犬の免疫力を高める!低下する理由や注意したい病気について獣医師が解説

犬の免疫力を高める!低下する理由や注意したい病気について獣医師が解説

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愛犬の免疫力が高まると「感染症やがんから、愛犬を守る」「アレルギーを起こしにくくする」「愛犬に元気で過ごしてもらう」といったことが期待できます。では、犬の免疫力を高めるために飼い主ができることはなんでしょうか。今回は犬の免疫を高める方法や、低下する原因などを、なないろ動物病院院長の土居が解説します。

犬の免疫とは

仰向けの犬

免疫とは、病原体(※)やがん細胞を追い出す働きです。

もし免疫がない場合、ちょっとした風邪でも、命を落とすほど危険な状態になります。また、免疫が下がると「感染症(※)」「がん」「アレルギー」にかかりやすくなってしまいます。

※病原体:ウイルス・細菌・寄生虫など「うつるもの」のこと
※感染症:病原体が体に入って増える状態のこと


犬の免疫異常で起こる病気

トイプードルのアップ

リウマチ

自分の関節を攻撃し、関節炎を引き起こします。

炎症性腸疾患(IBD)

原因ははっきり分かっていませんが、免疫の異常が疑われています。腸が荒れて、腸炎下痢が起こります。

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

自分の血液を攻撃し、壊すことで貧血が起こります。

エリテマトーデス(SLE)

自分の皮膚表面にあるたんぱく質を攻撃することで、皮膚がただれる病気です。

犬の免疫力が低下する原因

あくびをする犬

加齢

年をとると、免疫細胞を作る能力が落ちます。

栄養・腸内バランスの崩れ

栄養バランスが崩れた食事を与え続けると、免疫力が下がる要因になります。

免疫細胞を作るためには「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」などの材料が必要になります。栄養バランスが崩れると、前述した免疫細胞を作るための材料が不足します。

さらに腸内環境も崩れる恐れがあります。腸内環境が崩れると、腸の働きが落ちて、病原体が体の中に侵入することを防げなくなります。


病気や薬の副作用

病気になったり、免疫を抑える薬を使ったときには、免疫が充分に働けなくなります。

ストレス

ストレスを受けると、脳からストレスに関係したホルモンが出て、免疫細胞の働きを低下させます。

運動不足・冷え

免疫細胞は血液に含まれています。運動不足・冷えなどで血液の流れが悪くなると、免疫細胞を体の至る場所に届けにくくなります。

空気の乾燥

空気が乾燥すると眼・鼻・口が渇き、病原体の侵入を防ぐ働きが低下します。また、ウイルスは乾燥を好むので、ウイルスにとって快適な環境になります。

環境汚染

環境汚染物質は、体の中で「活性酸素」という有害な物質を増やします。活性酸素は体の細胞を傷つけることで、免疫力を低下させます。

犬の免疫力を高める方法

見上げる犬

1.栄養バランスの良い食事

意識していただきたいのは以下の3点です。

  • 水分を含んだ食事をとり入れる
  • サプリメントで栄養補給をする
  • 質の良いフードを与える

ペトコトでは、オリジナルのウェットフード「PETOKOTO FOODS」をオススメしています。

2.腸内環境を整える

整腸剤、発酵食品、ヨーグルトなどを少し与えるだけでも愛犬の腸内環境の改善につながる可能性があります。


3.早期発見・早期治療を心がける

日頃から「元気・食欲はあるか」「水を飲む量は増えてないか・減ってないか」「排泄の状態」「体重の増減」などの健康チェックを行うだけでも、病気の早期発見につながります。

また、定期的な健康診断、ワクチンやフィラリア予防・ノミダニ駆虫など感染症予防を行うよう心がけましょう。

4.飼い主自身がストレスの少ない生活をする

飼い主さん自身が規則正しい生活を心がけ、穏やかな気持ちで愛犬と接するようにしましょう。

5.適度な運動、温度

犬種、年齢、体調、性格によって散歩時間やおすすめコースは変わってきます。

体温を上げ、血行が良くなると、体中に酸素や栄養素が行き渡りやすくなり、免疫力が高まります。

暑い季節は熱中症に注意してください。


6.適切な湿度

乾燥した季節には、室内の湿度を40~60%に保ちましょう。

7.添加物、化学物質を少なくする

最近では香りのついた洗濯洗剤やペット用品が販売されていますが、香りつきのものは避けましょう。

愛犬の優れた嗅覚にはストレスに感じる恐れがあります。

犬の免疫力を高めることは健康管理につながります!

母犬と子犬

免疫とは病原体やがん細胞を追い出す働きのこと
免疫力を高めると、感染症やがん、アレルギーを起こしにくくなります
運動不足や生活環境次第で愛犬の免疫力が低下します
一般的に免疫力を高める方法を述べましたが、すべての犬に該当するとは限りません。個別の方法については、その子の種類・年齢・体質などにより変わります。

愛犬の免疫について、何か不安や心配ごとがあったら、かかりつけの獣医師に相談してみてください。

参考文献


Spcial Thanks:獣医師として、女性として、 両立を頑張っているあなたと【女性獣医師ネットワーク
女性獣医師ネットワーク
女性獣医師は、獣医師全体の約半数を占めます。しかし、勤務の過酷さから家庭との両立は難しく、家庭のために臨床から離れた方、逆に仕事のために家庭を持つことをためらう方、さらに、そうした先輩の姿に将来の不安を感じる若い方も少なくありません。そこで、女性獣医師の活躍・活動の場を求め、セミナーや求人の情報などを共有するネットワーク作りを考えています。