動物にも優しい日本へ 滝川クリステルさん新プロジェクト「Panel for Life」

滝川クリステルさんが代表を務める一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルが新プロジェクト「Panel for Life(命のパネル)」を発表。羽田空港で行われた発表会には滝川さんのほか、高円宮家の長女・承子(つぐこ)さま、イケア・ジャパンのヘレン・フォン・ライス社長、環境省の則久雅司動物愛護管理室室長が登壇しました。

パネルフォーライフ発表会登壇者
左から、承子さま、ヘレン社長、則久室長、滝川クリステルさん

同プロジェクトは、保護犬・保護猫の等身大パネルを、第1弾となるイケアのように多くの人の目に留まる場所に設置し、殺処分問題の認知向上を図るとともに譲渡を促進しようというもの。パネルに印刷されたQRコードを読み取ることで、その犬猫の詳しい情報が見られる仕掛けになっています。

発表会に登壇した滝川さんは、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、「外国の皆さんが日本に来たとき、動物たちにも優しい気持ちを持てる日本だと思ってもらえるように、ご協力お願いします」と話しました。


本稿では、滝川さん、承子さま、ヘレン社長の登壇内容を紹介します。発表会の後半では、滝川さんとサポーターを務めるモデルのローラさん、俳優の別所哲也さんの3人によるトークショーも行われました。また、発表会後に滝川さんとローラさんの独占インタビューを行い別記事で掲載予定です。お二人の保護活動に対する想いを伺っていますので、お楽しみに!


滝川クリステル代表理事の登壇内容

滝川クリステルさん

財団は一般財団法人「クリステル・ヴィ・アンサンブル」という名前でして、「ヴィ・アンサンブル」というのはフランス語で「共に人生を歩む一緒の命」という意味なんです。同じ価値の命が一緒に支え合う社会。共存共生する社会の実現を目指しています。

私たちの一番のスローガンは「共に、生きる。」です。同じ生命がこの地球上で共に生きるということが当たり前のようにできる。そんな日本になっていきたい。そして私もオリンピック・パラリンピックの招致に関わりましたが、2020年という大きな目標ができました。いろいろな国から人々がやって来ます。ここに向けて動物福祉、動物を守っていくということが進んでできている国でありたいなと思いまして、招致活動から帰ってきてすぐに財団を立ち上げました。

個人としては10年ほど前からいろいろメディアを通して殺処分問題を伝えていたんですが、個人では限界を感じまして、改めていろいろな方の力をお借りして、財団を立ち上げたという経緯です。

そして2020年を目標に、「アニマルウェルフェアにのっとった殺処分ゼロ」を掲げています。この「アニマルウェルフェア」というのがとても重要なんですね。動物にとっての自由というものを人間のエゴで「こうあればいい」とするのではなくて、動物にとって何が良いのかというのを基準にゼロに近付ける。これを必ずメディアの方も「殺処分ゼロを目指して」というよりも、「アニマルウェルフェアのっとった殺処分ゼロ」というふうに書いていただければ幸いです。他にも野生動物についてもやっていますが、今日は省かせていただきます。


2020年までに、日本全国にこのパネルを置きたい

殺処分数は年間5万5000匹以上います。私が10年以上前に活動していたときは、30万匹以上いました。それからこの10年でずいぶん減りました。いろいろな方々が関心を持ち出してきているなというのを実感しています。それはいろいろな方が声を上げて、メディアでも扱えるようになってきたんだなと身にしみて感じています。このような活動をしている中で、今日はこの「Panel for Life(命のパネル)」について説明します。

この子たちはシェルター、保護施設にいる子たちで、動物愛護センター・保健所は処分をせざるを得ない子たちがたくさんいる場所なんですが、そこから保護団体が助け出した子たちなんです。「Panel for Life」に賛同いただける企業を募り、例えばイケアで、「この子たちの家族になってください」というメッセージを込めて、今日から家具と一緒に(Panel for Lifeのパネルが)並んでいます。

