【獣医師執筆】犬はきのこを食べても大丈夫!食べて良い種類や下痢などの注意点を解説

【獣医師執筆】犬はきのこを食べても大丈夫!食べて良い種類や下痢などの注意点を解説

Share!

きのこは犬に与えても大丈夫な食材です。きのこは種類に関わらず代謝を支える重要な働きをビタミンB2や丈夫な骨をつくる働きがあるビタミンD、お通じの流れをよくする食物繊維を豊富に含んでいます。今回はきのこの中でも私たちがよく食べている8種類のきのこの栄養素や適切な与え方について紹介します。

この記事を監修している専門家

ニック・ケイブ(Nick Cave)獣医師

米国獣医栄養学専門医・ペトコトフーズ監修

ニック ケイブ先生
マッセー大学獣医学部小動物内科にて一般診療に従事した後、2000年に獣医学修士を取得(卒業論文は『食物アレルギーの犬と猫の栄養管理』)。2004年よりカリフォルニア大学デービス校で栄養学と免疫学の博士号を取得し、小動物学臨床栄養の研修を修了。同年、米国獣医師栄養学会より米国獣医栄養学専門医に認定。世界的な犬猫の栄養ガイドラインあるAAFCOを策定するWSAVAの設立メンバー。2005年より小動物医学および栄養学の准教授、獣医栄養学の専門医としてマッセー大学に戻る。家族、2匹の犬、猫、そしてヤモリと暮らしている。

犬はきのこを食べても大丈夫

きのこ

犬が食べても大丈夫なきのことして、「しいたけ(椎茸)」「舞茸」「エリンギ」「えのき」「しめじ」「きくらげ」「マッシュルーム」「松茸」などが挙げられます。

スーパーなどで売られている一般的なきのこであれば食べても大丈夫です。ただし、売られていても珍しいきのこは犬が食べても大丈夫か十分に検証されていない可能性があるため推奨しません。野生のきのこは毒を含むものもありますので絶対に与えたり、拾い食いさせたりしないようにしましょう。

きのこには食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、健康的な食材です。種類によっても成分が異なりますので、以下で代表的なきのこについて紹介します。

犬が食べても大丈夫なきのこ01:舞茸

舞茸

舞茸には免疫力を上げて細菌やウイルスを排除したり、ガン細胞を縮小させたりするβ-グルカンがきのこの中でも豊富に含まれています。

犬が食べても大丈夫なきのこ02:エリンギ

エリンギ

エリンギには、血行を良くしたり、皮膚や粘膜の炎症を防いだりするナイアシンが豊富に含まれています。

犬が食べても大丈夫なきのこ03:えのき茸

えのき

えのきには「GABA ギャバ」というストレスを軽減するアミノ酸が含まれています。そのため、えのきを食べると疲労回復に効果的といわれています。

犬が食べても大丈夫なきのこ04:しいたけ(椎茸)

しいたけ

椎茸には「レンチナン」という成分が含まれています。レンチナンは免疫力を高め、ガンを抑制します。

犬が食べても大丈夫なきのこ05:しめじ

しめじ

しめじにはオルチニンが豊富に含まれています。オルチニンは人間ではアルコールを分解のイメージが強いですが、疲労の回復にも効果的です。

犬が食べても大丈夫なきのこ06:松茸

松茸

松茸には免疫力を上げて細菌やウイルスを排除したり、ガン細胞を縮小させたりするβ-グルカンや、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には腸内環境を整え、便秘の解消に効果的です。

犬が食べても大丈夫なきのこ07:マッシュルーム

マッシュルーム

マッシュルームにはきのこの中でも、パントテン酸が豊富に含まれています。パントテン酸は糖質や脂質、タンパク質の産生に必要な酵素を助ける働きがあります。

犬が食べても大丈夫なきのこ08:きくらげ

きくらげ

きくらげには「白きくらげ」と「黒きくらげ」の二種類が存在します。白きくらげは水溶性食物繊維が豊富なため、便秘解消に効果的です。黒きくらげは、レバーの約3倍分の鉄分を含んでいるといわれていて、貧血の予防に効果的です。

