【うさぎの飼い方ガイド】基礎知識から餌・トイレ・病気までまとめて解説

【うさぎの飼い方ガイド】基礎知識から餌・トイレ・病気までまとめて解説

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最近人気のウサギ。一人暮らしでも飼いやすいペットであることが人気の理由の一つであるようですが、どのような性格や特徴を持っているのでしょうか? ウサギの基本情報から飼い方までご紹介します。

最近人気のうさぎ。一人暮らしでも飼いやすいペットであることが人気の理由の一つであるようですが、どのような性格や特徴を持っているのでしょうか? うさぎの基本知識から、餌やしつけ、かかりやすい病気など、ペットとして飼うための知識や飼い方を紹介します。

うさぎってどんな動物?

基本情報

うさぎは草食動物で、性格は温厚で人懐っこいと言われています。賢くしつけもでき、名前も覚えることができます。もちろんそれぞれに個性があり、うさぎの種類によっては気が強かったり、とても大人しかったりとさまざまです。


分類

ペットとして飼養されるうさぎは、生物分類で「哺乳綱ウサギ目(重歯目)ウサギ科アナウサギ属」の「アナウサギ」で、通称として「イエウサギ」や「カイウサギ」と呼ばれることがあります。アナウサギという名前の通り、ワーレンと呼ばれる巣穴を掘って住むのが特徴です。

野生化したアナウサギが掘った穴(大久野島)
野生化したアナウサギが掘った穴(大久野島)

日本にいる野生種は前述したアナウサギのほか、ウサギ目ナキウサギ科の「ナキウサギ」、ウサギ科ノウサギ属の「ユキウサギ」「ニホンノウサギ」、ウサギ科アマミノクロウサギ属の「アマミノクロウサギ」の4種がいます。唱歌「故郷」に「兎追ひし彼の山」という歌詞が出てきますがこの「兎」はニホンノウサギのことを指しています。なお、本稿ではペットとしてのうさぎについて記述している場合の「うさぎ」とは、説明がない限り「アナウサギ」のことを指しています。

歴史

中国・モンゴルの地層から約5000万年前のうさぎに類似した種(未命名)の化石が見つかっており、これがうさぎの祖先だと考えられています。現在のナキウサギ科に近く、約500万年前ごろには北アメリカ・ヨーロッパに分布したようで、「パレオラグス」という種の化石がアメリカで見つかっています。人に飼われるようになったのは古代ローマ時代と言われ、ローマ人がスペインがあるイベリア半島で生まれたアナウサギを食用としてイタリアに持ち帰った記録が残っています。

16世紀ごろまでは食用や毛皮を目的とした家畜として飼われていましたが、次第にヨーロッパ貴族の間でペットとして可愛がられるようになりました。その頃、日本にもアナウサギがオランダから輸入され、江戸時代にはあふれるほどいたようです。明治時代には「ウサギバブル」と呼ばれるほどのうさぎブームが起こりましたが、兵士の防寒具にするため大量に狩猟されたことから急激に数を減らしました。第二次世界大戦終了後、品種改良を重ねて小さくなったうさぎは室内用の「ハウスラビット」として飼われるようになり、今では犬猫に続くスタンダードなペットとなっています。

参照:「パレオラグス属(未定種)の全身骨格(ウサギの化石)」群馬県立自然史博物館(2017/04/08)

寿命

病気や先天性の疾患等で早く死んでしまう場合もありますが、うさぎの平均寿命は約7〜8年と言われています。

生態

うさぎは完全草食動物で、盲腸が発達しています。盲腸では一般的に知られているコロコロした丸い糞のほかに、「盲腸便」と呼ばれる柔らかい粘液に覆われた糞を作っています。これは草の消化が難しいためで、うさぎは草を食べると胃で消化できなかったものを盲腸に送り、盲腸にいる多数の細菌に発酵してもらいます。発酵されたものを盲腸便として再び食べることで胃の消化を助け、効率良く栄養を吸収しているのです。うさぎはもともと夜行性のため、食糞行動は夜間に行われることが多く、うさぎの飼い主さんでもよく観察していないと見る機会はありません。

