滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ

滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんが語る保護犬・保護猫を家族に迎えるということ

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日本全国に新しい家族を探す保護犬・保護猫のパネルを設置することを目指した滝川クリステルさんの新プロジェクト「Panel for Life(命のパネル)」発表会。滝川クリステルさん、ローラさん、別所哲也さんの3人によるトークショーの様子を、ほぼ全文掲載で紹介します。



別所哲也さんと保護犬ハナちゃんのエピソード


別所:僕は小さいときから「犬と家族として生活する」ということを続けてきたので、結婚をして子どもができて、「また新たな家族を迎えたいな」と思っているときに出会ったのが保護犬のハナちゃんです。昨年の夏にペットショップで出会って、娘と一緒に出会った瞬間に一目惚れしてしまって。

そのときペットショップに保護犬としてそこにいて、「このまま引き取り手がいなかったらこのまま違う形になってしまう」ということがわかったので、僕らとしては本当に家族で議論をして、「ハナちゃんを迎えよう」と。トイプードルなんですけど。


司会:「トイプードルが保護犬になる」っていうイメージがなくて。「保護犬ってほとんどが雑種かな」っていう印象がありました。

別所:どういう理由か最終的にはわからないんですけど、捨てられていたことは事実で。その前にブリーダーのところで子犬をいっぱい生んで、どこかに放置されたんじゃないかと思われています。

滝川:ペットショップで売る子どもたちを生む母犬がいるんです。パピーミル、子犬工場と呼ばれるんですけど。そこにいた子で、声帯も切られていたんですよね。

別所:そうですね。引き取ったときには声帯が切られて、筋肉も硬直していて、毛もまだらに抜けて本当にかわいそうな状態だったんですけど、でも引き取って1年たって、本当に元気になりました。

滝川:(家に)帰ったら奥さんと子どもとハナちゃんがいて、まずハナちゃんのところに行くそうですよ。

別所:最近は「ただいま、ハナ」って言ってますね(笑)。最初はお腹も触らせてくれなかったり、音に敏感で、階段も上り下りできなくて。たぶん小さな部屋に閉じ込められていたんじゃないかなと思うんですけど。

お散歩に連れて行ってもとにかく怖くて、外を受け入れられない。(ブリーダーにいたときは)考えられない状況だったんじゃないかなと思います。でも今は一緒に遊んで、一緒に寝てます。

滝川:散歩も行かせてもらえなくて、部屋の中に閉じ込められて子どもを生むだけだったと思うので、本当に怖くてしかたなかったと思います。でも愛情一つでガラッと変わるんですよね。その過程を見るのがたまらないですね。

別所哲也さん、ローラさん、滝川クリステルさん

別所:引き取るときは「ちゃんと家でご飯をあげられる人がいますか」とか、「どれぐらい時間を割けますか」とか、いろんなことを確認しながらだったので、「共に暮らすんだ」っていう覚悟が大切だなって思いました。

今もクリステルさんが言ったみたいに、「少しずつ心を開いてくらているんだ」っていう、それがたまらなく嬉しいですよね。


ローラさんと保護猫イクラちゃんのエピソード


ローラ:うちにも保護猫ちゃんもいて、保護ワンちゃんもいます。保護ワンちゃんは子どもをたくさん生ませられて、森に捨てられてたんです。吠えることもできなくて、毛もぶわっぶわだったんですけど、ちゃんとトリミングしたらものすごくかわいくなって。お手ができないから今お手を覚えさせたりしていて、もう8〜9歳くらいなんだけど、どんどん人に懐いてくるのがかわいいなって思う。

保護猫ちゃんの1匹はお兄ちゃんが車を運転してるときに道でひかれてた子で、まだ赤ちゃんで体から血が流れてて。お兄ちゃんがお墓に埋めようとしたら、ちょっとだけ動いて。すぐ病院に連れて行ったら「ちょっと難しい」って感じだったんですけど、1カ月もしたらすごく元気になって今は家中を飛び回ってて、「良かった〜!」って思う。

もう1匹の猫ちゃんはロサンゼルスで保健所から引き取った「ウニちゃん」っていう名前の子がいるの。

滝川:ウニちゃん、イクラちゃん、好きな食べものの名前を付けてる(笑)。

ローラ:大好き! 呼ぶたびにハッピーになる。


滝川:ローラちゃんは今はロサンゼルスに住んでる時間が長いじゃないですか。そこで初めて「シェルター、保健所から引き取る」ってことを知ったそうですね。

ローラ:ロサンゼルスには(生体販売をしている)ペットショップが無くて、引き取ることが当たり前で殺処分もほとんどないし、そういう現実を知って、もっと日本もそうなっていくべきなんじゃないかなって。それを少しでも応援することができたらいいなって。

滝川:先進国の中でも日本は殺処分が多いんですよね。なかなかこの状況を皆さん知ることができないというのが長かったですね。私もニュースの現場にいたのでいろいろ資料を読んで気付けたんですけど、やはり普通に生活していてもなかなか知る機会がなくて、そこまで公表されていなかった。

今はやっと、いろいろなところでメディアも取り上げるようになったので、皆さん「そんなかわいそうな子がいるんだったら引き取ったほうが」って思うじゃないですか。殺処分するのにも皆さんの税金が使われている。「だったら生かすほうに使いたい」って思うのが人間の心としてあるべきだと思うので、そういうふうにだんだん転換していってると思います。

