猫が赤ちゃん返りをする理由は?老猫がする場合のサインも解説

猫が赤ちゃん返りをする理由は?老猫がする場合のサインも解説

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人間にも見られる「赤ちゃん返り」ですが、猫にも見られることがあります。嫉妬心や老猫になったことによる心の変化が原因といわれていますが、今回は、具体的な行動や対策について詳しく解説します。

猫の赤ちゃん返りとは

子猫

「赤ちゃん返り」とは、通常は人間の子供の行動に対する呼び方です。人間の子どもの赤ちゃん返りとは、幼児~小学校低学年くらいの年齢の子供がおっぱいを欲しがったり、トイレがちゃんとできなくなったり、わがままを言って親を困らせるなど、まるで赤ちゃんに返ってしまったような行動を見せることをいいます。

「猫の赤ちゃんが返り」とは、まるで赤ちゃんのような行動を見せる点など、人間の赤ちゃん返りと似ている部分もあるのですが、原因についてはかなり異なる部分もあります。人間の子どものように兄弟ができたことなどの嫉妬が原因というわけではないことも多いです。

猫の赤ちゃん返りで見られる行動

猫の赤ちゃん返り

のどをゴロゴロ

猫は一人が好きとよくいわれますが、正確には「一人で過ごしたいときがある」、もしくは「かまってほしいときと、かまってほしくないときの落差が激しい」という表現のほうがふさわしいでしょう。

猫は「ツンデレ」と称されるように、どの猫にもツンの部分とデレの部分があるのですが、その子の性格によってはとても甘えっ子でデレのほうが多くを占める性格の子もいます。

そのような子だと飼い主さんに甘える頻度が高く、飼い主さんに見つめられただけでもゴロゴロ鳴いてしまうので、そのような様子が「赤ちゃん返り」と言われるのかもしれませんね。


鳴く

甘えっ子で自己主張が強い子は、おしゃべりが好きで飼い主さんとまるで対話するように鳴いてみたり、抱っこしてほしい、なでなでしてほしいという欲求があるときに鳴くことがあります。飼い主さんへの要求や甘える気持ちがあると、鳴き声は甘えるように、高く長く鳴くことが多いようです。

この甘えて鳴くという行為も、飼い主さんにベタベタするのが好きではない子はあまり見せることはなく、甘えっ子が飼い主さんに対して鳴くことで注目してもらおうとするようです。

猫の幼少期の育ち方による赤ちゃん返り

子猫

猫がまるで子猫のような仕草をする大きな原因の一つは、幼少期の育ち方によるものだと考えられます。

前足をフミフミする

猫が毛布などの柔らかいものや飼い主さんを前足でフミフミする動作は、猫が甘えるときの仕草として知られていますね。この前足をフミフミするという行動は、実は子猫が母猫のおっぱいを吸うときにする動作です。前足をフミフミする動作は多くの猫がしますが、十分な大きさになるまで母猫に育てられなかった子がこの動作をすることが多いです。

早期に母猫から離されてしまった子たちは、どんなに飼い主が愛情をかけてミルクを与えて育てたとしても、成猫になってからも前足でフミフミをする行動をとりがちです。反対に4~5カ月になるまで、十分に母猫に育ててもらった子猫は、大人の猫になるとフミフミすることはあまりありません。猫がフミフミする様子は可愛いですが、実はこのような幼少時の体験によるちょっと悲しい仕草なのです。

捨てられた子ではなくても、日本のペットショップで売られていた子たちは、かなり早期に親から離されます。そういう子たちは母猫の感触に似た柔らかい毛布や、飼い主さんの温かさに触れるとまるで母猫を求めるかのように大人になっても、老猫になってもフミフミしてしまうのです。


毛布を吸う

猫が毛布などの柔らかい布をまるでおっぱいを吸うようにチュパチュパと吸ってしまうことがあります。まるで小さな赤ちゃん猫のような行動ですが、これも前述したフミフミと同じで、子猫のときに十分に母猫におっぱいを与えてもらうことができなかった子達がする仕草です。フミフミしながら毛布を吸っている姿は、まるで赤ちゃん猫のようです。筆者はそのような姿を見ると、母猫の温かさに充分包まれて育つことができなかった子の寂しさを感じてしまいます。

ストレスなどによる猫の赤ちゃん返り

猫の赤ちゃん返り

猫の赤ちゃん返りの中には、機嫌が悪い時間が多くなったり、威嚇をするようになったり、粗相をしてしまうようになったりという問題行動が見られることもあります。これらの赤ちゃん返りの行動の原因の多くは、ストレスであると考えられるでしょう。

生活環境が変わったり、新入りの猫や新しいペットが加わったり、飼い主さんに赤ちゃんが生まれたなど、生活環境が激変し、これまでどおりに思うように飼い主さんに甘えることができなかったりすることがストレス要因になります。

避妊・去勢手術をすると赤ちゃん返りをする?