野生のアナウサギは気温差の少ない巣穴で生活するため、ペットのうさぎは温度変化に強くなく、18〜23度が適温とされています。高温になると熱中症の危険があり、湿度が高いと皮膚病にかかりやすくなります。

形態

目は片目で180度、両目でほぼ360度見渡すことができます。ただ、立体視ができるのは正面だけで視力もよくありません。それを補うのがヒゲと耳です。うさぎと言えば大きな耳が特徴ですが、小さな音も聞き分けて身を守る機能だけでなく、体温を下げる機能もあります。うさぎには汗腺がありませんので、大きな耳から放熱することで体温調節を行っているのです。『ピーターラビット』で有名なネザーランド・ドワーフのように耳が立っている種類もいれば、ホーランドロップのように耳が垂れている種類もいます。

またうさぎは上下2本ずつの切歯(せっし)も特徴的です。ただ、うさぎは「重歯目」と分類されることもある通り、切歯は前歯の4本だけではなく6本あります。残りの2本は上の切歯(大切歯)の後ろにあり、小切歯と呼ばれます。このほか臼歯が22本ありますので、全部で歯は28本です。すべて伸びる歯なのも特徴です。

「アナウサギ」と「飼いウサギ」と「野ウサギ」の違いって?

ペットのウサギはもともとヨーロッパにいた「アナウサギ」を家畜化したもので、英名では「Domestic rabbit」と呼ばれ、日本では「飼いウサギ」と呼ばれることもあります。16世紀に日本に輸入され、19世紀前半から無人島などで野生化したアナウサギもいます。ウサギ島として知られる広島県の大久野島(おおくのしま)にいるウサギもアナウサギで、1971年に小学校で飼われていたウサギが島に放獣され、天敵がいなかったことから爆発的に増えたと言われています。周囲4キロの島に現在700匹以上生息しているそうです。


大久野島のアナウサギたち
大久野島のアナウサギたち

日本でいわゆる「野うさぎ」と呼ばれているのはニホンノウサギのことで、地域によって固有種もいますが、北海道や島嶼部を除く全土に生息しています。ノウサギは「農林水産業等に対する害性」もあることから環境省が狩猟鳥獣として選定していますが、一方で佐渡島に生息する「サドノウサギ」は準絶滅危惧種に指定されています。


アナウサギ(飼いウサギ)とノウサギは外見からはっきりと差があります。まずアナウサギは巣穴を掘るために前足が短いのが特徴です。一方、ノウサギは巣穴を持たず、木の根元や茂みに隠れてくらすため、天敵からすぐ逃げられるよう前後の足がアナウサギより長く、耳も長いのが特徴です。また、ノウサギの赤ちゃんには毛が生えており、目も見えますが、巣穴を持つアナウサギの赤ちゃんはすぐに天敵から身を守る必要がないため毛が無く、目も見えません。


うさぎを飼うにはどのくらいお金が必要?

ペットショップ、ブリーダーから

ペットショップでの価格相場は、基本的に1〜3万円ほどだと言われています。しかし、血統書付きだと8万円ほどするうさぎもいます。犬や猫とは違って「小動物」という扱いになるため価格も低めですが、品種や状態によって変動します。また、うさぎ専門のペットショップやブリーダーの元で販売されているうさぎは、しつけなどが済んでいる場合も多く、その分が価格に反映されていることもあります。

里親から

ペットショップからではなく、里親としてうさぎを引き取るという方法もあります。さまざまな理由で動物愛護センターに引き取られたうさぎは、センターで里親を募集している場合もありますし、動物保護団体が引き取って里親を募集している場合もあります。

うさぎの里親探しをしている団体の一例



うさぎの飼い方

うさぎは屋内のケージ飼いが基本となります。ケージの床は足を痛めないように金網ではなく木製のスノコがオススメです。ケージから出して部屋の中で遊ばせる場合、異物を食べてしまうことに気を付けなければいけないのは犬や猫と変わりませんが、うさぎは特に電気コードをかじってしまうことがあるので注意が必要です。

飼い方のポイント

ケージは広めのものを選ぼう!