司会:滝川さんは、「ニュースJAPAN」のキャスターをしていたときに殺処分の取材をされていましたね。

滝川:けっこうショッキングな処分の映像を流したんですけど、やっぱりそれがあったことで、たくさんの人に「こういうことが起こっているんだ」って気付いてもらえて。

司会:それがきっかけでアリスを。

滝川:そうそう、アリスは被災犬なんですけど、どうしようもないやんちゃな大型犬(笑)。大型犬はなかなか引き取り手がいないので、浪江町で取り残されていて。私は「どの子でもいいので大型犬を引き取りたい」って連絡をしていたんですが、防護服を着た人が危険区域に入ったときに見つけたのがアリス。ボロボロで、肉もないガリガリの状態で、トラウマもいろいろありましたけど、今では(やんちゃ過ぎて)大変な騒ぎです。



耳が倒れてる子も「個性的でかわいい」


滝川:この子は帽子があるのでわからないんですけど、耳が片方倒れてるだけでブリーダーが放棄したんです。要は売り物にならない。ドーベルマンは両方立ってないといけないから。

別所:ひどいね。

滝川:「野菜がきれいになっていないといけない」という状態でしかペットショップは売らないんです。しっぽが曲がっててもだめ。実際こういう子たちはそういうちょっとしたことで捨てられてきているんですよ。

ローラ:私は耳が倒れてる子が個性的でかわいいと思う。

別所哲也さん、ローラさん、滝川クリステルさん

滝川:そう、個性的だって思ってくれれば猫ちゃんもワンちゃんも。この子とか雑種ですけどすごく人懐こくて。こういう子たちがたくさんいるんです。

別所:こういうペットショップ、ブリーダーさんの問題もそうなんだけど、一回飼って、何らかの事情で手放さなくてはいけなくなるような人たちも、例えば「引き取り手がある」っていう情報交流ができるようになると。そうじゃないと隠れた所で捨ててしまうということが起きてしまう。

滝川:このパネルがもっといろんな所に置かれると、今までサイトに行って調べなければいけない。何をすればいいのかわからないという人が多かったと思うんですけど、このQRコードを読み取れば、(新しい家族を)募集している犬猫の情報がいっぱい出てくるんです。だからすごく身近に感じてもらえると思うんです。

例えば、「あ、ここにパネルがある。なんだろう」ってやったら(QRコードを読み取ったら)、募集している子がいっぱいいるっていう。今まで(保護犬・保護猫の存在が)ちょっと遠かったと思うんですよね。これで少し身近になってもらえればと思う。

ローラ:知らない人が多いからこそ、こうやって知ることで、ぽわ〜っと広がるし。

滝川:ぽわ〜っと(笑)。

ローラ:どんどん広がったらいいよね。

別所:ですよね。ホントそう思う。知ることから始まって、そこに情報があるって近付ければ、例えば飼わなかったとしても何か手助けできることがある。みんなが少しずつ持ち寄れば変わっていきますからね。

滝川:そう、シェアしていただいてもいいんですよ。シェアボタンで「こういう子いるよ」って友達に送ってくれてもいいですし。


保護犬・保護猫の運命は私たちの力で変えられる


司会:最後に、皆さんの想いを一言ずつお願いします。

別所:僕は新しい家族として保護犬のハナちゃんを自分の家族として受け入れて、実は僕らのほうが家族として癒やされたり、命の大切さを教えてもらったりということが本当に多いです。大切な命が、この活動を通じてたくさんの人たちによって、命を奪われないで、新たな生きていける場所を広げていけられるように、皆さんが応援してくれることを期待しています。よろしくお願いします。

ローラ:動物も人間もみんな心臓があって、みんな一緒で。動物たちもみんな性格が違って愛情を注げば注ぐほど本当に良い子。たくさんのリラックスをもらうことがあったり、あげたり。そういう素晴らしい天使たちがたくさんの人によって守られることを願っています。

別所哲也さん、ローラさん、滝川クリステルさん

滝川:財団を立ち上げて丸4年になります。このようなプロジェクトを立ち上げられるとは想像していませんでした。このような形ができたことで気持ちは、胸がいっぱいです。これは自分の中で広がっていくイメージがわくんです。じゃないとこのようなことは皆さんにお披露目含め、皆さんに参加していただくことはしなかったと思うんですけど、自分の中で絶対広がっていくと確信しています。それはメディアの方々のお力も借りたいです。

そして先ほどのムービーで見ていただいたように、(指を)パチンってやっていましたね。これは私の中ですごく大事なアクションです。フランスの哲学者アランという方がいて、「運命は普遍ではない。指をパチンと鳴らした瞬間に新しい世界が生まれる」っていう言葉があるんですね。それを見たときに、このパチンという瞬間に、この子たちにとって運命が普遍ではなくて、私たち人間たちの力によって変えられる。そういうことができる。このパネルを通してそういうことが可能なんだっていうことを、そういうムーブメントを起こしていければと思いました。

本当に皆さんの気持ち一つで世界は変わると思います。同じ命の彼らを、自分たちの家族として覚悟を持って、最後まで面倒をみることをちゃんと覚悟して、温かい気持ちで見守っていただければと思います。

長いことこの活動をやっていますが、この日を迎えられることを本当にうれしく思っています。そしてお二人もありがとうございます。ここに来ている会場(※)の皆さん、おそらくこれから便があるのでなかなか立ち止まれないと思いますが、飛行機に乗ったらちょっとでもこのことを考えてください。そしてメディアの皆さんどうもありがとうございました。ぜひぜひ広めていってください。心を込めて、よろしくお願いいたします。

※発表会&トークショーは、羽田空港のイベントスペースにて行われました。