【獣医師執筆】犬にとってタバコは危険!誤飲時の症状や副流煙のリスクなどを解説

【獣医師執筆】犬にとってタバコは危険!誤飲時の症状や副流煙のリスクなどを解説

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犬がタバコを口にすると、火傷の恐れだけでなく、ニコチン中毒に陥る恐れもあります。また、誤飲だけでなく、タバコの煙も犬にとって悪影響を与えます。犬と暮らす家庭ではタバコを吸わないことがベストですが、もし吸う場合は、注意点や誤飲の時の対処法を事前に知っておきましょう。獣医師監修のもと、タバコの危険性について紹介します。

犬にとってのタバコの危険性

毛布にくるまる犬

ニコチン中毒の恐れ

犬がタバコを口にすると、少量であってもニコチン中毒を発症する可能性があります。

ニコチン中毒の主な症状は以下の通りです。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 興奮状態になる
  • 呼吸が浅くなる
  • 脈が弱くなりぐったりとする
  • 唾液分泌過多(よだれが多い)
  • 可視粘膜蒼白(口腔内粘膜、結膜などが白やピンクになる)
  • 運動失調(よろよろふらつく)
  • 震え(痙攣、もしくは寒くないのに震える)
  • 頻脈(心拍数が早い)
  • 頻呼吸(口呼吸)
  • 高血圧(目がギラギラしている、あまり寝ない)

症状が重くなると「徐脈(脈が遅くなる)」「呼吸抑制(呼吸がしにくい)」「低血圧(元気がない)」「昏睡状態(立てない状態)」に陥る場合があります。

一連の症状は、摂取後すぐ(15分〜90分)に現れるのが特徴です。ニコチン中毒になると最悪の場合、摂取後、短時間で死に至る可能性があります。

キシリトール中毒の恐れ

タバコには人工甘味料のキシリトールが含まれている可能性があるため、注意が必要です。

犬がキシリトールを摂取すると血糖値を制御するインシュリンが急激に大量放出され深刻な低血糖に陥ったり、肝機能の低下が引き起こされたりすることが分かっています。

そのため、犬がキシリトールを摂取すると重い中毒症状を引き起こし、命を落とす恐れがあるため、絶対に与えてはいけません。

犬が届く場所にタバコを置いたり、犬が自分で開けられるようなゴミ箱に捨てたりしないようにしましょう。


犬がタバコを誤飲した場合の対処法

動物病院で診療中の犬

すぐに動物病院へ連絡を

犬がタバコを口にした場合は、なるべく早く吐き出させる処置が必要になります。

自己流で吐き出させようとはせず、行きつけの病院や救急病院に電話し獣医師の指示に従いましょう

「タバコをどのくらい摂取したか」「摂取した時間はいつか」「愛犬の様子はどうか」をしっかりと伝えることが大切です。

水を飲ませるのはNG

愛犬がタバコを誤飲したとき「薄めないと」と、水を飲ませる飼い主さんがいますが、それは逆効果なので絶対にやめましょう

水を飲ませることで、体内でタバコからニコチンが溶け出しやすくなり、逆にニコチンの吸収を助ける可能性があります。

動物病院での対処法

  1. 胃を空にする
  2. 活性炭の投与
  3. その他、症状に応じての対症療法

動物病院では、一般的に、すぐに催吐処置をするか、胃洗浄し、毒素の吸着を目的とした活性炭を投与されることが多いでしょう。その他、症状に応じて対症療法も行います。

犬の誤飲以外のタバコの注意点

タバコ

副流煙のリスク

タバコの副流煙(受動喫煙)は犬にとっても危険です。

犬のそばでタバコを吸う場合、犬の呼吸器系に異常をきたしやすく、咳や気管支炎を引き起こす恐れがあります。

非喫煙者と暮らす犬に比べて、喫煙者と暮らす犬のほうが、リンパ腫にかかりやすいと考えられています(※)


灰や吸い殻の処理に注意

犬の届く範囲に灰や吸い殻が落ちている場合は、舐めてしまう可能性があります。

必ずキレイに水拭きしましょう。小型犬は少し舐めただけで健康に害を及ぼす可能性があります。

犬のそばでは吸わない

犬は人間よりも嗅覚が優れ、少しの匂いでも感知します。

タバコの匂いにより、犬はストレスを感じてしまいます。犬とともに暮らす場合、タバコを吸う時は外に出るなど、犬に匂いを感じさせないようにしましょう。

換気や空気清浄機で、室内に煙がこもらないようにする対策も大切です。

まとめ

犬

タバコの誤飲は少量でも危険です
最悪の場合、死に至ることも
応急処置は電話で獣医師の指示を仰ぎましょう
受動喫煙は犬にとって悪影響があります

タバコは体には良い影響を与えませんが、タバコを吸っている人が吸わない人に配慮するように、犬や他の動物たちにも気を使ってあげられるといいですね。

最近では副流煙が出にくいタイプのタバコも開発されていますので、切り替えられる方は切り替えも検討してみてはいかがでしょうか。


参考文献


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