「犬を見た途端、初めて笑顔を見せた」 アニマルセラピーはがん患者の緩和ケアに有用と岩国医療センターが

「犬を見た途端、初めて笑顔を見せた」 アニマルセラピーはがん患者の緩和ケアに有用と岩国医療センターが

がん患者の身体、精神的苦痛の緩和ケアとしてアニマルセラピーを実施している国立病院機構 岩国医療センター(山口県岩国市)が導入実績を公開し、安全衛生面で問題はなく、患者やその家族は癒しを感じ、医療者とのコミュニケーションの改善が得られたと報告しました。アニマルセラピーは、緩和ケアの一環として有用な手段であるとしています。

同センターでは2013年からNPO法人 日本アニマルセラピー協会のサポートを受けて緩和ケア病棟でのアニマルセラピーを実施しています。2016年9月までに73回実施し、487人の患者と321人の家族が参加しました。参加者からは、「犬のぬくもりが良かった」「次はいつ来るの」「痛みが和らいだ」「気分転換になった」「久しぶりに犬に触って幸せ」「犬に触ってパワーをもらった」といった感想が出ました。

岩国医療センター

患者や家族の笑顔が医療者の癒やしにつながる


アニマルセラピーは、医療者が治療を目的とし、計画的に動物が参加する場合は「動物介在療法」とされますが、触れ合いよる癒やしやQOL(Quality Of Life:生活の質)の向上が目的となる場合は「動物介在活動」に分類されます。岩国医療センターの事例は後者に該当し、当日は3匹のセラピー犬が訪問し、触れ合いと語り掛け、写真撮影の3点が1時間掛けて行われました。

岩国医療センターのセラピー犬

参加した70歳代のある男性は、参加前はがんの脳転移による右半身麻痺、言語障害による意思疎通困難といった症状が見られ、眉間にしわを寄せ、笑顔を見せない状態でした。しかし、セラピー犬を見た途端、初めて笑顔を見せ、声を出そうとしたり、麻痺した手で犬をなでようとしました。

別の70歳代の男性は、参加前は手足のしびれと胸痛があり、「休まれん。死んでもいい。憂鬱。放っといて」といった発言をし、看護師とのコミュニケーションが難しい状況でした。しかし、セラピー犬の訪問にそなえ意欲的に服薬し、看護師に「犬が好き、癒やされる」と話し掛けるといった行動の変化がありました。

岩国医療センターのアニマルセラピーの様子

患者が笑顔で犬に触り、話し掛けるなど癒やしの効果があっただけでなく、家族や医療者とのコミュニケーション機会が増し、和らいだ患者やその家族の表情によって医療者側の癒やしにもつながったとしています。

導入後、特に問題事例は発生せず

訪問したセラピー犬は、日本アニマルセラピー協会で訓練された犬たちで、1匹に付き1人のセラピストが付き添って安全性を確保します。また訪問前にはシャンプーを行い、排泄は入棟前に済ませます。動物アレルギーについては、事前の問診でアレルギーの有無を確認し、入棟の際も職員用通路や業務用エレベーターを用いることで回避しました。

導入当初は毎回医師が参加したそうですが、安全性が確認されたことから医師の参加は必須ではなくなり、導入後4年間で特に問題事例は発生しなかったそうです。岩国医療センターは、セラピー犬の訪問は、訪問する側と迎える側が注意すべき点を守れば、がん患者の緩和ケアの一環として有用な手段であると結論付けています。

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