【トレーナー解説】犬は飼い主の言葉を理解している?愛犬の気持ちを読み取る方法を解説

【トレーナー解説】犬は飼い主の言葉を理解している?愛犬の気持ちを読み取る方法を解説

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皆さんはどのくらい愛犬に話しかけていますか?犬は人の言葉をすべて理解しているわけではありませんが、理解しようと耳を傾けてくれています。では犬は人の言葉をどのくらい理解しているのでしょうか?今回は犬の言葉への理解や犬の気持ちを理解する方法など、ドッグトレーナーの西岡が解説します。

犬は言葉を理解している?

飼い主に寄り添う犬

私たちは犬に「芸をさせる時」「指示を出す時」「遊ぶ時」など、さまざまな場面で人の言葉を使って犬に何かを伝えようとします。

それは、人がそれ以外の伝え方を知らないからでもありますが、犬の知能が高く、「言葉」でのコミュニケーションが成り立っているからともいえます。

とはいえ、犬が「言葉」を人とまったく同じように理解しているわけではありません。犬にとって言葉自体に意味はなく、起こった出来事と音を関連させて学習します。

そのことを理解してあげると、より犬とのコミュニケーションが取りやすくなるかもしれません。

犬には未来や過去の話は理解できない

いくら犬が賢い動物で、飼い主の言葉をある程度理解できていても、起きた出来事から遠い「過去」や「未来」の話は理解できません

例えば「いい子でお留守番していたら、おもちゃを買ってきてあげるね」という未来の話は理解できません。反対に、犬がお留守番中にトイレを失敗していたのを飼い主が見つけ「ここで粗相したらダメ」と叱っても犬にとっては過去のことのため、何を怒られているか理解できません。

過去や未来の出来事を、叱ったり褒めたりすることは意味のないことです。

1000以上の単語を覚えた犬




犬がどんなふうに物事を考え、理解していくかがわかると、いろいろな単語を教えることができます。

アメリカに住むボーダーコリーのチェイサーちゃんは、3年間で1000以上の単語を覚え理解しているということで、世界一賢い犬としてさまざまなメディアで取り上げられています。

犬が言葉を理解しているかの海外研究

パソコンを見る犬

2014年学術誌「サイエンス」にて発表された研究によると、人でも犬でも「幸福感」と「恐怖感」を表す声に、脳の同じような場所が活性化することが判明しました。

この研究は、ハンガリーの動物行動学者Attila Andicsの研究チームは、13匹の犬を対象に、人や他の犬が発するさまざまな種類の音と声(人の声、犬の吠え声、自然音)を聞いた時、脳がどう反応するかを調べたものです。

これにより、犬は言葉と口調の双方に反応しており、犬は「言葉を理解している」というより「音」を理解していることがわかりました。


私たちは、そばに来て欲しいとき「おいで」以外にも「来なさい」「来い」「来て」などたくさんの言葉を使い分けていますが、犬は違います。

そばに来ることを教える時に「おいで」という言葉(音)で教えていたら、他の言葉(音)では理解できず、さらに同じじ「おいで」という言葉でも高く優しい口調と低く強い口調では、犬にとって意味が異なります。

これが、私たちの言う「言葉」と犬が理解できる「言葉」の違いです。


言葉以外の犬の気持ち読み取る方法

仰向けになる犬

私たち人間は、言語に頼ったコミュニケーションを主としています。一方、犬などの動物達は、言語に頼らない非言語コミュニケーションを主としています。

犬の気持ちを理解するためには「表情や仕草、行動などをよく観察する」ことがとても重要になります。

ボディーランゲージで読み取る

犬たちは体の動きで「うれしい」「怖い」「遊ぼう」などを伝え合ってコミュニケーションをしています。これを「ボディーランゲージ」といいますが、これは体、表情など全身をよく見る必要があります。

例えば「犬はうれしい時にしっぽを振る」と知られていますが、本当は「興奮している時にしっぽを振る」のです。喜んでいると思って手を出したら噛まれたなどというのは、この犬のボディーランゲージをしっぽでしか判断しなかったためです。


カーミングシグナルで読み取る

犬はストレスを感じると自分や相手を落ち着かせるために出す仕草「カーミングシグナル」があります。

まるで笑っているように見える表情であっても、目を見開いていたり、耳を後ろに倒していたり、しっぽが下がっている場合には、かなり緊張している状態です。

決して楽しんでいて口角をあげて口を開けているのではありません。その場の環境、状態に強いストレスを感じているので、一刻も早く安心できるようにしてあげなければなりません。




まとめ

飼い主を見つめる犬

犬は言葉を起こった出来事と音を関連させて学習しています
犬は言葉を同じ言葉でも「音」が異なれば理解できません
犬は言語に頼らない非言語コミュニケーションを主にしています
犬の気持ちを理解したいときは表情や仕草、行動などをよく観察しましょう

犬は飼い主さんの気持ちを理解したいと思ってよく飼い主さんを観察しています。

飼い主さんも愛犬のこと今までよりもちょっと意識して見てあげてください。それだけで、コミュニケーションがとっても楽しくなりますよ。

参考文献




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