ウサギの写真


ケージは十分に動き回れるくらいの大きさが必要です。子うさぎの時は広すぎるように思っても、生後約6カ月で成人し、あっという間に成長します。

ケージの外で遊ばせるときは要注意

ケージの中だけでは運動不足になってしまうので、毎日室内で十分に動く時間が必要です。この時、室内のあらゆるものをかじるので注意が必要です。しかし、これは習性なので怒ったりしつけたりすることで止めさせることはできません。うさぎの歯は生涯伸び続けるので、かじるのは仕方がないのです。

好奇心が旺盛なうさぎは、かじり木やおもちゃを与えても、家具や柱などの木材品はもちろん、壁紙や電気コードや衣類等までかじる子が珍しくありません。また、有害なものを口にしてしまうことで体調を崩すリスクもあります。ケージの外で遊ばせる時には、目を離さないようにしましょう。

多頭飼いは慎重に

つがいで飼いたい方もいると思いますが、繁殖力が非常に強いのであっという間に増えてしまいます。可愛い赤ちゃんのうちは相部屋でも良いのですが、3〜5カ月後には個々のケージが必要です。また、同性であっても縄張り意識が強く、相部屋にすると怪我やストレスのもとになってしまいます。全ての子が安心して動き回れる程度の広さを確保しなければならないので、多頭飼いをする時は十分に準備しましょう。

温度管理がとても大切!

小動物全般に言えることですが、犬や猫に比べてもとてもデリケートです。暑さや湿気に非常に弱いので、真夏はなるべく冷房による温度管理を行い、冬もペットヒーターの活用等気を配らなければなりません。

ライフスタイル別うさぎの飼い方

一人暮らしの場合

うさぎを飼うことで一番のメリットは「賃貸物件でも飼うことができる」ということでしょう。鳴き声が小さく、部屋を汚す可能性も低いうさぎは、賃貸物件で飼うペットとして最適であると言えます。もちろんペット可の物件を選ぶことが必須ですが、ケージや餌、トイレなどの設備も最低限で済むので、経済的に考えても現実的であることが魅力です。

ただし、うさぎを取り扱ってくれる動物病院は、犬猫に比べて少ないのも現状です。急に病気になってしまった場合、どこに連れて行けばいいのか下調べはちゃんと行いましょう。自分が飼い続けることができなくなってしまった場合や長期の旅行に行く場合、うさぎを預けることのできる人を探しておくのも大切です。

共働きの場合

共働きといえば「家に誰もいない時間が長い」というイメージで、ペットを飼うことは難しいのではないかと考える人もいるかもしれません。また、「うさぎは寂しいと死んでしまう」という言説があるためか、ためらってしまう人もいるようです。しかしうさぎにとって一匹でいる時間は大切であり、あまり苦にならないとも言われています。家にいるときは餌とトイレ掃除をして、家を空けるときはケージに入れることを徹底しておけば、うさぎにとっても心地よい生活をおくることができるのです。

子どもがいる場合

小さい子どもがいる家庭でうさぎを飼う場合は、小動物としての取り扱いに注意が必要です。多くの家庭で飼育されているネザーランド・ドワーフなどの小さなうさぎは、少し力を込めて触れるだけで簡単に骨や内臓にダメージを加えてしまいます。力の加減が分からない年齢の子どもがいる家庭では、家にいるときでもうさぎをケージに入れておくなどの配慮をしましょう。

他にペットがいる場合

現在犬や猫を飼っていて、新たにうさぎを飼いたいと思っている場合、「棲み分け」が重要です。先住犬や猫と、新たに家にやってくるうさぎの相性は、実際に会ってないと分からないもの。最初はうさぎをケージに入れた状態で様子を見てみましょう。もしお互いがリラックスしている状態ならば、ケージの外へ出して一緒に遊ばせるなど、少しずつ接触を増やしてもいいかもしれません。

しかしどんなにお互いがリラックスしているからとはいえ、そもそも犬猫は捕食動物で、うさぎは被捕食動物であることを忘れてはいけません。家を空ける際にはうさぎをケージに入れておいた方が安心でしょう。

季節別うさぎの飼い方

春はうさぎにとって過ごしやすい季節。しかし急激な温度の変化があると体調を崩すことがあるため、部屋の温度には注意するようにしてください。季節の変わり目には毛が生え替わるので、こまめにブラッシングし抜け毛の掃除を丹念に行いましょう。

