
社会保障費の削減にペットの力を――橋本聖子参議院議員がアニマルセラピー推進を提言
皆さんは「アニマルセラピー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。日本では癒しや子どもの情操教育という観点で語られがちですが、アメリカでは治療手段の一つとしても捉えられるようになっています。東京ビッグサイトで開催された「第6回インターペット」の特設ステージセミナー「ペットが与えてくれるもの」では、パネリストとして登壇した橋本聖子参議院議員がその必要性を訴えました。
実体験で語る「馬に癒やされる」ということ

スピードスケートのメダリストとしても著名な橋本議員は、北海道のマルゼン橋本牧場で生まれ育ちました。マルゼン橋本牧場は、JRAの殿堂入り馬であるマルゼンスキーを輩出した牧場としても知られています。小さい頃から牧場で動物に囲まれて過ごした橋本議員は現在、ホースセラピーの普及活動に尽力しているそうです。
「障がいを持った子どもたちが馬と触れ合うホースセラピーのイベントをしているんですけど、びっくりするのが、うまくコミュニケーションがとれない子どもたちが、馬に乗った途端に、親御さんたちが涙を流すほど笑顔になるんです。子どもたちの持つ力を引き出す馬のすごさに気付かされます。もっと一生懸命にやっていかなければいけないと思います」(橋本議員)
実体験からホースセラピーを推進する橋本議員ですが、アニマルセラピーは馬だけでなく犬や猫、イルカといったさまざまな動物が対象となります。そこで、橋本議員は2年ほど前にアニマルセラピーを推進する議員連盟を立ち上げたのです。

省庁が連携して取り組まないといけない

セミナーの進行は北村直人日本獣医師会顧問が務め、北村顧問はアニマルセラピーの話を受けて、「来賓挨拶」で登壇した鬼木誠環境大臣政務官に再度、登壇をお願いする場面がありました。
「動物と人が触れ合うことで、いろいろな症状が改善していく。しっかり科学的根拠にもとづきながら、人とペットの豊かで幸せな暮らしづくりに取り組んでいきたいと感じています」(鬼木政務官)
これに対し、北村顧問は「アニマルセラピーは複数の省庁が関わってくる話です。ぜひ環境省に音頭を取ってもらいたい」とリクエスト。橋本議員も、「動物の話は農林水産省が関わる分野ですが、医療行為となると厚生労働省が関わってきます。ぜひその横串を環境省にやっていただきたい」と話しました。
「この国の大きな問題は、医療費をはじめとした社会保障費です。削減していかなければいけないわけですが、そういった課題を解決できるのが動物との触れ合いだと思っています。今後、健康寿命を延伸させていくためにも、スポーツと医療、そして福祉と観光といったものが大きな輪の中で共生していかなければいけません。ペットとの触れ合いが日本の健全な財政につながっていくと確信して、しっかり頑張っていきます」(橋本議員)