犬と猫の足跡を見分けることができますか? 犬と猫の肉球の違いを解説

犬と猫の足跡を見分けることができますか? 犬と猫の肉球の違いを解説

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犬や猫の足跡はモチーフとしても人気がありますよね。そんな足跡ですが、よく見ると犬と猫では違うことを知っていましたか? 肉球もぷにぷにしていてかわいらしいですが、実は犬と猫とで役割や触り心地など異なる部分がたくさんあるのです。犬と猫の足跡と肉球について見てみましょう。

肉球の役割

動物でも肉球があるものとないものがいますね。肉球はどんな役割を果たしているのでしょうか。

走っている犬

獲物に近づくため

肉球を持つ動物は主にネコ科、イヌ科、クマ科、イタチ科、などの「肉食目」や「ネズミ目」の動物です。肉食か肉も食べる雑食の動物が肉球を持っていること多いのが分かりますね。そのほかに一部のウサギ(ミニレッキスやホーランド・ドロップ)やカンガルーやコアラなどの有袋類にも肉球があります。

肉球を持っている多くの動物が肉食をすることから分かるように、肉球の最大の役割は狩りをする際に獲物に気が付かれないように足音を消すことです。犬も猫も床が固いフローリングであっても、走れば音がしますが、歩くときは音がしませんね。

クッションになっている

肉球がぷにぷにと柔らかいのは、コラーゲンなどの弾性繊維や脂肪が詰まっているためです。やわらかい肉球は歩いたり走ったりするときの衝撃をやわらげて関節や骨を守る役割も果たしています。クッションの役目があるのですね。

汗をかく場所

犬や猫には人間のように汗をかいて体を冷やすという機能はほとんどなく汗腺もほんのちょっとしかあしません。その数少ない汗腺が犬や猫は肉球にあります。ただし、人間が汗をかく働きをする器官であるエクリン汗腺はほとんどなく、アポクリン汗腺という汗腺になります。エクリン汗腺も少しあるので、体温調節という機能もまったくないわけではないのですが、犬や猫が汗をかく意味は人間とは違います。

肉球に多くあるアポクリン汗腺は主に匂いを出す働きがあり、出てくる汗もエクリン汗腺のようなさらさらとした水のような汗ではありません。アポクリン汗腺から出る汗は粘り気があるのですが、これは匂いをつけやすくするためと肉球のすべり止めという意味もあります。肉球が適度に湿り気があることで、滑りにくくしているのですね。


犬と猫の足跡は似ているようで全然違う

犬の足跡
犬の足跡

猫の足跡
猫の足跡

肉球は次のような部分からなりたっています。

  • 掌球(しょうきゅう): 前足の真ん中の大きな肉球。後ろ足は足底球(そくていきゅう)と呼ぶ。
  • 指球(しきゅう): 掌球の周り、爪の下にある肉球。後ろ足は趾球(しきゅう)と呼ぶ。
  • 手根球(しゅこんきゅう): 掌球から離れた場所、足首辺りにある肉球。
犬と猫の肉球の構造は似ているので、足跡も一見似ていますがよく見ると違います。犬の足跡は、指球(しきゅう)の間が狭くほぼくっついていますが、猫は犬に比べると少し間隔が広めです。掌球と指球との間も猫のほうが広めです。

猫の足は爪を出し入れできるので、爪を出したときしか爪の跡は付きませんが、犬の爪は出しっぱなしなので、泥などについた足跡をよく見ると犬の足跡は爪の跡が確認できます。

犬の肉球

犬の肉球

犬の祖先はオオカミもしくはオオカミの亜種と言われています。オオカミは主に寒い地方に住んでいますね。雪の中で狩りをし、長い距離も移動します。肉球もその生活に都合のいいものになりました。

犬の肉球は猫の肉球に比べると角質層が厚く、ザラザラしています。子犬のときはまだ肉球が柔らかいのですが、大きくなるにつれて固い地面をたくさん歩くのでだんだん固くなっていきます。しかし、現在はおうちの中で飼われている子も多く、そういう子はお散歩には出ても大部分の時間をおうちの中で過ごし、柔らかい寝床に寝るので外で暮らしている子のように固くならず、大人になっても柔らかい肉球の子もいます。

犬の肉球がザラザラしているのは滑り止めの役割をはたしているためです。獲物を追うために走りにくい地形や雪の上でもしっかり走れるように、なおかつ急な方向転換にも対応するためです。爪が猫のように引っ込まず出っぱなしなのも、走る際のスパイクの役割を果たしているからなのです。触った感触だけではザラザラがよくわからないかもしれませんが、猫の肉球の触り心地と比べるとザラザラしている感じが分かります。

寒い地方出身の犬は寒さに強いのですが、肉球も耐寒構造になっています。犬の血管は動脈と静脈がくっついているので、血液が冷えにくいのです。人間の動脈と静脈は離れているので、血液が静脈を通って心臓に戻ってくるまでに冷えてしまうのです。ヒトはアフリカで生まれたとされていますから、寒さには強くない構造になっているのですね。犬の体は冷えにくい構造になっているので、凍った大地でも駆け回ることができるのです。



