アイメイト協会が盲導犬を蹴る動画に見解 「この映像だけで『蹴った』とは断定できない」

盲導犬ユーザーが盲導犬を蹴る様子を撮影した動画について、該当の盲導犬を輩出した公益財団法人「アイメイト協会」は23日(月)、公式サイトに「盲導犬を蹴ったという動画について」と題した説明文を掲載しました。盲導犬ユーザーから「犬を蹴る意図はなく、協会の指導と異なる間違った方法をとってしまったこと」「深く反省していること」を確認したと説明する一方で、「この映像一つだけをもって『蹴った』と断定することはできない、というのが公平な結論と考えます」という見解を示しています。

盲導犬引き揚げまでの経緯

説明文では最初に、「インターネット上には、憶測を含めたさまざまな情報が飛び交っていますので、あらためてこの間の経緯を説明いたします」と公開の意図を説明。経緯として、10日に動画の存在を確認し、「当協会の卒業生かどうかの調査を開始」。翌11日には「動画の人物が当協会の卒業生のAさんであること」「Aさんに犬を蹴る意図はなく、あくまで方向を修正する意図であったが、協会の指導と異なる間違った方法をとってしまったことを認識し、深く反省していること」を確認したとしています。
アイメイト協会はAさんの人柄から「緊急性は無い」と判断して週末の14日に面談をすることを決定しましたが、「和光市駅で該当者を突き止めるべく張り付いている人が複数いる」との情報が入ったことから前倒しして面談を実施。「総合的な判断によりその場で犬を引き揚げることを決め、協会へ連れて帰りました」。
動画は今月8日に和光市駅(埼玉県)のホームで撮影されたもので、盲導犬ユーザーが盲導犬を蹴る様子としてSNSで拡散。13日に事実確認を行っていた動物保護団体から、盲導犬が無事に保護されたことが報告されていました。アイメイト協会も今回の説明文の中で、「獣医師による診断も行いましたが、虐待が疑われるような痕跡は一切ありませんでしたし、良好な健康状態を保っておりました」と報告しています。
動物保護団体「RJAV被災動物ネットワーク」が公開した保護された盲導犬の動画

盲導犬は健康な状態にあることを確認

今回の説明文では盲導犬の引き揚げまでの経緯に加え、「『虐待』というレッテル」という項目を設け、動画が盲導犬を「蹴った」動画として広く認識されていることについて、「『蹴っている』と受け取った方がいたかもしれません。しかし警察とともに冷静に観察した上で申し上げるならば、この映像一つだけをもって『蹴った』と断定することはできない、というのが公平な結論と考えます」と反論。「犬が健康な状態にあることが確認されています。『蹴った』『虐待』していたという痕跡も、また、本人の周囲からも、そうした事実は一切認められませんでした」と結論付けています。
ただ、盲導犬が保護される前日の12日には、全国盲導犬施設連合会と加盟する8団体が連名で「盲導犬を足で蹴っている動画について」と題した声明文を発表しており、これらの盲導犬関連団体とアイメイト協会で認識の違いがあることになります。ペトこと編集部が8団体のうちの一つである日本盲導犬協会に確認したところ、同協会から「蹴ったか蹴っていないかの議論はしない」という前提のもと、以下の見解を頂きました。
  1. 生き物を含め、モノに対して意図を持って足で触れるという行為を一般的には「蹴る」と捉えるのはごく自然なことで、今回、多くの市民も「蹴る」と表現し、常識を逸脱した行為と受け止められるのは無理からぬことと思います。蹴ったのでなければどういう意図であったのか。また、指導と異なる方法をとってしまったその理由は何かなど、疑問も多く残ります。

  2. 当協会の目指す、「犬も含め誰の犠牲の上にも立たない盲導犬歩行」というポリシーからすれば、犬に足で指示するということはありえない行為で、どのような意図であっても生き物への尊厳が感じられません。

アイメイト協会は今後について、「今回の件について整理・検証を行い、あらためて使用者に対して適切な教育・啓発活動を実施していく所存です。また、今回、当協会からの情報提供において反省すべき点があったものと考えております。正しい情報を適切に発信するようこれまで以上に努めてまいります」としています。