犬へのきのこの与え方

ご飯を食べる犬

犬へのきのこの与え方01:食べやすい大きさに切る

きのこをそのまま与えることは消化不良を起こす原因になるため、食べやすい大きさに細かく切ってから与えましょう。

犬へのきのこの与え方02:乾燥きのこは粉末に

乾燥しいたけや乾燥キクラゲは、すり潰して粉末状にするか、水で戻した後に細かく切ってから与えることをおすすめします。きのこ類は食物繊維が多く、犬にとって消化しにくい食材のため、多量に与えることはぜず、普段のご飯のトッピング程度の少量にしましょう。

犬にきのこを与える際の注意点

パグ

犬にきのこを与える際の注意点01:与え過ぎに注意

きのこは低カロリー食材ですが、与え過ぎには注意しましょう。総合栄養食にトッピングしたり、おやつとして与える場合は、多くても1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。

1日の最適カロリー量は「ペトコトフーズ」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。

無料フード診断を受ける

PETOKOTO FOODS

犬にきのこを与える際の注意点02:下痢に注意

きのこは食物繊維が豊富な食品です。しかし食物繊維は消化しにくいために摂取しすぎると下痢を引き起こす原因になることがあります。少量ずつ与えるようにしましょう。


犬にきのこを与える際の注意点03:アレルギー

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。アレルギーの場合、以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 元気がない
  • 皮膚のかゆみ

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。




犬にきのこを与える際の注意点04:腎臓病

きのこ類はカリウムを多く含んでおり、カリウムは、健康なときには体内の余分なナトリウムを排泄してくれますが、腎臓の機能が低下してくると、カリウムの排泄がうまくいかず体内に蓄積されてしまいます。 シニア犬(老犬)や腎臓病のある犬には、きのこを食べさせるのを控えるか、少量にしておきましょう。

犬の散歩中はきのこの拾い食いに注意

山などでは散歩中にきのこが生えていることも少なくありません。そこで気をつけたいのが犬の拾い食い。毒性のあるきのこもあるため、拾い食いのトレーニングを日頃からしておくと良いでしょう。


きのこを使った犬用手作りごはんレシピ

8とトマトリゾット

連載「今月の一皿」では、きのこを使ったトマトリゾットのレシピを紹介しています。

トマトリゾット

▶材料
  • ささみ
  • プチトマト
  • 舞茸
  • にんじん
  • じゃがいも
  • 炊いたご飯
  • オリーブオイル
▶作り方
  1. 野菜は小さめに切り、ささみは適当な大きさに切っておく。
  2. 鍋にオリーブオイルを入れて火にかけ、ささみを炒める。
  3. 2の色が変わったら、1の野菜を全て入れて、さらに炒める。
  4. 3に水を入れ、材料が柔らかくなるまで煮る。
  5. 4にご飯を入れて、ご飯が好みの柔らかさになったら火を止め、人肌程度に冷ましたらできあがり。

レシピや詳細は関連記事をご覧ください。


まとめ

見上げる犬

小さく切ってから与えましょう
消化しづらい食材のため、与え過ぎは下痢の原因に
普段のご飯のトッピング程度の少量で十分です

日本には4000種以上のきのこが生息しているといわれていますが、そのほとんどが食べることができるのかどうかまだ明らかにされていません。

きのこの中には、見た目は椎茸やなめこに似ているのにも関わらず、毒をもっているものが多数存在します。道に生えているきのこは絶対に食べさせないように気をつけて、安心な犬の食生活を送ってください。

参考文献


獣医師相談のインスタライブ開催中!

食のお悩み相談会

ペトコトフーズのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」を定期開催しています。愛犬のごはんについて気になることがある方は、ぜひご参加ください。

アカウントをフォローする