猫が「だるまさんが転んだ」をするのはなぜ?遊ぶ理由を解説

猫が「だるまさんが転んだ」をするのはなぜ?遊ぶ理由を解説

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誰でも一度はやったことがある「だるまさんが転んだ」という遊び。実は猫ちゃんもできるのです。10年ほど前に話題になったYouTube動画を見たことがある方も少なくないと思います。なぜ猫はだるまさんが転んだができるのでしょうか? どうやったら猫ちゃんと楽しくだるまさんが転んだをして遊べるのでしょうか? 今回は、猫がだるまさんが転んだをやる理由や、やり方を解説します。

猫の「だるまさんが転んだ」とは

お腹を出して寝る猫

猫がする「だるまさんが転んだ」とは、人がやる遊びとは少し違います。人の場合は鬼が「だーるーまーさーんーがこーろーんーだ!」と掛け声をかけ、その掛け声がやんだときに静止するという遊びですが、猫と遊ぶ場合は「だるまさんが転んだ」という掛け声は必須ではありません。

では猫のだるまさんが転んだとはどういうものかというと、飼い主さんが見ている間はピタリとまるで銅像のように止まって動かず、飼い主さんが物陰などに隠れたり背後を向いたりする間に、密かに距離を縮めているというものです。

まずは、10年ほど前に話題になった動画で実際の遊びを見てみましょう。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。



人のだるまさんが転んだ遊びにとてもよく似た動きをするので、同じように「猫のだるまさんが転んだ」と呼ぶようになりました。猫版として「だるまさんが転んにゃ」と呼ぶ人もいるようです。猫とだるまさんが転んだ遊びをするには少しコツがいるのですが、だるまさんが転んだの動きは猫の本能に基づいたもので、実はどんな猫でもできるのです。

猫が「だるまさんが転んだ」をする理由

だるまさんが転んだで遊ぶ猫

猫はだるまさんが転んだという掛け声を理解しているわけではありませんし、ゲームの趣旨を分かっているわけではないのに、なぜだるまさんが転んだができるのでしょうか?

「だるまさんが転んだ」は狩りと同じ

だるまさんが転んだの遊びをしている猫を見ると、飼い主さんに分からないように素早く、密やかに目標に向かって動いていることが分かります。これは猫が狩りをする動作と同じなのです。

現在はペットとして人間と一緒に暮らしている猫ですが、猫の祖先はリビアヤマネコという野生の猫種です。リビアヤマネコは現在でも中東からエジプトの砂漠地帯で生息しており、狩りをして暮らしています。猫がだるまさんが転んだに似た行動ができるのは、リビアヤマネコから受け継いだ狩猟本能によるものです。だるまさんが転んだに似た動きは猫ばかりではなく、トラなどのネコ科動物でも見られる動作です。

猫の「だるまさんが転んだ」はホラー?

猫のだるまさんが転んだの動画を見ると、飼い主さんが見ていない少しの間に、音を立てずに素早く目標に向かって移動してきていることが分かります。猫を見るたびに、「そんなところまで来たの?」というような近づき方ですね。この音もなく近づいてくる様が「ちょっと怖い」「ホラーだ」といわれることがあるようなのです。もちろんホラーといってもそれは猫への愛情からきている表現で、ある意味猫の能力への賞賛かも知れませんね。

「だるまさんが転んだ」で猫が静止する理由

猫

なぜ猫はピタリと動きを止めるのでしょうか。

獲物に気づかれないようにしている

だるまさんが転んだの動きは猫が狩りをするときの動きです。猫は獲物を追って狩りをするのではなく、待ち伏せ型の狩りをします。犬のような持久力がないため獲物には極力近づき、一気に仕留めることが必要となってきます。同じネコ科動物であるチーターのハンティングがまさにそれですね。

そのため猫は肉球を使って足音を立てずに動きます。獲物を狙っている途中でまるで動画を制止させたときのようにピタリと動きを止めて微動だにしないのは、獲物に気づかれないようにする行動からくるものなのです。

猫を飼っている方は、何かに狙いを定めた猫が身を低くして動き、前足をまさに踏み出そうとした姿勢のまま制止したりする様子を見たことがあるでしょう。ライオンなど大型のネコ科動物の狩りでも同じような動きが見られることがありますね。テレビなどで見たことがある方もいるでしょう。猫は獲物に気取られないようにするため、獲物を狙っている際に動作をピタリと止めることができるのです。その習性を利用して猫とゲームをするのが猫のだるまさんが転んだなのです。

猫は止まっているものがよく見えない

猫の祖先は狩りをして暮らしていましたので、そのDNAを受け継いだ猫も強い狩猟本能を現在でも持っています。そのため動くものへの反応は素早く、動体視力は大変優れています。猫ちゃんは飼い主さんが気がつかない虫などにもいち早く気がついて狙いを定めたりしますね。