パネルに付いているQRコードを読み取っていただくと、この子がどこのシェルターにいるかとか、この子がどこから来た子か、どういった経緯で捨てられてしまったのかという情報が載せられています。「ペットのおうち」という大きなサイトと提携していまして、他にもたくさんの子たちがいますので、その子たちの情報も見られるようになっています。

滝川クリステルさん

ただ、この子たちは一命を取り留めていますけど、動物愛護センターや保健所にはまだまだ助けてほしい犬猫がたくさんいます。こうやってパネルをいろいろなところに置くことでいろいろな人の目にとまって、そして引き取っていただける方が増える。そうすると、シェルターに引き取る場所ができるんです。つまり、処分を待っている子たちをシェルターに連れて来ることができるわけです。そうすると処分数が減っていく。

これが目について引き取ってくれる人が増えれば増えるほど殺処分数が減っていきますので、これを置いてくれる企業、賛同してくれるところに伝えていけたらなと思います。イケアをはじめとして、2020年までに日本全国にこのパネルが置けるような絵を想像しています。命を軽く扱うムーブメントではなくて、皆さんの気持ちがつながっていく、優しい気持ちのつながりを生んでいくムーブメントにしていきたいと思っています。

CMも作っていますので、羽田空港でも1カ月ほど流していただける予定になっています。タクシーのサイネージでも流していただける予定になっていますので、これからどんどん広がっていければなと思っています。


動物たちの気持ちに寄り添ってもらえるように

QRコードを読み取っていただくと専用サイトに飛びまして、自分が引き取りたいなと思う子が見つかったら、そこの保護団体に連絡して、いろいろ譲渡条件があります。これ意外に厳しいです。でもこれはその子がもっと不幸にならないための大事な条件ですので、仕方がないことですので、根気よくやり取りをしていただいて、家族に迎える。という流れになっています。

日本ではなかなか生きている犬猫を(譲渡会などで)受け入れられる場所が無いので、広めるにはこのパネルというアイデアが良いのではないかなと。そしてQRコードで皆さんがより身近に引き取れるようになるのではないかなと思いまして、このようなプロジェクトを立ち上げました。カメラマンもレスリー・キーさん、桐島ローランドさん、操上さんなどいろいろな方がボランティアで参加していただく予定です。

滝川クリステルさん

同じ価値の命、同じ感情を持った動物たちの気持ちに寄り添ってもらえるように、ぜひこれをいろいろなところに広めていただいて、2020年に外国の皆さんが日本に来たときに、このパネルがいっぱいあって素晴らしいなと。人間だけではなくて、動物たちにも優しい気持ちを持てる日本だと思ってもらえるように、ご協力お願いします。

高円宮承子女王殿下の登壇内容

高円宮 承子女王殿下

皆さんこんにちは。本日、保護犬・保護猫と里親さんをつなぐための命のパネル「Panel for Life」のオープニングイベントの場で皆さんとご一緒できますこと、大変うれしく思います。

小学生の頃、ペットの殺処分の問題について知りました。当時、我が家にも父が結婚前から飼っていたプードルのシャルルと野良犬でたまたまうちに迷い込んできたトムという犬がいました。私にとってとても大切な家族でした。ある日、ささいなミスが重なってトムが脱走し、二度と戻ってくることはありませんでした。両親はもちろん、私も小学生ながらにいろいろ調べて必死の捜索をしましたが、迷子札を付けていたのにも関わらず、トムが戻ってくることはありませんでした。

トムはものすごく人懐っこい犬でしたので、どこかで拾われて幸せな一生を送ったのではないかと思いますが、以来、私にとって保護犬・保護猫の問題は、より一層身近な課題として自分の中に根付いたように思います。20年以上前の当時と比べると、日本の動物愛護の状況は大変良くなっていると思います。しかし、いまだ年間5万5000頭以上の犬猫が、望まずして強制的に命を奪われています。

我が家はその後、阪神大震災の被災犬であったトフィー、そして現在一緒に暮らしている、千葉で放浪しているところを保護されたメイという犬を飼うことになるのですが、彼らのように引き取り手が見つからずに殺処分される子たちがたくさんいると思うと、本当に他人事ではありません。このパネルを目にされる方の多くは、今すぐ新しい家族を迎えることはできないかもしれません。しかし、伝えることはできます。この命のパネル「Panel for Life」を通じて、一組でも多くの幸せな犬猫と飼い主が増えることを願っております。

