【獣医師執筆】猫がシーチキン(ツナ缶)を食べるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説

【獣医師執筆】猫がシーチキン(ツナ缶)を食べるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説

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サラダやおにぎりの具など、さまざまなメニューで活躍してくれる「シーチキン」。シーチキンとは、はごろもフーズが登録商標している商品名で、一般的には「ツナ缶」として販売されています。手ごろな価格で購入できるので、常備しているという人もいますよね。そんなツナ缶ですが、猫が食べても大丈夫なのでしょうか?「原材料は魚だから猫が食べても大丈夫」と思われがちですが、猫に与えるのはオススメできません。その理由を詳しく紹介しましょう。

猫にシーチキン(ツナ缶)を与えても大丈夫?

シーチキン(ツナ缶)

猫にツナ缶を与えることは、おすすめできません。ツナ缶の主な材料はマグロやカツオなので、一見するとあげても良さそうな気がしてしまいますが、オイルや塩が添加されていない水煮であっても、後述のイエローファット(黄色脂肪症)という病気になってしまう可能性があることから、あまり与えない方が良いでしょう。

それでも、猫にツナ缶を食べさせたいという場合は、猫用のツナ缶を用意してあげましょう。キャットフードとしてツナを使ったものが多く販売されていて、猫が食べても問題ないように加工されています。

猫にシーチキン(ツナ缶)をおすすめできない理由

シーチキン(ツナ缶)

1. イエローファット(黄色脂肪症)

猫にツナ缶を与え過ぎてしまうと、イエローファット(黄色脂肪症)になる可能性があります。イエローファットとは、ツナ缶の原材料であるマグロやカツオといった主に青魚にたくさん含まれている不飽和脂肪酸を過剰に摂取することで発症する病気です。

不飽和脂肪は少量ならコレステロールを下げて血液をさらさらにしてくれますが、食べすぎてしまうと脂肪を酸化させてしまいます。イエローファットを発症すると、下腹部に脂肪の硬いしこりができ、突っ立ったようなぎこちない歩き方をするようになります。痛みを伴い、おなかを触ることを極度に嫌うような症状が見られることもあるのです。


2. メチル水銀

ツナ缶の原材料であるマグロは、ほかの魚よりも多く水銀(メチル水銀)が含まれており、人間と同様に猫が食べ過ぎると中枢神経に障害を与える可能性があります。メチル水銀は全ての魚介類に同じように含まれるわけではなく、海の食物連鎖の上位にある動物、寿命の長い動物に高い濃度で含まれます。

厚生労働省が2005年に改定した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」によると、一般の方(とくに妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方)は、マグロなどのメチル水銀濃度が高い食材は週に1〜2回以内にすることを薦めています。猫にとっても与え過ぎはよくありません。


3. 塩分・油

ツナ缶には、塩分やオイルが使われているものが多くあります。

塩分は人の場合、過剰摂取は高血圧の原因になるのでなるべく摂りすぎないように気を付けている方も多いと思います。同じように猫も塩分に気を付けたほうがいいと思う方も少なくないのですが、人と猫では体の作りが違います。

例えば、「正常猫ではナトリウム含有量が異なる3種類の食事を7日間にわたり給餌したところ、(中略)血圧の変化は見られなかった」(※1)や「犬猫の腎臓病に伴う高血圧症ではナトリウム制限の有効性は明確に示されていない」(※2)という報告もあります。

しかし、だからといって人が食べるものを猫に食べさせれば塩分過多になってしまいます。塩中毒の危険性がありますし、過剰摂取による血漿(けっしょう)高カリウム濃度が続くと猫場合は心疾患、心不全につながる恐れがあります。ただし、塩分を制限し過ぎると塩分不足の悪影響が出てしまう場合もあります。

また、オイルは取り過ぎると、人と同様、猫でも肥満の原因になります。

※1:三品美夏、渡辺俊文『正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動』(日本小動物獣医学会誌)
※2:小山秀一『犬および猫における水およびナトリウムの調節機構』(動物臨床医学)


4. アレルギー

原材料であるマグロやカツオに、アレルギー反応を示す猫もいます。もしツナ缶やマグロ、カツオなどを食べたあとに、元気がなくなったり目が充血したりする症状が見られた場合は、与えるのをやめ、速やかに獣医師に相談してください。

猫にシーチキン(ツナ缶)を与えることはおすすめできません

猫

ツナ缶は塩分・油が含まれていないものであれば少量食べても問題はありません。しかし継続的に食べさせると猫に必要な栄養が不足する可能性があります。基本的に人向けに加工された食べ物は猫に与えないようにしてください。

人間用に用意していた食塩やオイル入りのシーチキンを誤って少量を食べてしまったという場合、慌てず様子を見て、気になる症状がある場合はすぐに動物病院に相談するようにしてください。

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