犬はキャットフードを食べても大丈夫?ダメな理由を栄養管理士が解説【獣医師監修】

犬はキャットフードを食べても大丈夫?ダメな理由を栄養管理士が解説【獣医師監修】

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犬と猫が一緒に暮らすお家では、犬がキャットフードを食べてしまうことありますよね。一時的な下痢が起こる可能性はありますが、すぐ病気につながる悪影響はないでしょう。ただし、栄養素の過不足が生じるため日常的に与えることはできません。キャットフードを食べてはいけない理由や注意点について、獣医師監修のもとペット栄養管理士が解説します。

犬がキャットフードを食べてしまったら

PETOKOTO FOODSと犬

犬がキャットフードを食べてしまっても、すぐ健康に悪影響が出ることはありません。いつもと違うごはんに腸内環境が対応できず、一時的に下痢になる可能性はありますが、中毒症状が起きたり病気になったりすることはないでしょう。もちろんアレルギーがある場合は食材の確認が必要です。

なお、猫がドッグフードを食べてしまった場合は「プロピレングリコール」という添加物(ウェットフードで保湿剤として使用されます)に注意が必要です。貧血を起こす可能性があり、ペットフード安全法でキャットフードに使用することが禁止されています。また、食べ続けるとタウリン不足で心臓の病気や失明になる可能性もあります。


犬がキャットフードを食べたがる理由

動物は主に何を食べるかで「肉食」「草食」「雑食」に分かれます。犬はもともと肉食動物でしたが、人と密接に生活する中で炭水化物を含むごはんを食べたほうが効率的にエネルギーを得られることに気づき、肉食寄りの雑食動物に進化しました。

一方、猫は昔から変わらず肉食動物です。今でこそ室内飼いが当たり前になりましたが、少し前まではペットであっても自由に家を出入りして、人と適度な距離を取っていたからです。そのため、肉食動物の猫が食べるキャットフードのほうがドッグフードより肉々しいごはんになっています。

犬は雑食動物に進化したと言っても、肉に興味がなくなったわけではありません。もともと肉食だった犬がお肉たっぷりのキャットフードを「美味しそう」と思っても不思議ではないでしょう。味を占めてキャットフードしか食べなくなってしまうと、犬に必要な栄養が摂れずに不健康な体になってしまう可能性があります。


犬と猫で必要な栄養素の違い

犬と猫にとって必要な栄養素の目安として、一般的にAAFCO(米国飼料検査官協会)が策定する総合栄養食の栄養基準が参照されます。それぞれ比較すると、以下のような違いがあります。

タンパク質

猫は肉食であるため、雑食の犬よりも多くのタンパク質を必要とします。成長期の猫が30%以上のタンパク質を必要とするのに対して、犬は22.5%以上。成猫が26.0%以上必要とするのに対して、成犬は18%以上となっています。

そのためキャットフード(総合栄養食)に含まれるタンパク質量は犬にとって多すぎる傾向があり、食べ続けると腎臓や肝臓に負担をかけたり、尿石など結石の原因になる可能性があります。


ナトリウム

成長期の猫が0.2%以上のナトリウムを必要とするのに対して、犬は0.3%以上。成猫が0.2%以上必要とするのに対して、成犬は0.08%以上となっています。そのため、犬が長期的にキャットフードを食べると塩分の摂り過ぎになり、心臓や腎臓に負担をかける可能性があります(※)



その他

他にもキャットフードではヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、リノール酸、α-リノレン酸、EPA+DHA、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、セレン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、パントテン酸などが犬に必要な量を摂れない可能性があります。

犬にキャットフードを与えることのリスク

キャットフード

偏食に注意

犬にとってキャットフードは味付けが濃く、魅力的に感じる場合があります。そのため、一度キャットフードの味を覚えてしまうとドッグフードを食べなくなり、偏食につながってしまう可能性がありますので、試しに与えてみるといったことはやめましょう。

腎臓への負担

高タンパク・高塩分のキャットフードを長期的に摂取することは犬の腎臓に負担をかけてしまう場合があります。腎臓に負担がかかることで、慢性腎臓病や腎不全になってしまう可能性もあるので注意が必要です。

栄養バランス

犬は猫よりも犬種や成長によって、体格にばらつきがあります。犬種・体格よって必要な栄養素やカロリーは異なるので、キャットフードを与え続ければ、栄養バランスが崩れてしまう恐れがあります。できるだけ、その犬種・体格にあったフードを与えることが望ましいでしょう。

まとめ

犬
犬と猫では必要な栄養が異なります
犬にとってキャットフードは高タンパク質・高塩分
腎臓や心臓に負担をかける可能性があります
犬に健康的な食べ物は、栄養がバランス良く摂れるように配合された総合栄養食としてのドッグフードです。必ず愛犬に最適なフードを与えるようにしてください。

参考文献


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この記事を監修している専門家

佐藤貴紀獣医師

獣医循環器学会認定医

佐藤貴紀獣医師

麻布大学獣医学部卒業後、2007年dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年FORPETS 代表取締役 兼 白金高輪動物病院院長に就任。2010年 獣医循環器学会認定医取得。2011年 中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任。2017年JVCCに参画し、取締役に就任。子会社JVCC動物病院グループ株式会社代表取締役を兼任。2019年WOLVES Hand 取締役 兼 目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師に就任。2021年 株式会社PETOKOTO取締役副社長CVO(Chief veterinary officer)兼 獣医師に就任(現職)。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。