映画『旅猫リポート』福士蒼汰さんインタビュー

映画『旅猫リポート』福士蒼汰さんインタビュー

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福士蒼汰さん主演の映画『旅猫リポート』が10月26日(金)から全国公開されるのに先駆け、ペトことでは福士蒼汰さんにインタビューを実施しました。映画の見どころや撮影のエピソードについてお聞きしました。

有川浩の「一生に一本しか書けない物語」

映画『旅猫リポート』のストーリー

旅猫リポート

元野良猫のナナは、交通事故にあったところを心優しい猫好きの青年・悟に助けられ、5年間、飼い猫として幸せに暮らしてきました。とある事情でナナを手放さなくてはならなくなった悟は、新しい飼い主を探す旅に出る。

「さあ行こう。これは僕らの最後の旅だ」

悟とナナは、悟の小学校時代の親友、高校時代の初恋の人など悟がこれまでの人生で出会った大切な人たちを、順に訪ねていく。それは図らずも悟の人生をふりかえる旅となる。強い絆で結ばれた一人と一匹のおかしく、切なく、あたたかい物語。

旅の終わりに明かされる、悟の「秘密」とは――。

猫と人間の深い繋がりを描いた全く新しい物語が誕生。


福士「すぐにナナのことが好きになりました」


――オファーを受けた時の率直な感想から教えてください。

福士:有川浩先生原作の作品は以前も出演させていただいたことがあったので、絶対いい作品になるんだろうという確信がありました。実際原作を読ませていただくと、有川先生が「一生に一本しか書けない物語」とおっしゃっている意味が分かって、すごく感動しました。

ただ猫目線でお話が進んでいくので、実写化するにあたっては「撮影はどうなるんだろう?」という不安も大きくて。自分自身犬は飼っていたことはあるんですが、猫とはこれまでちゃんと接する機会がなかったので、扱い方が全然分からなくて。そういう意味での緊張がありつつのスタートでした。

徐々に距離を縮めていった二人

旅猫リポート

すぐに心が通い合ったわけではなかったという福士さんとナナ。初対面の印象や、撮影で一緒の時間を重ねていくうちに距離を縮めていったエピソードを伺いました。

――ナナとの初対面の印象は?

福士:とってもかわいくて、とにかくフワフワしてる! と思いました。すごく好みのタイプだったので(笑)、ぎゅ~ってしたくなりましたが、ナナは抱っこが嫌いですぐ逃げちゃうんです。でも自分はすぐナナのことが好きになりました。ただやっぱり犬とは愛情表現の仕方が根本的に違うので、最初は結構大変でした。

――すぐに心が通い合ったわけではなかった?

福士:最初の頃は犬にする感覚で顔を近付けてみたら、ぺろぺろってしてくれるかな?と思ったんです。そしたら「嫌~!」という感じで、猫パンチされました(笑)。爪は立ててなかったんですが、肉球で思いっ切り。でも撮影が始まって2週間くらいしてから、顔を覚えてくれたなと感じる瞬間があって。今回は車に乗って旅をするシーンが多くて、車内では基本二人きりなんです。しかも毎日撮影で会ってるので、だんだんと慣れてきてくれたみたいでした。あとは猫のトレーナーの方がどんな風にナナを扱ってるのかを、常に見て勉強していました。

いつも気ままな感じも猫ならではなんですが、シャワーのシーンでは水が怖かったらしく、珍しくしがみついてきてそこもかわいいなぁと思いました。

――具体的にはどんな風にナナとの距離を縮めていったのでしょうか?

福士:まずは抱っこの仕方に気をつけました。「抱っこするよ」という覚悟で、抱っこのポジショニングというか猫ちゃんがそのとき落ち着く所を探していました。

あとは、ナナは物音にすごく敏感だったので。物音に対して、すごくキョロキョロして「やばいやばい」みたいな感じになるので、目線をこっちだよって落ち着かせてあげるようにフォローしてました。

ナナはツンが8割ぐらいあって、デレたときのかわいさ

旅猫リポート
――ナナと共演してみて、 犬と違う猫らしさでかわいいなと思ったところを教えてください。

福士:やっぱりツンデレっていうところがかわいいです。特にナナはツンが8割ぐらいあって、デレたときのかわいさ。とってもかわいかったです。

――猫が出る場面で特に気に入っているところ。注目してほしい場面はありますか?

福士:全シーンかわいいですし、本当にいいお芝居をしているので、どのシーンも見逃せないです。

――撮影現場はどんな雰囲気で進んだのでしょうか。

福士:みんなが「ナナのために!」という現場でした。ナナからいい表情を引き出そうということに向けて全員が一つになってて、現場の雰囲気もすごく柔らかく。例えばナナが膝の上にいるシーンでも、ナナとしては膝の上に乗りたくない日もあると思うんです。そういう時はナナが居やすいように、抱っこしているような体勢に変えて話しかける。そうするとスタッフさんも「じゃあカメラこっちのアングルに変えて、カット割ります」というような。本当にナナの気分次第でその場で変わることも多かったので、他の作品とは全然違いました。

自分が主演の場合はどうしても責任感やプレッシャーを感じるものですが、今回はナナという絶対的な存在がいたおかげで、逆に自分はリラックスできたんです。現場ではいつも以上に気持ち良くお芝居ができていた気がします。

――悟というキャラクターについては、どのように演じていこうと?

