【獣医師執筆】猫はキャベツを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫はキャベツを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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トンカツのお供でもおなじみキャベツ。愛猫と楽しみたい方もたくさんいますよね。水分が豊富で葉がとても柔らかい春キャベツに葉がぎっしりと詰まった冬キャベツ。一年中おいしく食べることのできる野菜の一つなので、食卓に上がる機会も多いと思います。猫はキャベツを食べても大丈夫です。今回はキャベツに含まれている栄養素やおすすめの調理方法等を紹介します。

猫はキャベツを食べても大丈夫

キャベツ

キャベツはカリウムやカルシウム、ビタミンK、葉酸、ビタミンCなどが豊富で、猫が食べても大丈夫な野菜です。なお、キャベツは食物繊維が豊富な野菜というイメージですが実際は100g中1.8gほどで、特別多いわけではありません。

キャベツに含まれる栄養素

エネルギー 21kcal
水分 92.7g
糖質 3.4g
カリウム 200mg
カルシウム 43mg
ビタミンK 78μg
葉酸 78μg
ビタミンC 41mg
食物繊維 1.8g
※生100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

栄養素
特徴
カリウム 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。
カルシウム カルシウムは骨や歯の材料になるだけでなく、神経の情報伝達にも重要な役割を持ちます。カルシウムは不足したときだけでなく、過剰摂取でも整形外科疾患のリスクを高めます。
ビタミンK ビタミンKは血液凝固や骨の形成に欠かせません。猫は腸内細菌によって体内で合成されるため食事から補給する必要性は高くないとされています。
葉酸 体の細胞の生まれ変わりや成長をサポートするという大切な役割を持ち、「造血のビタミン」と呼ばれます。不足すると貧血や免疫力の低下につながります。
ビタミンC 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。猫は体内で合成することが可能です。
食物繊維 腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したりします。水溶性は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性は便秘の改善などの効果が期待できます。

ビタミンU

ビタミンUはキャベツから発見されたことから「キャベジン」とも呼ばれます。胃酸の過剰分泌を抑えるとともに、胃の粘膜を保護して胃の働きをサポートしてくれます。

猫にキャベツを与える際の注意点

猫

猫はキャベツを食べても大丈夫ですが、与え方には注意が必要です。

キャベツには、尿路結石をつくってしまう可能性のあるシュウ酸や甲状腺機能低下症になってしまう恐れのあるゴイトロゲンを含んでいます。長期的、また大量に与えることは避けましょう。

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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シュウ酸

キャベツにはシュウ酸が豊富に含まれています。シュウ酸は体内でカルシウムと結びつきシュウ酸カルシウムとなります。

やがてそれが結晶化すると腎臓、尿管、膀胱、尿道の中に結石となってしまいます。結晶が尿管や尿道につまってしまうと、排尿ができないために腎臓機能が停止をし、最終的に腎不全になってしまいます。

ゴイトロゲン

キャベツや大根、ブロッコリー等のアブラナ科に属している野菜にはゴイトロゲンという成分が含まれています。

ゴイトロゲンは、体内において甲状腺ホルモンをつくるために必要なヨウ素の吸収を阻害してしまうといわれています。代謝の調節を司る働きがある甲状腺ホルモンは、ゴイトロゲンを過剰に摂取してしまうと、甲状腺機能低下症という病気になってしまう恐れがあります。

キャベツの大量摂取によって犬の甲状腺の機能が低下したという臨床報告は見受けられませんが、元々甲状腺に疾患のある猫は念のため注意しましょう。

猫へのキャベツの与え方

キャベツ

生のキャベツ

生のキャベツは加熱等により栄養価が失われていないため、とても健康的です。ただし生野菜は消化されにくいので、細かく切ってあげるとよいでしょう。

茹でたキャベツ

キャベツは水溶性ビタミンをたくさん含んでいます。そのため、加熱してしまうとキャベツに含まれているビタミンのほとんどを失っていまいます。キャベツは短時間で加熱することをおすすめします。

キャベツの葉

キャベツの葉は猫が食べても大丈夫です。ただし、前述したシュウ酸はキャベツの内葉より外葉に含まれています。外葉は農薬がかかっている恐れもあるため、できるだけ内葉をあげましょう。

キャベツの芯

芯は根の一部なので、土から吸い上げた農薬が凝縮されやすい場所です。加熱しても完全に農薬が除去できるわけではないので、猫にキャベツの芯はあげないようにしましょう。

猫にキャベツの与え過ぎは尿路結石の危険も

キャベツ

猫はキャベツを食べても大丈夫です。ですが、前述した通りキャベツには尿路結石をつくってしまう可能性のあるシュウ酸や甲状腺機能低下症になってしまう恐れのあるゴイトロゲンを含んでいます。

少量を与える分には問題ありませんが、積極的に与える必要性もありません。猫は基本的に総合栄養食を食べていれば健康的に過ごせます。人間が普段食べている食材でも、猫が食べてはいけないものも多数存在します。

キャベツに限らず「この食べ物を猫は食べていいのかな?」と疑問に思った場合は、すぐに調べるようにしましょう。

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