うさぎは暑さや高湿に弱く、体調を崩す可能性があるので、梅雨から盛夏、残暑の季節までは注意が必要です。またゲージ内に雑菌が繁殖しやすく、悪臭の原因になりやすいため、トイレシーツやトイレ砂をこまめに交換すると共に、エサが腐敗しないように目を配りましょう。直射日光を避けて風通しの良い場所に置くことも大切です。

春と同じく、うさぎにとって過ごしやすい季節です。しかし夏から秋にかけての急激な温度変化に気をつけ、湿度調整はこまめに行いましょう。

うさぎは暑さに弱いだけでなく、冬場の寒さにも弱い動物です。そのため寒い時期はゲージに毛布を掛けたり、動物用のヒーターを使うようにしましょう。毛布には糞尿の臭いが付きやすいので、悪臭を気にする場合はこまめに洗濯する必要があります。冬場ですがヒーターの熱によって餌が腐る場合があります。夏と同様、常にゲージの環境には目を配ってください。

うさぎの餌やおやつ

基本的にはラビットフードや牧草、トマトやにんじん、ホウレンソウ、りんごなどの野菜や果物を食べます。犬や猫と同じく、ネギ、ピーマン、ニラ、玉ねぎ、チョコレートは与えてはいけません。

干し草

ペットのうさぎは干し草が主食です。うさぎが好きな野草は、オオバコ、ハハコグサ、チチコグサ、タンポポ、シロツメクサ、ハコベ、アザミなどがあり、ペットショップなどでさまざまな種類が売られています。ただ基本はチモシーと呼ばれるイネ科の多年草を与えれば問題ありません。量も気にせず、常に置いてある状態で問題ありません。マメ科のシロツメクサ、クズ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、レンゲソウなどは、うさぎの腸内で発酵して病気になってしまう可能性があるため、与えるときには量に注意しましょう。

ペレット(ラビットフード)

市販されているうさぎの餌として、牧草を主原料にして固めたペレットも一般的です。栄養のバランスは良いのですが、主食にすると食事の際に切歯と臼歯が摩耗するバランスが悪くなり、どちらかが伸び続けて口や顎を傷つけてしまう過長症になる場合があります。補助食品として与えるようにしましょう。

野菜・果物

うさぎの好きな野菜は、瓜(ウリ)、南瓜(カボチャ)、大根、小松菜、青梗菜(チンゲンサイ)、キャベツ、サツマイモ、サニーレタスなどたくさんあります。なかでも「うさぎには人参」というイメージの人も少なくないのではないでしょうか。しかし、野菜の中でもホウレン草に含まれているシュウ酸は過剰に与えすぎると健康に害を与えることもあるので、与えるならほんの少しだけにしておきましょう。

おやつ

うさぎのおやつになるのは、クッキーやビスケットなど、うさぎ専用の焼き菓子状のフードです。過長歯を防止する硬いものや、ラビットフードと明記されているものまで各種あります。あまり頻繁に与えると、栄養のバランスが崩れたり、肥満の原因になったりするので、注意しつつ与えましょう。

うさぎにあげてはいけない食べ物

ニラ、タマネギ、ニンニク、ショウガ、ネギのほか、野草ではワラビ、スズラン、クサノオウ、イヌホオズキなどがあります。散歩をさせるときは注意が必要です。


うさぎのケージ

おすすめのケージ

うさぎのケージを選ぶ際、重視するべきなのは
  • 床材の種類(木のすのこ、プラスチック、金属)は何か
  • トレー式か引き出し式か
の2点といっても過言ではないでしょう。床材は、うさぎの足がダイレクトに触れることを考え、あまり足を痛めない木やプラスチックなどが推奨されています。しかし床材の上でトイレをしてしまった場合、木のすのこはおしっこなどを吸収してしまうため、こまめな洗浄が必要になります。うさぎを飼っている人の中には、衛生的に安心できる金属製の床材で、一部分にプラスチックのマットを敷いている人もいるようです。