福士:なかなかこうはなれないよなというくらい、優しい好青年です。丸くて全く角がない。最近とんがったアクション映画をやることが多くて、こういう日常の中にいるキャラクターは実は一番難しいなと思います。キャラクターチックに演じるのではなく、見る方の想像の範囲内に収めながら悟という人をどう魅力的に映していくのかということをすごく考えました。

三木康一郎監督に初めてお会いした時が、ナナとの初対面の日でもあったんです。そこでナナと接する自分を見て、監督が「その感じいいね。福士くんの素の感じでいいよ」とおっしゃってくださって。その言葉にすごく救われました。キャラクターとして作り込むのではなく、もし自分の中に悟に似た部分が見えるならそこを最大限引き出して演じていこうかなと。

――ご自身的には悟との間に共通点は感じられましたか。

福士:自分はここまで優しくていい人じゃないかもしれないです(笑)。でも彼の生い立ちや、育ってきた環境が過酷だったからこそ、ここまで優しくなれたのかなということは想像できました。悟という名前のごとく、本当にいい意味でいろんなことを悟ってる人だなと。だから今回は役作りをしたというよりは、猫や人との関係性を作っていこうと考えました。ナナやハチとの関係性、叔母さんや学生時代の友人達との関係性……それぞれが悟にとってどういう存在だったのかということを考えていく作業でした。

旅猫リポート

福士「自分の出演している映画を見て泣いたのも初めてでした」


――悟にとってナナはどんな存在だったのでしょう。

福士:一言で言うと家族です。もとは野良猫で家族がいなかった子ですが、今はナナと自分は間違いなく家族。だからこそナナには家族がいてほしい、絶対に一人にはしたくないというのが悟の想いなんだなと。

――共演者の方々についての印象もお聞かせください。

福士:竹内結子さんとは今回初めてご一緒させていただきましたが、とてもナチュラルな空気感を持たれている方でした。その場にスッと溶け込める空気を作ってくださる方なので、今回は叔母と甥という関係だったんですが、すごく自然に身内のような雰囲気を出してくださって助けて頂きました。

旅猫リポート

学生時代の友人達に関しては高校パートが撮影としては一番多かったので、広瀬アリスさん、大野拓朗さんとのシーンが特に印象に残っています。みんな、いい大人なんですが(笑)、制服を着て高校時代を元気いっぱいに演じたりするのも楽しかったです。この3人に限らずキャストはみんな動物好きの方ばかりだったので、とても話が合いました。

――福士さんご自身は子供の頃から動物が好きだったのでしょうか?

福士:そうだと思います。

子供の頃、犬を飼ってたんですが、家の周りがすごく自然に溢れていて、インコが入ってきたりとか、リスが家の中に入ってきたりとか、そういう動物と近い環境でした。

――犬を飼われていたんですね。

福士:自分が小学校の頃に、茶色のトイ・プードルを飼っていました。犬はもちろん好きですが、今回、猫の映画で実際に猫と触れ合ってみて、猫もかわいいなと。動物全般が好きなんだな、というのを改めて感じました。

――三木監督とのお仕事についてもお聞かせください。
旅猫リポート

福士:初対面の時からそうでしたが、いい意味で友達のように接してくださるとてもフレンドリーな監督でした。現場にピリピリした緊張を絶対持ち込まないし、監督自ら冗談を言って現場を和ませてくれたりしました。監督が一番のムードメイカーだったかもしれません。ただナナにはあんまりなつかれてなくて、一生懸命ちょっかいを出してもすぐに逃げられてました(笑)。

――高畑充希さんの声が入った完成作をご覧になっての感想は?

福士:高畑さんの声の質、しゃべり方……全部がナナになじんでいて驚きました。最初の一言目で「わ! 猫がしゃべった!」と思ったんですが、二言目からはすっかりナナにしか見えなくて。ナナは実は男の子なんですが、少年の役を女性の声優さんがあてることがあるように、男の子なんだけどヒロイン感も出ていて(笑)余計ナナが可愛く見えました。

あとはやっぱりナナのお芝居もすごく良くて! そこに至るまでの撮影の大変さを知っているぶん、その苦労の跡が全く見えない仕上がりにも感動しました(笑)。自分の出演している映画を見て泣いたのも初めてでした。ナナやハチのシーンはもちろん、悟の少年時代のパートは現場でも見ていなかった部分なので思わず涙してしまいました。

猫と人間の繋がり、人間と人間の繋がりがしっかり描かれていて、すべてが愛情でできているお話


――この映画の中で飼うならこの子っていうのはありますか?

福士:そこはもちろんナナです。

――作品を通じて伝えたいことは?
旅猫リポート
福士:猫の可愛さは当然のこととして、猫と人間の繋がり、人間と人間の繋がりがしっかり描かれていて、すべてが愛情でできているお話だと思います。猫とどう接するのか、大事な人とどう接するのかを見つめ直す機会になればうれしいです。

――最後に、ペトこと読者へのメッセージをお願いします。

福士:「猫を飼っている方はもちろん、犬を飼っている方も楽しめる映画となっていますので、ぜひご覧ください」

                                                           
映画『旅猫リポート』Information
公開 2018年10月26日(金)全国ロードショー
原作 有川浩 『旅猫リポート』(講談社文庫)
出演 福士蒼汰、高畑充希(声の出演)、ナナ、竹内結子
広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介
前野朋哉 田口翔大 二宮慶多 中村靖日/戸田菜穂
橋本じゅん 木村多江 田中壮太郎 笛木優子
監督 三木康一郎
脚本 有川浩・平松恵美子
音楽 コトリンゴ
企画製作・配給 松竹
公式サイト 映画『旅猫リポート』
公式Twitter https://twitter.com/tabineko_movie
ナナのInstagram https://www.instagram.com/nana_tabineko/

©表記:©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
©表記:協力:ZOO動物プロ