
犬猫のがん治療で緩和療法を早期から受けてほしい理由 – ペットの免疫療法vol.1 –
今回からはテーマを変えてお話しします。新たなテーマは、「がん免疫療法」です! 最近、皆さんも「免疫療法」という言葉を聞く機会も増えてきたかと思います。では、その「免疫療法」とはいったい何なのでしょうか?
株式会社J-ARMの獣医師、遠矢です。最近は、寒さもひとしお陽だまりの恋しい時期になりましたね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
前回まで4回にわたり「幹細胞」を使った再生医療のお話をしましたが、いかがでしたでしょう。再生医療がワンちゃん・ネコちゃんの健康を守る新たな光として、これからも輝きを増すことが期待されます。
さて、今回からはテーマを変えてお話しします。新たなテーマは、「がん免疫療法」です! 最近、皆さんも「免疫療法」という言葉を聞く機会も増えてきたかと思います。では、その「免疫療法」とはいったい何なのでしょうか?
さっそく、「免疫療法」についてお話ししたいところですが……。その前に、まずはがん治療にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
といったものです。そして、がん治療の新たな選択肢の一つとして「免疫療法」があります。それらの治療の目的としては、次の二つのタイプに分けられます。
外科療法・化学療法・放射線療法といった現在がん治療で主流のものは、根治療法と呼ばれるものです。一方、緩和療法の最たるものとして免疫療法があります。
前回まで4回にわたり「幹細胞」を使った再生医療のお話をしましたが、いかがでしたでしょう。再生医療がワンちゃん・ネコちゃんの健康を守る新たな光として、これからも輝きを増すことが期待されます。
さて、今回からはテーマを変えてお話しします。新たなテーマは、「がん免疫療法」です! 最近、皆さんも「免疫療法」という言葉を聞く機会も増えてきたかと思います。では、その「免疫療法」とはいったい何なのでしょうか?
さっそく、「免疫療法」についてお話ししたいところですが……。その前に、まずはがん治療にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
がん治療のタイプ
現在、がんの治療には三大療法と呼ばれる三つの治療法が行われています。外科療法、化学療法、放射線療法の三つです。皆さんもよく耳にする言葉だと思います。簡単に説明すると、- 外科療法:手術でがんを取り除きます。がん治療の主力です。
- 化学療法:いわゆる抗がん剤です。
- 放射線療法:特殊な光でがんを攻撃します。
といったものです。そして、がん治療の新たな選択肢の一つとして「免疫療法」があります。それらの治療の目的としては、次の二つのタイプに分けられます。
- 根治療法:がんを治すための治療です。
- 緩和療法:がんによる症状を和らげる治療です。
外科療法・化学療法・放射線療法といった現在がん治療で主流のものは、根治療法と呼ばれるものです。一方、緩和療法の最たるものとして免疫療法があります。
緩和療法≠終末期医療
皆さん、「緩和療法」にどんなイメージを持っていますか? ヒト医療では「緩和ケア」と呼ぶこともあります。緩和療法のイメージとして多くの方が持たれているのは「治療の手立てがなくなった場合の医療」「最期を迎えるときに行うケア」とったものが多いと思います。つまりは、「緩和療法=終末期療法」といった考えです。しかし、現在のヒト医療では緩和療法は早期の段階から行うことが望ましいとされています(下図)。このことは、獣医療でも同様に言えることだと思います。つまりは「緩和療法≠終末期医療」なのです。では、一体なぜなのでしょうか?

図:がんに対する治療の考え方
早期からの緩和療法を行うメリット
緩和療法(免疫療法)を早期から受けてほしい理由は以下の2点からです。「その子らしい生活」を送ることができる
がんになると激しい痛みや治療による副作用といったさまざまな苦痛と向き合うことになります。それらの苦痛を取り除いて、がんと上手に付き合いながら「その子らしい生活」を送ることが可能になります。延命につながる可能性がある
ヒト医療のお話ですが、緩和療法にがん治療の初期から取り組むことで根治療法のみを行うよりも生存期間が延びたというデータがあります。このことは、獣医療でも言えることかもしれません。獣医療でのさらなるデータの蓄積が期待されます。ワンちゃん・ネコちゃんにとって「その子らしい生活」ってどんなことだと思いますか? たぶん、私たち人間と変わらないと思います。おいしいご飯を食べたり、楽しく散歩をしたり、ぐっすり眠ったりといった普段の生活こそが「その子らしい生活」で、とても大切なことだと思います。そして、がんになってもいつものように過ごすワンちゃん・ネコちゃんと長く一緒に生活することは飼い主のみなさんにとってもすごく大切なことだと私は考えます。
がん治療の考え方
そうは言っても、がんが治らないなら意味ないじゃないか……。そのように思われる方もいるかもしれません。もちろん、大切な「家族」ががんになったときに一番に願うことはがんが治ることだと思います。ただ、物言わぬ存在だからこそ、ワンちゃん・ネコちゃんが受けている苦痛をしっかりと考えて、がんとどのように付き合っていくかを考えてあげることもとても大切なことだと思います。「生活の質=Quality of Life(QOL)」を保ちながら治療をしてあげることも、がん治療では大切なことではないでしょうか?
大切なワンちゃん・ネコちゃんががんと診断されたら、最適な治療法やケアを信頼できる獣医師と一緒に考えていきましょう。次回は、がん免疫療法についてより詳しくお話しします。キーワードは「活性化リンパ球療法」です。覚えておいてくださいね。
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免疫細胞療法ってなんだろう:動画での説明を見る
動画で説明しています。ぜひ、見てみてください!