トレー式や引き出し式というのは、ケージの底の部分のことを指します。うさぎはちょっとしたことでもストレスを抱えてしまうので、ケージの環境を良くするためには、最低でも数日に一度の掃除が必要です。トレー式はケージまるごと洗わなければいけませんが、引き出し式は名前のとおり底の部分が引き出しのように取り外して洗うことができるため、とても便利です。ただ引き出し式の方が値段が高いため、自分の経済状況や生活サイクルを見直した上で決定してください。

ケージを置く場所

うさぎのケージを置く場所として一番最適なのは、「直射日光があたらない・風通しがいい・静かな」場所が良いと言われています。直射日光があたらないと言っても、一日中暗くてじめじめしている場所でもうさぎはストレスを感じてしまうため、日光を感じることのできる場所が最適です。風通しのいい場所というのは、ケージの中の湿度を高めず健康に過ごすことにもつながります。しかしいくら風通しが良いといっても、エアコンの風が直接当たる場所に置くのはやめましょう。

うさぎのトイレ

トイレのしつけはできる?

アナウサギは巣穴で生活していたため、巣を清潔に保つために決まった場所でおしっこをする習性がありました。そのためペットのうさぎも、市販のペット用トイレを用意して少しだけうんちを入れたり、おしっこの臭いを付けておくことで「ここがトイレだ」と覚えるようになります。ただ、トイレの覚えには個体差があるため辛抱強く教えてあげましょう。

必要なもの

うさぎにトイレを覚えさせるのは、掃除が楽になるだけではなく衛生面を考えるととても大切なことです。市販のペット用トイレにはプラスチック製や陶器製があるので、インテリアや値段と相談して買っておきましょう。まだトイレの場所を覚えられないうさぎのために複数個買うのもいいかもしれません。

うさぎって臭うの?

うさぎの体臭はあまりありませんが、頭・手・足・ボディには毛が密集しているため毛皮のような臭いを感じる人もいます。しかし「臭い」と感じたら、その原因は糞尿にあり、発生源になりやすいのが口とお尻部分です。うさぎは食糞してしまう場合が多く、その直後に口の周辺から悪臭が漂うことがあるのです。臭いを解消するためには「ブラッシング」と「お風呂」が必須です。

ブラッシング

うさぎもブラッシングが大切ですが、毛球症予防のためにも特に換毛期と長毛種のうさぎは欠かせません。うさぎによっては水で濡れるのを嫌ったり、ドライヤーの音を怖がる性質のものもいます。その場合はお風呂やシャワーではなくペット用のウエットティッシュを使ってみてください。ペット用の商品には除菌成分や消臭成分が含まれており、安全で手軽に汚れや臭いを拭き取ることができます。ペット用ウエットティッシュはうさぎ自身のみならず、うさぎ用のトイレやケージを清掃するのにも使えて便利です。

お風呂

うさぎをお風呂に入れる場合は専用の洗面器などを用意し、お尻や尻尾周辺を水(ぬるま湯)で軽く洗い流してください。シャワーを使う場合でも全身に水を掛けるのではなく、臭いの強い部分のみに水(ぬるま湯)を掛けて洗うようにしましょう。軽い汚れ程度なら水(ぬるま湯)だけでも落とすことができます。

うさぎも散歩は必要?

室内飼いが基本のうさぎなので、あまり外に連れていくイメージがない人もいるかもしれません。しかし犬と同じようにうさぎも散歩するんです!

うさぎの散歩は生後5~6カ月の、体つきがしっかりして来るころから始めると良いでしょう。交通量が多い場所は危険なので、基本的にキャリーバッグで移動し、開けた場所でハーネスやリードをつけて散歩させる形が一番安全です。ハーネスやリードを付けるためにはうさぎを抱っこする必要がありますが、うさぎは抱っこが好きじゃない習性があると言われているため、家の中で抱っこやハーネスなどをつける練習をしておきましょう。

屋外飼育はできる?

