女性獣医師が活躍できる環境へ。アニコムが目指す動物病院の未来 | PET TECH TALK #4

女性獣医師が活躍できる環境へ。アニコムが目指す動物病院の未来 | PET TECH TALK #4

ペット業界でも多くの女性がさまざまな職に就いていますが、その中で獣医事に従事する獣医師の数は約3.4万人いて、その約4分の1の8000人ほどが女性獣医師として活躍していると推測できます。しかし動物病院での仕事は多忙を極め、結婚や出産後も働く女性はまだまだ少ないといわれています。未来のペットとの暮らし方をお伝えする「PET TECH TALK」第4弾の今回は、アニコム ホールディングスで企業獣医師として働く宮下先生に獣医師や動物病院の現状と未来について、シロップ代表の大久保がインタビューしました。

安倍政権が2014年4月に掲げたアベノミクスの成長戦略の一つに、女性の活躍推進が打ち出されました。最近ホットワードである「1億総活躍社会」にもあるように、急速に進む少子高齢化で確実に労働力不足が問題となり、女性をはじめとした多様な人材の活用が必要となってきています。今年4月1日からは「女性活躍推進法」が施行され、従業員301人以上の企業は女性活躍に関する情報の公表を義務付けられるようになり、より女性が活躍しやすい環境整備が進んでいます。

ペット業界でも多くの女性がさまざまな職に就いていますが、動物病院での仕事は多忙を極め、結婚や出産後も働く女性はまだまだ少ないと言われています。

女性にとって動物病院はまだまだ労働環境が厳しい

宮下先生と

大久保 泰介:宮下さんは現在、アニコム ホールディングスで働かれていますが、もともと動物病院で働かれていたんですよね?

宮下 めぐみ: はい。麻布大学獣医学部獣医学科を卒業した後、4つの動物病院に勤務しました。小動物臨床に関わっていたのですが、息子2人の子育てと臨床との両立に難しさを感じ弊社グループのアニコム損害保険に獣医師として入社しました。

大久保:獣医師といえば動物病院の先生が思い浮かびますが、企業で働く獣医師とはどのような仕事なのでしょうか?

宮下:動物病院で働く獣医師は臨床獣医師と呼ばれますが、企業に属して専門的知識が必要な医療の研究や獣医師関連業務を行う獣医師がいます。仮に企業獣医師と呼びましょうか。私は現在、ペットショップの生体管理指導や飼い主さんの健康相談イベントなどの獣医師関連業務に携わっています。

大久保:直接診療はしないということですね。最近だと企業獣医師になる方も多いのでしょうか?

宮下:保険会社や製薬会社のような企業獣医師が活躍できる職場が以前より増えてきていると感じます。また、女性にとっては労働時間や給与などの環境が比較的安定しているのも魅力です。私のように、結婚や出産を機に臨床獣医師から企業獣医師になる方も少なくありませんね。

大久保:なるほど。一方で、日本において臨床獣医師が1人しかいない動物病院は全体の7割を占めていると言われています。なぜなのでしょうか?

宮下:その原因は、犬や猫の飼育頭数の増加に伴って動物病院数が増加した結果だと思っています。1990年以降に犬や猫がペットとして飼育されることが増加して以来、動物病院数とそれに従事する個人事業の獣医師数は大幅に増加してきました。しかし、現在では犬猫の飼育頭数は横ばい気味になっていて、それに伴って増え続けてきた動物病院間の競争も激しくなってきています。獣医師が1人しかいない動物病院はサービス業として限界があり、ニーズの多様化につれて今後は減少傾向になると思います。

大久保:確かに犬の飼育頭数は近年は減少傾向で、犬の方が猫よりも動物病院に通う回数は多いですし、動物病院としては1人でも多くの飼い主に来てもらわないと困りますよね。

宮下:一方で、地方では都市圏よりも選択肢が限られてしまっている問題があります。飼い主さんの動物医療のニーズは専門性や二次診療等、多様化していく傾向です。また、インターネット環境の普及などで獣医療従事者や飼い主さんにもそのような情報はオープンになってきており、動物病院間の一次診療から二次診療などの連携も一昔前よりも強化されてきています。そういった面では今は選択肢が少なくても、今後は情報のオープン化により、都市圏と同様に地方でも獣医療の分業化が進み発展性があるといえると思います。

女性が働きやすい労働環境の整備が不可欠

森下先生

大久保:獣医師は女性も一定数いると思っているのですが、実際はどうですか?

宮下:2000年頃から、獣医学科の卒業生の男女比はほぼ同等になってきています。しかし、獣医師免許を持ちながら獣医療に従事していない獣医師は全体の約12%、約4500人存在しており、そのうち、獣医療に従事していない女性獣医師は約750人(公益社団法人日本獣医師会)となっています。女性の社会進出は政府も推進していますが、動物病院で女性が結婚や出産後にも安心して働けるかというとまだ大変だと思っています。

大久保:では、どうすれば働きやすい環境が作れると考えていますか?

宮下:現在、弊社グループのアニコム フロンティアでは「アニジョブ」という動物病院求人サービスを提供しています。今まで動物病院は、看護師や獣医師を探すことが困難でしたし、学生や獣医師も自分に合った動物病院を探すことが困難でした。そこで、短時間でも勤務可能な動物病院などの紹介を推進することによって、獣医療業界の労務環境整備が促進されると考えています。まず、根本的には動物病院業界において情報をオープンにして分業化を進めることが重要だと思います。就職や労務に関する情報もその一つです。

アニジョブ:獣医さんのリクルートガイド
アニジョブ:獣医さんのリクルートガイド

大久保:情報をオープンにすることで、労働環境が悪かった病院が、雇用のために労働環境を整備していく流れができるということですね?

宮下:はい。雇用や就職の情報をオープンにすることによって労務環境を含めて病院間で競争が生まれることで改善が期待され、女性獣医師の雇用促進や勤務医の勤続年数の伸長にもつながると思っています。また、情報がオープンになることで病院間の連携も強まり、多様化する飼い主さんのニーズにも対応することが可能になると考えています。

看護師や獣医師が自分に合った動物病院と出逢える時代に

大久保:小規模な動物病院では満足に人が雇用できない事が多いと伺いましたが、どうすれば改善できるでしょうか?

宮下:女性をメインとした労務環境の整備が重要になってくると思います。勤務時間のシフト制や有給の取得、残業への対策。他の業界で当たり前のように行われてきたことが動物病院業界ではこれまでできていないことが多々ありました。求人についても先輩などの人づての紹介が今までの動物病院の就職ルートのメインでした。アニコム フロンティアが提供するアニジョブのような獣医療に特化したサイトが広く活用されるようになれば、人員不足の解消の糸口になると感じます。

大久保 ありがとうございました!

最後に

愛犬や愛猫をいつも助けてくれる獣医師。犬や猫は話せないからこそ、私たち飼い主が異変に気付くことは非常に難しいです。獣医師が増え、私たち飼い主と獣医師の距離がより近くなれば、もっと健康で楽しい時間を過ごせることと思います。

アニジョブ:獣医さんのリクルートガイド
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