【ペット市場】人だけでなくペットの遠隔診断も需要あり? 獣医療の未来とは

昨年、厚生労働省が人間において遠隔診断の解禁を通達しました。動物病院においても地方では動物病院の数は少なく、必要なニーズに応えられる獣医療は限られている現状があり、これから広く実用化されていくことが望まれています。実際に、ペトことで相談があった内容を振り返りながら、どんなニーズが見えてきたかについて犬と猫に分けて紹介しています。

ペットの飼い主さんには健康管理というとても大切な責任があり、悩みどころでもあります。「元気がない気がするけど、病院に行くほどか迷う」「かかりつけの獣医に気軽に相談できたらいいのに」「いつもの病院では心配ないと言われたけど、一応専門医にも相談したい」など、さまざまな希望があると思います。

今回はペトことの獣医師ライターが受けた代表的な相談内容を振り返りながら、どんなニーズが見えてきたかについて犬と猫に分けてお話します。

犬の場合:高齢化によるかかりつけ医のセカンドオピニオンのニーズあり

パグ

犬の飼い主の相談で最も多かったのは、セカンドオピニオン。ペットを飼う上で、いつでも診てもらえる近くの動物病院やかかりつけ医はもちろん必要です。しかし、獣医は犬も猫もウサギも診れば、歯も手術もする総合獣医です。そのため獣医療が進歩する中で最先端の知識や技術に幅広く対応するには限界があります。

そこで、最近では「目の専門医」「皮膚の専門医」「循環器の専門医」など、診療科に特化した獣医が増えています。

これらのトレンドとあわせて、犬の高齢化が進んでいるという現状もあります。高齢化により病気の疾患率が高くなっていることで、重い病気になった際、専門医にセカンドオピニオンとして相談される飼い主の方が増えています。

例として、いくつかの相談内容を見てみましょう。

セカンドオピニオン関連の相談内容(抜粋)


これらの他にも基本的な相談もあります。

その他の相談内容(抜粋)


猫の場合:動物病院に行くべきかどうかの判断ニーズあり

外を見つめる猫

猫の相談内容は動物病院に行ったほうが良いかどうかという基本的な相談が多く、犬とは大きく異なっていることが非常に興味深いです。

その理由として、猫は散歩に行かないため飼い主コミュニティーが薄く、相談できる人が周りにいないことや健康管理の情報が少ないことが考えられます。

また、猫はストレスを抱えやすく外に出ると暴れてしまう猫もいるため、動物病院に連れていく回数が犬と比べてかなり少なく、気軽に相談できるかかりつけの獣医がいないことも理由の一つだと考えられます。

そのため、犬よりも猫のほうが圧倒的に相談が多いデータが出ています。相談内容を見てみましょう。

相談内容(抜粋)


獣医療の未来:人と同じく遠隔診断の需要が高くなっています

昨年、厚生労働省が人間において遠隔診断の解禁を通達しました。

遠隔診療とは、通常行われている診療(対面診療)を何かの理由(交通手段がないなど)で受けられない、受けがたい場合に電話やIT通信技術、郵便などを用いて実際病院で受診した近い形で診療を受けられる新しい医療形態です。

それは次世代の医療に重要な役割があるとされ、実際に臨床の場でも実用化されつつあります。これまでは「原則禁止」と認識され活用が進んできませんでしたが、状況が変わったことで多くの会社が遠隔診療サービスを提供しています。

動物病院においても地方では動物病院の数は少なく、必要なニーズに応えられる獣医療は限られている現状があります。

遠隔診断は、これから広く実用化されていくことが望まれています。一方で実際の対面診療と異なり、飼い主との微妙なコミュニケーションの問題、触診聴診などを行えない問題、検査や手術などの必要性がでた時の問題など、さまざまな問題が発生する可能性があります。

それゆえに、遠隔診療には対面診療とそれ以上の医師側と患者側の信頼関係を築き上げなければなりません。時間も労力もかえってかかる場合もあるかもしれません。

実際に獣医師法ではまだ対面以外の診察・診療は認められないというニュアンスの条項もあり、まだまだ人間よりも遅れていることが現状です。

(診断書の交付等) 第十八条  獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇毒薬、生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品の投与若しくは処方若しくは再生医療等製品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第九項 に規定する再生医療等製品をいい、農林水産省令で定めるものに限る。第二十九条第二号において同じ。)の使用若しくは処方をし、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない。ただし、診療中死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

実際に多くの弊害が発生するにしても、「地方などで近くに特殊な動物の診療を引き受けてくれる動物病院がない」「どうしても家から連れ出せない」といった方々が多く存在し、遠隔診療の必要性は否めなくなっていることも現状です。

今後、法律の緩和、遠隔診断・診療のシステム構築が必要となってくるかもしれません。