【広島から全国へ】都内初のピースワンコ・譲渡センターがオープン! 大西純子さんインタビュー(1)

【広島から全国へ】都内初のピースワンコ・譲渡センターがオープン! 大西純子さんインタビュー(1)

ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダーを務める大西純子さんにピースワンコの取り組みやご自身の想いについてお話を聞きました。

広島県の犬の殺処分ゼロ達成に大きな役割を果たし、全国へ活動の幅を広げるピースワンコ・ジャパン。12月20日(火)には、都内初となる世田谷譲渡センターがオープンしました。そして最近では4人組バンド「SEKAI NO OWARI」や元広島カープでドジャース投手の前田健太選手など、著名人との連携でも知られるようになってきました。そのプロジェクトリーダーを務めるのが、大西純子さんです。今回、大西さんにピースワンコの取り組みやご自身の想いについてお話を聞くことができました。

ピースワンコ・ジャパン 大西純子プロジェクトリーダー

インタビュー場所は湘南T-SITE(神奈川県藤沢市)のペットショップ「GREEN DOG」に併設されたピースワンコの「湘南譲渡センター」。インタビュー中、譲渡された犬を連れた飼い主さんが何人も訪れ、大西さんと親しげに話している様子を見ることができ、広島に拠点がある団体でありながら、湘南の地でも信頼を得ていることが伺えました。

今回のインタビューではさまざまなテーマでお話を聞くことができましたので、テーマごとに全3回にわけて紹介していきます。

湘南の犬が広島で好まれる理由とは

Q. 湘南譲渡センターの状況について教えてください。

湘南譲渡センターがオープンしたのが2014年12月で、約2年が経ちますが、これまでに約70匹の犬を新しい飼い主さんに譲渡してきました。いまセンターの調子が良いというか、湘南エリアのフリーペーパーなどで紹介され、認知度が上がったことで、里親を希望される方が多くなっています。

あと、この譲渡センターに登録してくださるボランティアの方も非常に多くて、今日もたくさんのボランティアさんがお散歩を手伝ってくださっています。ボランティアさんから口コミで紹介していただいているというのもありますね。

Q. なぜ湘南を選んだのでしょうか。

ピースワンコは広島が拠点なので、まず広島市内のショッピングモールに先行して譲渡センターをオープンしました。そして関東圏にも作りたいと思っていたところに、こちらのお話を頂いたんです。「GREEN DOG」を運営されているカラーズの佐久間社長とは以前から譲渡センターの重要性をお話させていただいていて、「湘南だったら願ったり叶ったりです」と即決で出店を決めました。

取材時、新しい飼い主さん家族のもとへ広島出身のスピカ君が卒業していきました

Q. 神奈川で保護された犬たちもいるのでしょうか。

平塚の動物保護センターから引き取った子たちもいます。その子たちはいったん広島の拠点に連れて帰って、そこで健康状態を確認したり、性格を把握したり、何か問題行動があればトレーニングをして、状態が良くなれば各譲渡センターに移します。

ただ、嬉しいことに平塚から連れて帰った子は広島で譲渡されるんです(笑)。ここ2年間で5匹連れて帰っていますが、そのうち2匹が広島で卒業しています。好みの問題もあるのかもしれませんが、平塚の動物保護センターで譲渡されにくい子は割と大型犬に近いサイズです。でも広島だと大きい子が良いという方もいらっしゃるので、好みに合うのかもしれません。

でも、この湘南譲渡センターの近辺は戸建て住宅が多いので、割と大きな犬種を連れている方も多いですね。ほら、ちょうどそこにボルゾイがいます(笑)。

Q. 譲渡センターを増やしていく予定はありますか。

直近だと12月20日(火)に都内初となる世田谷区桜丘のセンターをオープンする予定です。関東に限らず、今後も増やしていきたいですね。中国地方とか、九州とかにも作っていきたいと思っています。

今は譲渡センターをピースワンコの譲渡施設ということで単独で運営していますが、地域には地域の保護団体さんがありますから、そういった団体さんが相乗りできるようなお店が並ぶ「譲渡センター長屋」みたいなものがあってもいいのではと思っています。

ピースワンコも入って、別の保護団体も入って、ピースワンコに気に入った子はいなかったけど、お隣の団体さんには自分が気に入った子がいたとか。猫が好きな方もいると思うので、猫の保護団体さんも一緒に入ってもらうのもいいですね。

ドイツの猫は街を歩けない

Q. ピースニャンコは作る予定は無いのでしょうか。

広島県の殺処分ゼロを実現するにあたって「犬猫みなしご救援隊」と連携していて、代表の中谷さんとは仲良くさせていただいています。だから、役割分担ですよね。犬はピースワンコで、猫はみなしごさんで。

Q. 猫の保護活動についてはどう考えていますか?

猫に関して、瀬戸内海に住んでいるからというのもあるんですが、外にいる猫を全部保護してしまって、瀬戸内海に猫がまったくいなくなってしまうのは、何だかさびしい気がします。尾道市とか福山市では猫が観光資源の一つになっていて、あの猫たちがいなくなると観光客が来なくなってしまう。海辺の港町で猫が日向ぼっこしてるとか、ふらーっと歩いている様子とか、みんなに魚をもらってる光景とか、すごくいいんですね。

