
PETLYは未来の定番!? 自動給餌器が変える猫との暮らし | PET TECH TALK #3
未来のペットとの暮らし方をお伝えするPET TECH TALK 第3弾は、洗練されたデザインの猫・小型犬用自動給餌器「PETLY(ペットリー)」を展開するRINNで代表を務める梁原(りょうはら)さんにシロップ代表の大久保がお話を伺います。「PETLY」はインテリアに馴染む美しいデザインと誰でも簡単に使える操作性を持つ、猫・小型犬用自動給餌器。指で回して押すだけでタイマーをセットでき、決めた時間にドライフードが自動給餌され、ペットの健康的なライフサイクルをサポートしてくれます。インターネットが変える未来のペットとの暮らし方についてのお話をお楽しみください!

RINN 自動給餌器 PETLY
愛猫の健康を守るために、起業を決意

大久保:現在、猫・小型犬用自動給餌器を展開されていますが、昔からペットを飼っているんですか?
梁原:実家では犬を飼っていましたが、結婚してから妻に「猫を飼いたい!」と言われたのがきっかけで、猫を飼い始めたことが全ての始まりでしたね。
大久保:そうなんですね。猫との暮らしはどうでしたか?
梁原:猫を飼ったものの、私はベンチャー企業で働いていて妻はアパレルの仕事をしていたため、お互いに仕事が忙しく、家に帰る時間も遅かったので愛猫も不規則な食生活を送っていました。猫はご飯を食べたいだけ食べるので一定量のキャットフードを置いておくのですが、「どのくらい食べたか」「いつ食べたのか」が分からなかったんですよね。そうするうちに、太っていっちゃって。きちんと食事管理してあげられる商品がないかなと思ったことが「PETLY」を作ろうと思った原点だったんです。
大久保:確かに猫は気が向くままに生き、食べたい時に食べたいだけ食べる生き物ですもんね。でも、自動給餌器はすでにいくつかあったと思うのですが、それでもご自身で作ろうと思われた理由はなんだったのですか?
梁原:試しに使ってみた自動給餌器があったのですが、コンセントが必須で置く位置が決まってしまったり、音がうるさかったり、壊れやすかったりと、非常に使いづらかったんですよね。自分の周りでも同じようなことを感じている人がいて、もっと便利な自動給餌器が欲しいという声を聞いていたので、じゃあ自分が本当に欲しいと思う商品を作って飼い主さんに喜んでもらおうと思いました。
飼い主の暮らし方を徹底的にリサーチ

大久保:2013年に起業され、自動給餌器をゼロから作ることから始まります。大切にしていたことは何ですか?
梁原:プロダクトデザインは徹底的に追求しました。自分のスタイルを大切にする飼い主の方が喜ぶ商品を作るためには使いやすいものであることの前提はもちろんですが、その方々の暮らしに馴染むことが大切だと思っていたので、どんな部屋に住んでいるかを徹底的にリサーチしましたね。
大久保:具体的にはどういったアプローチをされたのですか?
梁原:リサーチデータを元に飼い主が理想とする商品イメージをクリエイターへ伝えるため、写真集やピンタレストなどを共有し、デザインのディテールを突き詰めていきました。周りの人に恵まれていたこともあり、グラフィックデザイナーの友人にプロダクトデザイナーを紹介いただいたんです。彼は無印良品のデザインアワードで金賞を取るほど実績があり、細部に至るまで最適な提案をいただくことができたおかげで最終的にはあの形になりました。

大久保:ターゲットをいかに深堀りして考えられるかが大事なんですね。では、実際にデザイン案ができてからどのように製造まで進められたのでしょうか?
梁原:製造委託先を見つけることは大変でしたね。僕たちみたいにゼロからイチを作る実績もないベンチャー企業が熟練の製造企業にお願いしても、初めは門前払いでした。10社20社は当たり前で断られ続けました。
大久保:僕たちベンチャーの試練ですよね。そんな中で、長野県佐久市にある製造業社が見つかりますが、どうやって見つけられたのですか?
梁原:知人の紹介で訪問したところ、製品コンセプトに共感していただけたんです。意気投合してからは製造しては改善の毎日でした。11カ月くらいでようやく完成するところまで進められましたね。現在も熟練の技術者さんたちが1台1台丁寧に作っていて、まさに職人技で作られた工芸品のような製品だと思っています。
食事回数は1日1〜4回まで可能で、1日の給餌量をコントロールし、肥満を防止します。手にフィットするハンドルで移動の持ち運びも快適。ドライフード約1kg袋分をまるまる保管でき、臭いも漏れにくい構造になっています。
テクノロジーがペットの健康をサポートしてくれる時代に

大久保:では、「PETLY」に関して伺いたいと思います。他の自動給餌器と違う点は何ですか?
梁原:「インテリアに馴染む&ユニバーサルデザイン」がコンセプトです。インテリア性を高めるため、フードセンサーを搭載することで、餌の残量や電池残量をLEDの色で飼い主に伝えることができることが最大の特徴です。
電池式なので停電になってもいつでも使えますし、電源コードが無いので噛み付き防止になり、置き場所にも困りません。重さも猫にどかされないような重さになっています。発売して1年がたちましたが、海外でも好評を頂き、ニューヨークやパリのお客さまにもご利用いただいています。
大久保:ニューヨークやパリの飼い主の方はインテリアや空間に対する美意識が強そうですね。日本でも蔦屋書店など、おしゃれなモノが集まる場所に展開されていらっしゃいますが、どういった意図があるのでしょうか?
梁原:猫の飼い主さんを徹底的に調査する中で見えてきたことは、「猫を飼っている方は、本屋さんが好き」だということでした。情報感度や美意識が高く、生活用品もこだわりのあるモノを選ばれます。そこで、暮らしに馴染む誰でも簡単に使える美しい商品をつくろうと。そして、まず初めに商品を販売するなら代官山の蔦屋書店しかないと思ってアポを取り、売り場のコンシェルジュに提案しました。その後、コンシェルジュから高評価を頂き、お取り扱いいただくこととなりました。
大久保:徹底的にユーザーの深堀りをすることで、デザイン、機能はもちろん、販売する場所までもがデザインされているんですね。
梁原:そうですね。現在は自動給餌器の他に猫がキーワードのライフスタイルマガジンも展開しています。ヘルスケアサポートはもちろん、インテリアやアート、カルチャーなどを通じて、猫と豊かに暮らすためのアイデアやプロダクトをお客さまへ提案していきたいと考えています。
大久保:最後に「PETLY」のようなヘルスケアが変える、ペットとの暮らし方とは何でしょうか?
梁原:RINNが目指すヘルスケアの未来とは、「曖昧さ」を無くすことだと思っています。健康状態が可視化されることで、飼い主にペットのQOL向上や病気のリスクについて理解することができます。そうなれば、適切なタイミングで病院に行き、重病化する前に予防することができると考えています。
大久保:ありがとうございました。