仰向けの猫

避妊・去勢手術をするということは、猫は交尾のために他のオスと張り合ったり、子猫を守るために周囲の危険に常に気を配りながら暮らしたりする必要がなくなるということです。

逆に避妊・去勢をしないと繁殖活動は猫の生活の大部分に影響を及ぼすことになるので、甘えたりする余裕がなくなってしまうのです。

繁殖活動をする必要がなくなれば、猫たちは繁殖期に左右されることもなく、飼い主さんに甘える生活を送ることができるようになります。つまり避妊・去勢をすると終生、子供のような心を持ち続けるといえるでしょう。その様子を赤ちゃん返りと表現することがあるかもしれません。


老猫の赤ちゃん返り

猫

老猫になると飼い主さんから離れたがらなくなったり、甘えっ子になったりする子がいます。歳を取るということは、今までどおりに動けなくなる、どこかしら痛い箇所があるなどの不調が出てきてしまいますね。猫はそのことに対して不安を感じてしまい、飼い主さんのそばから離れたがらなくなることがあります。

老いて、若い頃のように動かせなくなった体を元に戻してあげることは難しいですね。猫の老いとそれに伴う気持ちの変化を受け入れてあげることが大切です。

猫の赤ちゃん返り、どう対処するべき?

猫の赤ちゃん返り

飼い主さんは親

猫と飼い主さんの関係は、親と子供のような関係といわれています。猫が何かの不安やストレスを感じれば、飼い主さんに頼りたくなるのは当然のことです。また飼い主さんの愛情がほかの対象に向けられていると感じれば、不安になってしまうことも仕方のないことです。

そして猫は、人間のように「お兄ちゃんだから我慢しなさい」などの言い分は理解できません。愛猫の保護者であることを自覚して、対応してあげることが大事になってきます。

猫と向き合う時間を持つ

猫が環境の変化や新しい家族が増えたことによって、赤ちゃん返りをしてしまっているときは、短くてもいいので猫と向き合う時間を作ってあげるようにしましょう。その際、何かをしながら猫をなでたり、抱いたりするのではなく、その子を見て、その子のことだけを考えて相手をしてあげることが大事です。

猫は飼い主さんが自分の方に注意を払ってくれているかどうかを敏感に察知します。短い時間でもその子のことだけを考えて可愛がってあげれば満足してくれますよ。

猫と遊んであげる

赤ちゃんが生まれたときなどは忙しくなってしまい、猫と遊んであげる時間がとれなくなってしまうこともあるかもしれません。しかし猫は飼い主さんのそのような事情は理解できないので、飼い主さんの愛情を感じられず、赤ちゃん返りの行動をとってしまうこともあるでしょう。猫は10~15分程度遊んであげると十分に満足してくれます。

しつこいときはその場を離れる

あまりにもしつこく猫が飼い主さんになでたり、抱っこしたりすることを要求してくるときは、その場を離れて猫の気持ちを落ち着かせることも必要です。猫の要求に応えられないこともあると猫に理解させるのには根気と時間が必要ですが、2歳以上の精神年齢も大人になった猫は、だんだんとそういうことも学べるようになります。

噛むときは無視

猫は飼い主さんの注意を引きたいときに噛んでくることがあります。猫が噛んできたときに要求に応えてあげてしまうと、「噛めば飼い主さんがかまってくれる」と思ってしまうので、猫が噛んできたらその場を離れて、猫を無視するようにしましょう。猫が噛んでこないときに可愛がってあげるようにすることで、噛むのはよくないことであると理解できます。

猫を怒ってしまうと効果がないばかりか、猫との関係にひびが入ってしまうので、猫を怒鳴ったりしないようにしましょう。猫は悪気があって噛んでいるのではなく、ただただ飼い主さんに自分を見てもらいたい一心なのです。噛むことはよくないことであっても、向けた愛情に対して怒鳴りつけられれば猫は傷ついてしまいますし、飼い主さんを恐れるようになってしまいます。

老猫との時間を大切に

老猫の赤ちゃん返りは、猫と過ごせている時間がそんなに長くないことを示しています。赤ちゃん返りは飼い主さんに対する愛情の裏返しでもあるので、老猫との時間を大切にしてあげてほしいです。

猫の赤ちゃん返りは甘えたいサイン

ハンモックにいる猫

猫が赤ちゃん返りをする理由は様々なものがありますが、多くの場合、甘えたいサインです。子猫のときに母親から十分に育ててもらえなかった子は、生涯にわたって子猫のような仕草を飼い主さんにすることがあります。

猫にフミフミされるときは爪が出てしまうので飼い主さんは痛いかもしれませんが、猫は飼い主さんに母親に甘えるときのような愛情を求めていますので、甘えさせてあげて欲しいと思います。爪が痛いときは猫の爪を切るようにする、猫と飼い主さんの間にバスタオルや毛布などを入れるようにすると良いですよ。