ネザーランドドワーフやロップイヤーなどの、小さい飼いうさぎは基本的に屋内飼育が勧められています。それは「微妙な体調変化に気付きやすいから」「餌やりやケージの掃除を忘れにくいから」など、うさぎの様子が見えやすいことが関係しています。屋外飼育をする場合は、これらのことを屋内飼育よりも意識しなければいけません。その上で、屋外飼育をするときの注意点を紹介します。

直射日光や雨風をしのぐ

うさぎは暑さに弱い動物なので、特に夏場は気を付けましょう。日光、雨、風を防ぐために屋根つきのうさぎ小屋(ケージ)を設置してください。

湿度管理をする

うさぎは湿度にも弱い動物です。地面に接してしまわないよう、高床式のうさぎ小屋(ケージ)を選んでください。また、防寒のために干し草や牧草をケージに入れることをおすすめしますが、1日に一度は取り替えるなどの管理をする必要があります。

脱走しないようにする

外で飼うときに一番心配しなければいけないのは脱走です。幅が広いフェンスなどはうさぎがくぐり抜けてしまう可能性があるため、十分に注意しましょう。また、小屋の床が土の場合、穴を掘って外へ出てしまうことがあります。

以上が代表的な注意点ですが、屋外飼育をするということは他の動物との接触も考えられます。特に野良猫などに見られるだけでうさぎはストレスを感じてしまうため、周りの環境もちゃんと考えた上で決断しましょう。


うさぎを飼う上で気を付けたい症状・病気

気を付けたい症状

食欲不振

食欲不振の原因は内臓の不具合や歯が伸びすぎた等さまざまですが、うさぎは他の動物と違って、24時間食事を摂らないと重大な病気につながる恐れがあります。消化器の運動が低下したり、腸内環境が悪くなったり、脂肪肝という肝臓の病気になったりすることがあるので、食欲不振の状態を発見したらすぐに病院へ連れて行きましょう。

下痢

よく言われている下痢の原因として、ストレスや食餌の問題、細菌感染、毛球による内臓圧迫などが挙げられます。特に毛球を胃の中に溜めてしまう毛球症(もうきゅうしょう)は飼い主が気づきにくい他、消化菅を圧迫して大変危険です。下痢が原因で食欲不振になってしまうと命の危険性があるので、下痢をしている状態を見つけたら病院へ連れて行った方がいいでしょう。

痙攣する、転がり回る

痙攣したり床に転がり回ったり、まっすぐ歩けないなどの症状が見られる場合は、神経障害を起こしている可能性が高いです。考えられる原因は細菌や寄生虫などと言われていますが、いずれにせよ迅速に病院へ連れて行きましょう。神経障害は完治することが難しく、時間が経つにつれて悪化していくので、なるべく早くお医者さんに診てもらうことが大切です。

赤い尿が出る

うさぎが赤い尿を出したときに考えられる可能性は二つあり、「食餌の色素による正常な尿」と「血尿」が考えられます。血尿の場合、膀胱炎や膀胱結石、子宮疾患などの原因が考えられるので、病院へ連れて行きましょう。

充血

充血の原因は結膜炎、角膜潰瘍、ブドウ膜炎、緑内障などが考えられます。ブドウ膜炎や緑内障などは眼球摘出になりかねない重い症状なので、早めに病院で診てもらいましょう。またうさぎの目の病気は、不正咬合(ふせいこうごう)など歯並びに原因があることも多いと言われています。

歯の伸びすぎ(不正咬合)

うさぎは切歯(前歯)の他にも臼歯(奥歯)の伸びすぎで不正咬合を起こし、歯肉炎や食欲不振などを起こしてしまうことがあります。食欲不振の場合は命の危険に関わるので、すぐに病院へ連れて行き、歯を切ってもらいましょう。不正咬合の原因は食餌にもあり、ペレットなど柔らかいものを与え続けると起こる可能性が高くなります。

熱中症

うさぎは体温調節が非常に大切な動物であり、熱中症は死に直結してしまう可能性があります。特に夏場は、部屋の温度や湿度に十分配慮し、20〜24度ぐらいの室温を維持しましょう。

肥満

偏食によって起こりやすいと言われています。ペレットフードのみを与えるのではなく、牧草や野菜など食べられる範囲で幅広い食物を与えましょう。犬や猫とは違って肥満であることが見抜けにくい一方で、肥満が原因でさまざまな病気を引き起こしてしまうため、体型については日頃から意識しましょう。

