
みんな「さくら猫」を知らないの!? ネコリパが島忠社内で「保護猫セミナー」を開催
「さくら猫って知ってますか?」 会議室に集まった30人ほどのうち、手を挙げたのはわずかに1人――10日(金)、島忠社内で「保護猫セミナー」が開催され、同社の社員向けに自走式保護猫カフェ「ネコリパブリック」の河瀬 麻花首相が、殺処分の現状や問題解決へ向けた取り組みについて説明しました。
「保護猫って何?」が普通
動物保護の活動に関わっている方がついつい忘れてしまいがちなのは、「ネコリパブリック」も、「保護猫カフェ」も、さらには「保護猫」という言葉ですら、「初めて聞く」というのが世間一般の反応だということ。冒頭で紹介した通り、少しは認知度も上がったかなと思う「さくら猫」という言葉ですら、知っていたのは30人中1人です。ホームセンターを運営する島忠は、昨年末に猫の譲渡会を実施して話題になり、先日は犬の譲渡会も開催されました。非常に先進的な取り組みをしている島忠ですが、全社員が保護犬や保護猫の状況を理解しているわけではありません。そこで、より多くの社員に保護猫のことを知ってもらうため、今回の勉強会が開催されました。
勉強会の内容は?
勉強会では、河瀬さんが1時間にわたって殺処分問題の現状やそれを解決するために何をする必要があるかについて説明しました。いくつか抜粋して紹介します。殺処分問題の現状
2015年に行政(動物愛護センターや保健所など)で殺処分された犬猫の数は、犬が1万5811匹、猫が6万7091匹です。分かりやすく1日に換算すると犬は43匹、猫は184匹。1時間なら犬は2匹、猫は8匹殺されていることになります。
「保護猫」とは何か
飼い主が亡くなって飼育できる人がいなくなったり、多頭崩壊でレスキューされたり、保健所に持ち込まれたり、地域猫活動中に保護されたりした猫のことを「保護猫」と呼ばれています。
河瀬さんは保護猫の実例として、20歳で保健所に持ち込まれた「とらこ」の話を紹介しました。「とらこ」は、飼い主だった年配の女性が同郷に済む息子の家に引っ越す際、「猫はダメ」と言われて飼育放棄された子です。
ネコリパ岐阜店に移って里親を探していたところ、新聞記事で知った方がわざわざ東京から来て新しい家族になってくれました。そして先日、余生を幸せに過ごして寿命を迎えたと連絡があったそうです。

「さくら猫」って何?
「さくら猫」は、TNR活動で不妊去勢手術を受けた猫のことです。「TNR」は「Trap(捕獲して)」「Neuter(不妊去勢手術を行い)」「Return(元の場所に戻す)」の略で、Neuterには中性という意味があります。不妊去勢手術で麻酔を使う際に、手術済みの目印として耳に切れ込みを入れます。これにより手術済みの猫が再び捕獲されないようにしているのです。カットした耳の形がサクラの花びらに似ていることから「さくら猫」と呼ばれています。
野良猫問題は環境問題
河瀬さんは、野良猫問題は温暖化問題と一緒で、好き嫌いに関係なく、全ての人で解決しなければいけない問題だと説明します。日本にいる猫は、「ツシマヤマネコ」と「イリオモテヤマネコ」を除いてすべて「イエネコ」という種類で、野生種は存在しません。つまり野良猫というのは「飼い主のいない猫」であり、「飼い主のいらない猫」ではないということです。そして人間社会は、猫にとって非常に過酷な環境です。ペットの猫は平均寿命が15年ほどですが、野良猫の平均寿命は3年ほど。保護しなければ、野良猫は交通事故で死んだり、飢えたり、冬を越せなかったり、もしくは殺処分されたりしてしまうのです。
最近では、TNRで不妊去勢手術をして、餌やりや糞の管理をしている地域猫活動のボランティアさんが増えてきました。無責任な餌やりとは全く異なる活動です。河瀬さんは、ぜひそういった活動をされている方に、感謝の気持ちを持ってくださいと伝えました。

最後に、セミナーの感想として河瀬さんがFacebookに投稿されたコメントを紹介します。「まだまだ保護猫のこと発信力が全然足りない。今のままでのやり方とかでは、多くの人に知ってもらえず、自己満足の活動になっちゃう。発信力足りないってことしっかりと認識しなければと思い知りました」(原文ママ)
島忠とネコリパブリックは今後、共同でのキャンペーンやイベントを企画しているとのことです。情報が入り次第、ペトことでも紹介していきます。