しかし猫は動体視力が優れている反面、動いていない物を見る視力はあまり良くありません。猫の猫は見ることができる色も限られますし、動いていないものの形状を把握するのはとても不得意なのです。猫の視力は人間の10分の1程度しかないといわれています。

そのため、影に隠れていた飼い主さんが急に顔を出すと確認のためじっと見つめなければならないのです。これは飼い主さんだけではなく猫じゃらしなどでも同じです。猫は動きが止まると、そのものの形をよく把握することができないので、動かずじっと見つめてしまうのです。この反応を利用して遊ぶのがだるまさんが転んだということになります。

猫との「だるまさんが転んだ」遊びのやり方

猫

猫とだるまさんが転んだをして遊ぶには少しコツが必要です。

距離を取る

猫とだるまさんが転んだをするには、猫と飼い主さんの間に少し距離がなければなりません。だんだん飼い主さんのほうに猫ちゃんが近づいてくるようにするためです。しかし猫との距離が飼い主さんや猫じゃらし等に気がつかないほど遠くでは、飼い主さんがだるまさんが転んだに誘っていることに気がついてくれません。猫ちゃんが飼い主さんの動きに注目しやすい程度の距離をとった場所から始めると良いでしょう。

遊びに誘う

ほどよい距離にいる猫ちゃんに呼びかけるなどして飼い主さんへ注意を向けて遊びに誘いましょう。猫とだるまさんが転んだをして遊べるのは、猫が他に気をとられていないときで、他に気になることがあると誘いに乗ってくれません。眠いときや他の遊びに熱中しているとき、ご飯のときなどは飼い主さんのほうに注目してくれないので誘いに乗ってくれないでしょう。

猫の興味を引く

ある程度の距離に離れた場所にいる猫ちゃんの興味を引くような行動をとります。猫の狩猟本能を刺激するように疑似獲物になるようにするのがコツです。だるまさんが転んだの遊びを何回かやって、これは飼い主さんとのゲームであると理解すると、すぐに遊びに乗ってきてくれるようになりますが、最初のうちは猫ちゃんの気を引きやすい猫じゃらし等のおもちゃを使って気をひいても良いでしょう。飼い主さんの手をひらひらさせてもいいですね。また、ただ飼い主さんの姿を見せる、隠れるという行動でも注意を引くことができる場合もあります。

猫はずっと見えているものにはあまり注意を払いません。ネズミなどの獲物のように出たり入ったり、見えたり見えなくなったりする様子に引き付けられます。おもちゃや飼い主さんの手、飼い主さん自身を見えたり見えなかったりするようにしましょう。

動きが止まると猫が静止する

だるまさんが転んだは、飼い主さんを疑似獲物として遊ぶゲームです。前述したとおり、猫は狩りをする際に獲物の動きが止まると猫自身も制止します。飼い主さんが身を潜めた物陰から再び姿を現したり、おもちゃが止まったりすると、猫も動きを制止しますので、それを繰り返すと猫とだるまさんが転んだができます。飼い主さんが見ていないときに段々に近づいてきて、飼い主さんのところまで来たらゴール。猫ちゃんの勝ちです。

猫が「だるまさんが転んだ」をしやすい場所

猫

だるまさんが転んだは、猫ちゃんから飼い主さんの姿やおもちゃが丸見えになる場所ではうまくいきません。猫ちゃんから飼い主さんの姿が死角になる場所を選びましょう。例えば廊下の向こうに猫ちゃんがいて、飼い主さんは壁の影に隠れる、タンスの影に隠れるなどして見えたり見えなかったりできるような場所で遊ぶとうまくいきますよ。

猫が「だるまさんが転んだ」をするときはどんな気持ち?

猫

だるまさんが転んだは、猫の狩猟本能を利用して猫と遊ぶゲームです。そのときの猫ちゃんの気持ちは狩りをするときのような、ちょっとした緊張感とドキドキ・ワクワクした楽しい気持ちでしょう。狩猟本能を利用した遊びといっても、その日を生きるための食料を手に入れることができるかどうかの本気の狩りというわけではありませんし、それは猫ちゃんも理解しているので、ワクワクできる楽しい遊びなのです。

「だるまさんが転んだ」ができたら猫も楽しい!

だるまさんが転んだは、どんな猫ちゃんでもできるのですが、飼い主さんと楽しく遊ぶにはちょっとしたコツが必要になってきます。もし飼い主さんと猫ちゃんが一緒にだるまさんが転んだで遊ぶことができれば、室内での遊びのバリエーションが増えて、退屈しないで済みますね。