幸い日本の法律では野良猫がいても大丈夫な環境になっているので、増えないようにTNR活動を進めて、数を統制する。そのある程度の数の子たちを地域猫として皆さんで見守って飼っていただくことで、共存していけるんじゃないかなと思います。

Q. 海外の猫についても教えてください。

ドイツでは猫を外で飼っちゃいけないんです。それは法律で決められています。だから街中で猫を見ることはありません。それはちょっとさみしい感じがします。トルコでは猫がいっぱい歩き回っていて、やっぱり癒やされます。もちろん猫がいることで糞尿の問題とかエサの片付けとか、迷惑されている方もいると思います。だから、そこはきちんと地域でお掃除したりできたらいいんじゃないかなと思います。

保護シェルターが地域活性化に貢献する

Q. 先日、ふるさと納税で10億円の資金調達をすると発表されました。

現在約2億円ほど(※)集まっていまして、目標に向けてはもうちょっと加速させていかないといけないなと思っています。

※インタビュー時。最新の納税額は「ふるさとチョイス」を参照。

「ふるさと納税で毎年10億円を調達する」 ピースワンコが「殺処分ゼロ」へ新プロジェクト始動

Q. ふるさと納税で動物の話は少し違うのではという意見もあります。

ふるさと納税は各自治体でやっているわけですが、ピースワンコのように行政とNPOが連携する取り組みの第1号は、佐賀県でした。佐賀県庁が作った仕組みを使って、「日本IDDMネットワーク」というNPOが、不治の病と言われる「1型糖尿病」治療の研究費用を募集したのが最初です。1型糖尿病は先天性のもので、子どもたちが多くわずらっています。NPOの本部が佐賀県にあるので、地元という意味では有効活用されていますし、佐賀県のネームバリューが上がるという効果もあったと思います。

私たちは広島県の神石高原町と連携していて、ピースワンコはもともと神石高原町の犬の殺処分を無くすという目的から始まっていて、現在も保護された子たちがうちに来ています。(ふるさと納税は)地元で活用されているわけですし、シェルターが大きくなるとスタッフの数も増えるので、今では30人ほどの若い人たちが神石高原町に住んでいます。それって町にとってのメリットですよね。

もしくは、私たちの施設に犬を見に来たり、ドッグランもあるので遊びに来たり、そうするといろいろ町内を寄り道してもらうことで町にお金が落ちるメリットもあります。だから犬だけにお金が使われているわけではなくて、神石高原町という人口9000人ほどで高齢化率も50%近い山間地域で、保護活動と地域活性化が一体になっている。保護シェルターが単なる迷惑施設ではなくて、きちんと管理することで町にとっての良いレジャー施設になるんです。そういう保護シェルターがあってもいいんじゃないかって思います。

飼い主の保険金でペットを終生飼養する

Q. 各方面で連携を進めていますが、基準はありますか。

出来る限り受けるようにしていますが、もちろん公共性があるかが一番大事です。誰か一人が利益を得るのではなくて、それが日本全体に対してとか、動物に対して、どううまく影響があるのかというので判断しています。

Q. 最近だと老人ホームとも取り組みをされていますね。

ドイツの保護シェルターって一番古いところで120年の歴史があるんです。120年経ってもまだ保護しなくちゃいけないのってことになるんですが、やっぱりどうしても致し方ない理由で愛犬・愛猫を手放さなければいけないことってあるんですね。飼い主さんが高齢で亡くなったとか、若くして亡くなったというのもあるし、そんなときにきちんとした受け皿が必要というのがあります。

日本でも、「ペットを一緒に連れて行けない高齢者介護施設に入るから、引き取ってほしい」という話があって、私たちのところにもよく来ます。でも本来は、お互い一緒にいるほうがいい。でも施設にも施設の事情がある。だから施設に対して何かフォローできることがあればいいなと思っていたら、ちょうどお話を頂いたんです。「ぜひぜひ」って。

Q. 保険会社が関わっているそうですね。

そうなんです。お話は保険会社さんから頂いたんですが、実は私はその保険会社の生命保険に入っているんです。その生命保険というのは、私が死んだときの受け取り人が、うちの主人じゃなくて、ピースウィンズ・ジャパンになっています。どういうことかと言うと、私は犬を5匹飼っていて、私が死んだら面倒を見られなくなるので、保険金と共にピースワンコで預かってもらう。そして適切に譲渡するか、もしくはそのまま飼い続けてもらうという契約になっています。私はその仕組みの第1号なんです。

Q. 海外でそういった仕組みはあるのでしょうか。

ペットへの遺贈が認められている国はあります。日本では法律上、動物はモノ扱いですので、モノに遺贈はできません。ただ、日本にも障害を持った子がいて、保護者がいなくなったら財産管理が出来ない、管理する能力が無いと見なされた場合は、施設に対して保険金を遺贈して、その子の面倒を見てもらうという仕組みはあって、その犬バージョンを作ったということなんです。保護シェルターも、愛護センターにいた子を保護するだけではなくて、「これからの保護シェルターの役目」を考えていく必要があると思います。
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