パグのためだけのペット保険がある!? インシュアテックが変えるペット保険の未来

パグのためだけのペット保険がある!? インシュアテックが変えるペット保険の未来

保険大国と言われる日本。生命保険に始まり、損害保険など、あらゆる保険に支えられ生活しています。飼い主なら当たり前ですが、ペットにもペット保険が存在しますよね。でも日本の加入率は3%程度とまだまだ海外に比べて少なく、ペット保険の必要性を感じる方が少ない現状があります。その理由の一つに、犬種の違いが挙げられます。私の愛犬であるコーギーであればヘルニアにかかりやすいため整形外科関連の疾患には予防意識があります。トイプードルの飼い主さんであれば皮膚炎や眼の疾患にかかりやすいですよね。このように犬種によって意識する病気が異なることで、全般的な保険にメリットを感じられないのかもしれません。もちろん、どんな病気にもかかる可能性はありますし、骨折することもあります。そんな中、今世界ではInsurTech(Insurance Tech、保険テック)が話題となっています。今回は、保険の未来とペット保険の未来を考察してみます。

インシュアテック(InsurTech)とは

保険のイラスト

インシュアテックは、ICT(情報通信技術)をはじめとするテクノロジーを活用することで、保険に今までになかった効率性を生み出したり、新たな商品をつくることを指します。インシュアランス(Insurance:保険)とテクノロジー(Technology:テクノロジー)を掛け合わせた造語です。

インシュアテックで何が変わる?

1. データを通した最適な保険の提案

例えば生命保険を例にすると、保険料に健康状態の指標が反映されて金額が変わりますが、その指標というのは年齢によって比例的に増えるようなものが一般的でした。しかし、スマートフォンやウェアラブル端末が普及したことで、各個人の健康データが低コストで取得できるようになりました。

それに加えて、ビッグデータや人工知能(AI)を活用することで、より加入者の生活に密着した保険プランの提案ができるようになりました。保険会社からすれば加入者が健康になることで保険金の支払いを減らすことができ、加入者にとっても本当に自分が必要とする保険を享受できるメリットがあります。

2. マイクロコミュニティーでの保険加入

保険と言えば、保険会社が定める決まったプランに入ることが当たり前ですよね。しかし、加入者が本当に欲しい保険ニーズは細分化されつつあります。

例えば自動車に対して保険をかける自動車保険のように、大切にしているスマートフォンやパソコンなどにも保険を適用したいと考える人が出てくる時代になっています。まだまだ法規制の問題はありますが、同じ保険ニーズを持つ加入者がコミュニティーを作り、コミュニティーの中で保険を運用する、そんな時代がやってきます。

海外の主要インシュアテックスタートアップ

日本ではまだまだこれからですが、海外ではすでにインシュアテックで注目されるスタートアップが出てきています。

スタートアップ企業名
地域
セグメント
Zhong An
中国
生命保険
Oscar
アメリカ
医療保険
Metromile
アメリカ
自動車保険
Accolade
アメリカ
医療保険
Collective Health
アメリカ
医療保険
Bright Health
アメリカ
医療保険
Lemonade
アメリカ
P2P保険
Trov
アメリカ
損害保険
Bought By Many
イギリス
P2P保険
Friendsurance
ドイツ
P2P保険

オンデマンド保険プラットフォームを提供する「Trov」は日本のSOMPOホールディングスも出資しており、海外展開を加速させています。このサービスは、iPhoneやiPad、Xbox、Fitbitなど、自分が大切にしている商品に対して単体で保険をかけることができます。


日本の現状は?

日本ではまだ法的に保険の規制が厳しく、海外と比べてインシュアテックの流れは遅いと言えます。しかし、海外のインシュアテックスタートアップたちはテクノロジーの進化に合わせて保険のビジネスモデルそのものを変えようとしています。

このままでは、日本でようやく規制が緩和された頃には、海外の保険企業が席巻していたという未来も想像できてしまいます。最近は日本でもjustInCaseなどインシュアテックスタートアップが出てきており、スピード感ある成長と大企業との協業による革新的なビジネスモデルの創造が期待されます。

インシュアテックが果たすペット保険の未来とは

では、インシュアテックによってペット保険はどう変わっていくのでしょうか。

生体センサーを通して個々に最適な保険料の提案

IoTデバイスを着けた犬

IoTの普及によって、ペットの生体情報も取得することが容易になってきました。マースグループが買収したWhistleを始め、ウェアラブルIoTは多く出ています。また自動給餌器やトイレのIoTも開発されており、今後さらに多くの生体情報がリアルタイムで取得できるようになります。

ただ、課題として現状は行動データや心拍数は取得できるものの疾患と結び付けるデータが取得できていないのも事実です。しかし、ビッグデータが集まることで、今まで見えてこなかった疾患と生体データの関係性が把握できるようになれば、さらに獣医療やペットの健康寿命は向上することでしょう。


細分化されたニーズに対応した保険商品の提案

イギリスのスタートアップである「Bought By Many」は、ユーザー自身が欲しい保険商品を提案し、十分な賛同者が集まると保険会社と交渉して新しい商品を提供するという新しいビジネスモデル「P2P(peer-to-peer)保険」を確立しています。

ペットP2P保険

実際にパグの飼い主さん向けに「パグ犬保険」が提供されています。パグの飼い主さんであれば分かるかと思いますが、パグは他の犬と比べて風邪を引きやすく、通常のペット保険ではカバーできなかったり、割増保険料を求められるようです。そこでパグの飼い主さんがコミュニティーを作り、Bought by Manyが保険会社と交渉することで「パグ犬保険」ができました。現在では153ものペット向けグループが成立しています。

特に犬で言えば、犬種によってかかりやすい病気や疾患が異なります。そのため、犬種や年齢期などによって細分化された保険が生まれ始めているのです。

ペットP2P保険

日本のインシュアテックはまだまだ発展途上

今回はインシュアテックについて簡単に整理しましたが、日本では法規制も強く、海外と同じスピードでは変化していないのが現状です。しかし、フィンテック(Fintech)と同じく、一気に変化するタイミングが訪れることが期待できます。

日本のペット保険加入率はまだまだ少なく、欧米などではペット保険の加入率が20%程度なのに対し、日本ではまだ3~4%程度と低いです。楽天がペット保険業界に参入したり、アイペット損害保険が上場するなど、これからもペット保険の成長は期待できます。インシュアテックにより、ペット保険がそれぞれの飼い主さんに合ったものとなり、ペットの健康につながることを期待します。

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