最後に、私は犬との暮らしについてしか申し上げられませんが、犬は花火や雷など、ひょんなことでパニックに陥り突然走り出すなど、手に負えなくなることがあります。保護犬を新たな家族に迎えようと思ってくださるご家族さまには、どうかせっかくの第二の犬生を手にすることができた保護犬が、二度と不安な状況に陥ることがないよう、怠慢することなく、ダブルリードの徹底や脱走防止の柵の設置など、細心の注意を払っていただけますようお願い申し上げて、私の言葉といたします。ありがとうございました。


ヘレン・フォン・ライスイケアジャパン社長の登壇内容(通訳を一部抜粋)

イケアヘレン社長

この度イケアが「Panel for Life」の第1社目に選ばれましたことを大変光栄に思います。このような機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。この取り組みの始まりは、昨年12月にクリステルさんが雑誌の対談のためにイケアへ起こしくださったことがきっかけでした。その際、クリステルさんはクリステル・ヴィ・アンサンブル財団への情熱をお話しくださいまして、今回のコラボレーションのアイデアをご提案くださいました。

私自身、保護犬を迎えたことがあります。大切な家族であるブルーノといいます。赴任地の国からいろんな国、また日本まで家族で移り住んでまいりました。日本で大変多くの犬や猫が殺処分されているという痛ましい状況を聞いて、非常にショックを覚えております。私が生まれ育ったスウェーデンでは動物の権利はしっかりと法律で認められておりまして、アニマルウェルフェアは当然のこととして根付いております。この権利が法律としてしっかりと日本で認められることを願っております。

(中略)今回のクリステル財団さんとの取り組み、コラボレーションを通じて、今まさに動物に愛をお返しするべき時、行動を起こす時だと考えています。(中略)多くの皆さまがストアにご来店くださり、パネルを実際にご覧いただくことで、家と家族を必要とする多くの犬や猫が救われる取り組みに、一緒にご参加くださることを願っております。責任が持てるのであれば、ぜひご自身もペットオーナーになっていただきたいと感じております。

この度のクリステル財団さんとの強力なコラボレーションは、企業や政府が一緒に「2020年までに殺処分ゼロ」という共通の課題に向けて力を合わせることで大きく広がっていくと信じています。また一緒に進める中で、リアリスティックなゴールであると感じでいます。どうもありがとうございました。

殺処分を無くすためのポイントは三つ

則久雅司動物愛護管理室室長

発表会の最後には環境省の則久雅司動物愛護管理室室長が登壇し、同省が進める「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」について説明しました。その中で、殺処分を無くすためのポイントは主に三つあると説明します。

一つ目は「飼い主・国民の意識の向上」で、犬や猫を適正に飼うということ、管理をするということをしっかり浸透させる必要があり、この中には保護犬・保護猫から迎えることが一般的になるという飼い始めの適正化も含まれます。

二つ目は「引取り数の削減」で、放し飼いや飼い続けられる見込みがないのに飼い始める無責任な飼い主を無くしていくことで、自治体が引き取らざるを得ない動物の数を減らしていきます。犯罪である遺棄はもちろんですが、不妊去勢手術をしていない猫への無責任な餌やりなど、野良犬、野良猫たちがどんどん生まれてくる状況をなんとかしていかなければいけません。

三つ目は「返還と適正譲渡の推進」で、ボランティアなど民間団体との連携が重要になってきます。

この三つは進めていく順番も重要で、上から進めていかなければいけません。最後の返還譲渡だけを一生懸命やっても、蛇口が閉まっていなければいつまでも状況は改善しないからです。則久室長は「普及啓発が特に大切だ」と話しました。

Panel for LifeはQRコードを活用することで譲渡を促進するというだけでなく、パネルという手軽さを生かしてさまざまな場所に設置することも目的としています。第2弾以降はどこに設置されるかも気になるところですが、今後の展開については滝川さんへの個別インタビューで紹介する予定です。