【ペットの再生医療vol.4】スーパー脂肪幹細胞は嘔吐や下痢で悩む炎症性腸疾患(IBD)の救世主に?

【ペットの再生医療vol.4】スーパー脂肪幹細胞は嘔吐や下痢で悩む炎症性腸疾患(IBD)の救世主に?

株式会社J-ARMの獣医師、遠矢です。前回は、犬の椎間板ヘルニアに対する脂肪幹細胞療法についてお話ししました。いかがだったでしょうか? 今回は腸の病気についてお話ししていきます。

炎症性腸疾患(IBD)って?

具合が悪そうな犬のイラスト

みなさん、炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれる病気を知っていますか? あまり聞きなれない病気かもしれません。ただの「体質」だろうと、あまり気にしなかったワンちゃん・ネコちゃんの症状が実は、炎症性腸疾患(IBD)という病気によるものかもしれないのです。

炎症性腸疾患(IBD)の症状

  • たまに吐く(嘔吐)
  • たまに下痢をする
  • お腹が緩い気がする(便がやわらかい、お腹がグルグルなるetc.)
といったものがあります。

全てのワンちゃん・ネコちゃんに全ての症状がでるわけではなく、嘔吐だけを繰り返す子もいれば、下痢だけを繰り返す子もいます。また、定期的に調子が悪くなったり、良くなったりを繰り返すワンちゃん・ネコちゃんもいるので「体質」として考えてしまう飼い主さんもいるようです。

嘔吐、下痢の頻度があがり、さらに悪化すると
  • 食欲が下がり、だんだん痩せていく
  • 水のような便になる
  • 便に血や粘液が混じるようになる
などの症状がみられるようになります。

さらに状態が悪化すると命の危険が生じてきます。悪化する前に、獣医師に相談することを忘れないでください。

一方で、どんなにつらい症状を示していても検査でみつけにくいのもこの病気の厄介な一面でもあります。なぜなら、血液検査をしてもほぼ正常な結果を示すことが多いのもIBDの特徴だからです。

もちろん、症状が悪化すれば血液検査の結果も異常を示すようになりますが初期の段階では大きな変化はみられません。ワンちゃん・ネコちゃんの症状を獣医師にしっかり話してみてください。


炎症性腸疾患(IBD)の原因

具合が悪そうな猫のイラスト
では、IBDの原因とはいったい何なのでしょうか? 実は、原因がわからずに嘔吐や下痢を繰り返し、腸に炎症がみられる病気をIBDというのです。

嘔吐や下痢を引き起こす原因はたくさんあります。例えば、細菌やウイルスが原因であったり、寄生虫が原因であったり、食物アレルギーが原因であったり、お薬による副作用が原因であったり、誤飲による異物が原因であったり、ガンが原因であったりとさまざまです。

IBDは、原因は不明ですが、腸などの消化器に炎症が起こることによって、下痢や嘔吐といった症状をワンちゃん・ネコちゃんが示すようになります。

炎症性腸疾患(IBD)の治療法

では、IBDはどのような治療をしていくのでしょうか。IBDは原因が分からないので、症状に応じた治療が必要になります。主な治療法としては以下のものがあります。

食事による治療

ご飯を食べ終えて満足そうな犬のイラスト

基本的に低タンパク質・低脂肪食を中心とした食事を与えていきます。食事による治療には多くの種類があるので、ワンちゃん・ネコちゃんに合った食事を探していく必要があります。食事の内容を変えながら、様子を観察していきます。

比較的長期にわたる観察が必要になるので、根気強く付き合ってあげてください。獣医師の判断のもと適切な食事をあげてください。ワンちゃん・ネコちゃんに合った食事をあげることで、症状が良くなることもあります。


お薬による治療

注射を打たれる犬のイラスト

下痢や嘔吐の症状を起こしている炎症を抑えるためにお薬を使います。ただ、お薬が合わなければ治療による効果が出にくいこともあります。また、症状が悪化すれば強いお薬を使うことも多く、副作用が出てくることもあります。

そして、症状が良くなったからといって、飼い主さんの判断で勝手にお薬をやめることはしないようにしてください。しっかりと獣医師と話し合って、お薬との付き合いを考えてあげてください。

脂肪幹細胞による炎症性腸疾患(IBD)治療

注射を打たれる猫のイラスト

なかには、お薬をあげても、食事を工夫してみても症状が良くならないIBDのワンちゃん・ネコちゃんもいます。そのような場合は諦めるしか方法はないのでしょうか…。実は、最近の発表によって脂肪幹細胞がIBDに効果があるのではないかということがわかりました。

お薬や食事の工夫で十分な効果がなかったワンちゃんに対して、脂肪幹細胞を投与したところ全てのワンちゃんが約2週間で下痢や嘔吐といった症状(消化器症状)の改善がみられたという発表がされました。

IBDで苦しんでいるワンちゃん・ネコちゃんの元気に遊ぶ姿やおいしそうにご飯を食べる姿をもう一度、取り戻すことができる可能性が出てきたのです。

脂肪幹細胞の可能性

細胞のイラスト

このように、今までの治療で十分な効果が得られなかった症例に対しても脂肪幹細胞療法を行うことで効果が得られる場合があります。もちろん、全ての病気に対して十分な効果があるとは言えません。しかし、病気によっては、現状の治療で回復が見られない場合には、獣医師と脂肪幹細胞療法について話してみる価値は十分にあると思います。

大切なワンちゃん・ネコちゃんのために、諦めずにあらゆる可能性を獣医師と一緒に探してみてください。

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