猫の肉球

猫の肉球

猫の肉球は犬よりも柔らかく、角質層も薄くツルツルしています。これは猫の先祖のリビアヤマネコが暮らしていた生活環境が大きく影響しています。リビアヤマネコが暮らしているのは砂漠地帯で暑い地方です。そして、猫も走りはしますが基本は待ち伏せ型の狩りをします。

つまり、犬以上に音を立ててはいけないのです。雪の上で狩りをすることもなく、凍った地面を走ることもありませんから、滑り止めは必要ありません。獲物を捕まえるためには音を立てないことが大切なので、ツルツルした肉球なのです。

猫は高い場所に登りますね。飛び降りる際に柔らかい肉球はクッションの役割も果たしてくれます。また猫は足でものを握ることができます。もちろん人間のように器用に持つことはできませんが、お気に入り物をぎゅうっと握りしめたりしますし、猫の肉球をちょっと押すと、きゅっと握り返してくることがあります。猫の肉球は指球の感覚が広く、良く動くのである程度物をつかむことができるのです。

猫の肉球はしっとりしていることが多く、犬よりも汗が出やすいようです。猫の肉球はツルツルしているので、肉球を湿らせておくことによって滑り止めの効果があるのです。猫はこのすべり止めと器用につかむことができる肉球を持っているので、高い場所や狭い場所でも歩くことができます。カーテンレールの上や、薄型テレビの上でも平気で歩くことができますね。

猫は砂漠出身なので、人間と同じように動脈と静脈が離れています。そのため、寒さには強くありません。冷たい雨や雪の上を歩くことを好まないのは、足がすぐに冷たくなってしまうからでもあるのです。

犬でも猫足? 犬種によって違う足の形

犬は犬種によって少しずつ足の形が違うことがあります。

猫足

犬なのに「猫足」と呼ばれる肉球を持つのが、秋田犬ドーベルマンエアデールテリアなどです。猫足の犬の足は丸くて小さめで、まるで猫の足のようです。早く動くことができて、持久力に優れているとされています。

うさぎ足

「うさぎ足」とは、足の真ん中の2本の指(人間の中指と人差し指にあたる)が長めの形の犬の足のことです。サモエドボルゾイなどがこの足の形です。

水かき足

「水かき足」は一番わかりやすいですね。言葉どおり指と指の間にある水かきの部分が大きい犬のことです。水かき足を持つ犬はニューファンドランドやチェサビークベイレトリバーなど。これらの犬は海難救助や水辺の狩りなどで使用される泳ぎが得意な犬たちです。

肉球の健康チェック

眠っている猫

犬と猫の肉球はそれぞれ違うことが分かりましたが、どちらも大事な部分であることは変わりありません。

肉球の怪我は治りにくい

肉球の表面には血管がありませんので怪我をするとなおりにくいですので、注意しましょう。猫は完全室内飼育をしていれば、肉球に怪我を負うような危険にはあまりあわないと思いますが、外に出かける犬は怪我をするような場所を歩かせないようにするなどの配慮は必要です。

足は地面に接触する場所でもあるので、傷つくと菌やウィルスにも感染しやすく、炎症を起こす可能性もあります。肉球は角質が厚く丈夫とはいえ、炎天下のアスファルトなどではやけどする恐れもありますから、注意してあげてください。

乾燥やひび割れに注意

肉球は乾燥やひび割れも起こしやすいです。猫は自分で肉球の手入れもしますし、犬よりも湿り気を保っていますが、犬は自分でグルーミングしませんし乾燥もしやすいです。日頃から肉球の状態をチェックしてあげたいですね。濡れた足を放置すると乾燥の原因になりますし、菌が繁殖して炎症を起こすこともあります。お散歩から帰ってきて足を洗った後は肉球の間の水分もしっかり拭き取ってあげてください。

肉球の保湿クリームを使用する際は、成分などをよく確認して犬や猫が舐めても安全な専用のものを使用するようにしてください。猫にとってアロマオイルやアロマ成分は危険なので、それらが配合されている可能性がある人間用クリームなどは絶対に使用しないようにしましょう。犬用のクリームの中にはアロマオイルが配合されていることもありますので、猫には専用のもの、もしくは犬猫兼用のものだけを使ってください。

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似ているけど実は結構違う

眠っている猫

肉球は実物もかわいいですし、イラストもかわいいので好きな方は多いでしょう。犬と猫の肉球は同じように見えても実は違う点がたくさんあることが分かりましたね。筆者は犬も猫も飼っているのでよく分かりますが、犬の肉球は例えるなら柔らかいゴム、猫は弾力のあるゼリーです。

異なる点があるものの日常生活を送るためにはとても大切な器官であることは同じです。丈夫にできている反面、傷ついてしまうとなかなか治りがたいので注意してあげたいですね。