ふるさと納税で8億円を調達! 殺処分ゼロを目指すピースワンコの取り組みとは

ふるさと納税で8億円を調達! 殺処分ゼロを目指すピースワンコの取り組みとは

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1月28日(土)、ピースワンコ・ジャパンが都内で「ふるさと納税を活用した犬の殺処分ゼロを目指す取組み」の中間報告会を開きました。ふるさと納税の寄付者を対象に行われたこの報告会では、プロジェクトリーダーである大西純子さんが今までに集まった額や今後の展望などを語りました。

ピースワンコは、1996年から人道支援活動を行っているNPO法人ピースウィンズ・ジャパンが2010年からスタートさせたプロジェクトです。活動拠点である広島県は2011年の犬猫殺処分数が全国で最も多い県でしたが、同プロジェクト開始後に減少を続け、犬は2016年の4月に殺処分ゼロを達成しています。猫も同県の保護団体の活動により同年8月に殺処分ゼロとなりました。

ふるさと納税で8億円を調達

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」では、2014年からピースワンコ・ジャパンと協働し、犬の殺処分ゼロを目指すプロジェクトを行なっています。2016年10月からは「2020年までに日本の犬の殺処分をゼロにする」という目標を掲げ、広島県神石高原町(じんせきこうげんちょう)へのふるさと納税を活用した資金調達を行っています。

ピースワンコ中間報告会

そして今回の報告会では2014年11月からの総寄付金額を発表し、累計で3万4000人の寄付者によって8億円以上の寄付が行われたことが明らかになりました。

今後は組織の拡張や他団体との連携が必要

ピースワンコ中間報告会

今回のふるさと納税で集まった寄付金は、ピースワンコ・ジャパンの活動資金に充てられます。殺処分ゼロに向けて、犬舎やそこで働くスタッフを増やすこと、獣医師やトレーナーの育成事業、そして譲渡センターを増やすことなどが今後の展望として挙げられました。

ピースワンコ・ジャパン以外にも同じように殺処分をゼロにしようと取り組んでいる組織はたくさんあります。しかしそれらの組織も、活動を続けていくための資金や人員の確保に難航しているといいます。大西さんは「私たちが仲介となって、他団体を助成する仕組みを作り、連携していきたい」と語りました。

連携の一例として、2月2日(木)から5日(日)まで幕張メッセで開催される「ジャパン キャンピングカーショー 2017」では犬の譲渡会を同イベントで初開催します(※ネコリパブリックが猫の譲渡会を開催する予定です)。キャンピングカーを買う客層が保護犬に興味を持つことを狙い、他団体との協力があって実現したそうです。このように、譲渡会や保護犬が一般社会に広く知れるようになるには多くの仲間、そして資金が必要であることを訴えました。

全国への展開を目指す譲渡センター

ピースワンコ・ジャパンは気軽に足を運ぶことができ、スタッフとじっくり話せるような環境づくりも精力的に行っています。全国にある動物愛護センターは開所時間が平日午後5時までであること、譲渡会一度だけの出会いでは飼う段階まで進みにくいことなど、「保護犬が欲しい」と思っても実際に飼うまでのハードルは高いのが現状です。今後の展望の一つとして挙げられた「譲渡センターの増設」が、このハードルを下げる仕組みとして進められています。

ピースワンコ中間報告会
実際に世田谷譲渡センターにいる犬も見ることができました

2016年12月に開設された世田谷譲渡センターは住宅街の一角にあり、商業施設内にある広島と湘南藤沢の譲渡センターとは、客層や雰囲気などが全く違うといいます。今回のイベントでは、世田谷譲渡センターのスタッフがテレビ電話で中継し、実際に施設を紹介しました。現時点では広島で保護されている犬たちのみ収容していますが、将来的には広島、神奈川、東京の動物愛護センターで保護された犬も取り扱うことを視野に入れており、それぞれの譲渡センターで相互的に協力し合う体制を取っていくそうです。



世田谷譲渡センターは開設して1カ月程度であるにもかかわらず、収容されている犬のほとんどに里親の申し込みがあるそうです。ピースワンコ・ジャパンでは、里親になりたいと申請してきた人に「犬を育てることのできる意識」を念入りにチェックします。それは犬が二度と無責任な行動の犠牲にならないようにする上で必要な過程であり、実際に譲渡することを断る場合もあるといいます。

2020年までに全国で殺処分ゼロへ

ピースワンコ中間報告会

報告会の最後では、2020年の東京オリンピックに向けて「広島から全国へ」を目標とし、全国の犬猫殺処分数をゼロにしていくことを改めて報告しました。大西さんはガンジーの「国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で判る」という言葉を挙げ、動物に優しい国にしていくためには一人ひとりが意識することが大切であると話し、最後の言葉として締めくくりました。