113,799
2015年度 46,649 90,075 136,724
2014年度 53,173 97,922 151,095
2013年度 60,811 115,484 176,295
2012年度 71,643 137,745 209,388

返還・譲渡数

犬の返還・譲渡数 猫の返還・譲渡数 合計
2016年度 30.500 26,886 57,386
2015年度 29,637 23,037 52,674
2014年度 31,625 18,592 50,217
2013年度 32,092 16,320 48,412
2012年度 33,269 14,858 48,127

殺処分数

犬の殺処分数 猫の殺処分数 合計
2016年度 10,424 45,574 55,998
2015年度 15,811 67,091 82,902
2014年度 21,593 79,745 101,338
2013年度 28,570 99,671 128,241
2012年度 38,447 123,400 262,847

一律だった「殺処分」を分類

環境省は「殺処分ゼロ」という言葉がさまざまな課題や弊害を発生させているとして、各自治体に行った調査で「『殺処分ゼロ』の対象範囲を定義付けするべき」「自治体−飼育者間での『殺処分ゼロ』の共有が不十分」といった声が上がっていることも報告しています。
動物愛護管理行政事務提要の殺処分数の分類等について
同省が発表している殺処分数とは、行政の引き取り後に死亡したすべての個体数を意味しています。これには病気で治癒の見込みがなかったり、攻撃性が強すぎるなど譲渡することが適切ではなかったりする個体の、いわゆるアニマル・ウェルフェアにのっとった殺処分(安楽殺)や、行政の保護中の自然死(怪我や病気など)も含まれており、「ゼロ」に対する誤解を生んでいるのではないかという声が少なくありませんでした。
そこで同省は殺処分を「1:譲渡することが適切でない」「2:分類1以外の処分」「3:引き取り後の死亡」の三つに分類。譲渡できた可能性が高く、最優先でゼロを目指すべき犬や猫(分類2)が殺処分された数は3万1079匹ということがわかります。小池知事が「ペットの殺処分ゼロ」を掲げる東京都は、この分類2の数をゼロにすべき殺処分数として、犬は2016年度にゼロを達成し、猫は残り94匹となっています。

分類1 分類2 分類3
犬の処分数 4,174 5,223 917 10,424
猫の処分数 12,161 25,856 7,557 45,574
平成29年度版速報値

則久室長は、「どうしても必要な安楽殺は残ると思うのですが、健康で譲渡できるはずの犬猫が引き取り先がないということで殺処分されるという状況は、無くしていかなければいけない。自治体に負担を掛けるのではなく、そういった状況が生まれてこない状況を作らなければいけない。そこがまだまだ課題です」とコメントしました。