気を付けたい病気

骨折

うさぎの骨は頑丈にはできていませんので、高い所から落ちて骨折することが少なくありません。体重に対する骨の量は約8%で、猫の場合は13%です。特に臆病な動物ですので、急な物音などに驚いてパニックになることもあります。ケージから出すときは目を離さないようにして落ちる可能性がある場所に乗せることはやめましょう。

斜頸(しゃけい)

斜頸というのは、首をずっと傾けていることを指します。痙攣や転がり回る症状と同様、神経障害を起こしているサインですので、すぐに病院へ連れて行く必要があります。神経障害の原因として、先天性である可能性ももちろんありますが、熱中症や栄養不良など日頃から注意を払えば起こらないものもあります。室温や食餌などの管理は怠らないようにしましょう。

皮膚病

皮膚が脱毛していたり赤かったりする、または痒がっている様子が見られる場合は皮膚病を疑った方がいいかもしれません。ダニやシラミなど寄生虫が原因のものが多いですが、放っておくと膿瘍につながる恐れがあるため、様子を見て病院へ連れて行きましょう。また、妊娠中のうさぎがお産の準備のために毛抜き行動をする場合もあります。

歯肉炎

歯肉炎の原因は、先述した不正咬合が原因であることが考えられます。歯肉炎によって食欲不振になると命の危険に関わる恐れがあるため、すぐに処置してもらいましょう。

足底潰瘍

足底部が床と接触し、圧迫されるために起こる皮膚炎です。うさぎの被毛が少なかったり肥満ぎみだったりすると起こりやすいと言われていますが、そうでなくてもケージの粗悪な環境や湿度の高い環境などで起こることがあります。炎症がひどくなると膿が出ることもあるので、病院での処置が必要です。

子宮腺癌

避妊をしていないメスのうさぎによく見られ、血尿などの症状が出たら疑った方がいい病気です。子宮腺癌は転移することが多く、放っておくと大変なことになるため、症状が出たらすぐ病院へ行きましょう。2歳ごろまでに避妊を済ませておくと発症率が低くなると言われています。

膿瘍(のうよう)

膿瘍とは、膿が溜まった状態のことを指します。うさぎの場合は皮膚炎が原因で発症しやすく、犬や猫と違って固形の膿ができるため、外から見ると瘤(こぶ)のようなもので判断することができます。

尿石症

結石が尿道につまる病気のことで、食欲不振や血尿、または排尿していないなどの症状で判断することができます。食欲不振に陥ると命に関わるため、すぐに病院で診てもらいましょう。カルシウム含有量の多いラビットフードを食べていると起こりやすいと言われています。

寄生虫感染症

寄生虫感染症の種類として、消化管内に寄生して下痢などを引き起こすものと、皮膚に寄生して皮膚炎を起こすものの二種類が考えられます。下痢や皮膚炎などの症状が見られたら、病院にて適切な処置を受けましょう。

ティザー病

細菌感染による病気の一種で、うさぎの免疫低下により起こりやすい病気です。下痢などの症状で診断される場合があります。いまだ有効なワクチンは無いため、免疫低下に陥らないよう、ストレスを感じさせない環境づくりが大切です。

スナッフル

呼吸器疾患の一つで、くしゃみや鼻水などの症状で診断される場合があります。初期症状は軽めですが、進行すると肺炎や胸に膿が溜まってしまい呼吸困難に陥ってしまうため、早めに気づいて病院へ連れて行きましょう。

ズーノーシス

ズーノーシスとは人畜感染症とも言われ、動物にも人にも共通して感染する病気のことを言います。狂犬病などもその一種です。うさぎの場合は、サルモネラ菌症やパスツレラ症、カンピロバクター症などの細菌感染が多く見られます。動物に手を触れた後は手を洗う、口移しをしない、傷口をそのままにしないなどの行動で予防することができます。

飼うときは責任を持って

ペットを飼いたいけど、犬や猫だとハードルが高い……と思っている人には、うさぎはちょうどいいかもしれません。しかしうさぎのことをよく知らないまま安易な気持ちで飼い、「動物アレルギーだと気付いたから」「経済的余裕がなくなったから」「面倒くさくなったから」などの理由で手放すなんてことのないよう、きちんと責任を持って育ててくださいね。

参考文献

第2稿:2017年2月28日 公開
初稿:2015年11月1日 公開