ペットロスは克服するものではない? 症状や回復に大切なことを専門家が解説

最愛のペットとの別れ、ペットロス。ペットロスとは、ペットを失った際の悲しみの過程の総称です。しかし、私はペットロスの専門カウンセラーとして、ペットロスとは、「悲しみ」を「慈しみ」に変えていく過程こそが重要だと思っています。時に出口の見えない悲しみのように感じるペットロスですが、正しい知識を得る事で、悲しみを慈しみに変容させていくことができるのです。

ペットロスの正しい知識は、ペットが元気なうちから知っておくことがとても大切です。ペットロスを知ることは別れの恐れを強調するものではありません。今、この瞬間を最愛のペットと共に後悔なく幸せに生きるための英知となるのです。

「ペットロス=病気」ではありません

ペットロスとは、ペットとの別れに伴う悲しみの過程です。ペットロスになるタイミングは大きく分けて以下の三つが挙げられます。

  • ペットの余命を宣告された時
  • ペットが亡くなった時
  • ペットと生き別れになった時

このようにペットロスとは、ペットが亡くなった時のみに起こるものではありません。最愛のペットの余命が宣告された時、大きな絶望、恐怖、不安を抱きます。これもペットロスの反応なのです。そして災害、事故などやむを得ない理由で生き別れた場合、多くの方が後悔や罪悪感にさいなまれます。これもペットロスの反応の一つなのです。

ペットロスで何よりも知っていただきたいこと。それは、ペットロスは病気ではないということです。最愛のペットを失った時、あまりの衝撃に、経験したことがないほどの反応が心身に現れます。その反応の大きさに、「私は病気になったのかもしれない」と不安を覚える方が多いです。しかしペットロスとは、心と体の正常な反応です。決して病気ではないことを心に留めておいていただきたいと思います。

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ペットロス症候群の誤解

ペットロスが「病気」と勘違いされている一因として、「ペットロス症候群」という言葉が独り歩きしていることがあげられるでしょう。ペットロス症候群とは本来、ペットロスにおける心身への反応が長期化し、生活に大きな支障が認められるようになった時に使われる言葉です。その意味が十分に理解されないままに、あたかも病気のような「症候群」との言葉が使われることで、「ペットロス=病気」と間違った解釈が加わってしまうことは非常に危険なことです。なぜなら、喪失の悲しみだけでも大きな衝撃であるのに、「自分が病気になってしまった」という不安まで上乗せすることになるからです。間違った解釈は、ペットロスを複雑化してしまうために注意が必要です。

ペットロスの症状

ペットロスにおける反応も、また回復までに要する時間も誰一人として同じではありません。なぜなら、回復には、飼い主の方が育った環境、これまでのペット飼育歴、ペットとの関係性、生活環境、別れ方、死生観などさまざまなことが影響するからです。

ペットロスを回復へと導くために大切なことは、一時的にどのような感情が湧き上がったとしても、それを異常と判断しないことです。ペットロスとは、「たかがペット」を喪失したわけではありません。最愛の我が子を喪失する体験です。だからこそ、どのような想いを抱いたとしても、ご自身を否定することなく、責めることなく、優しく寄り添うことが大切なのです。

心の反応

深い落ち込み・後悔・罪悪感・喪失感・絶望感・孤独感・不安感・怒り・憎しみ・感覚鈍麻・無気力・希死願望

体の反応

号泣・頭痛・めまい・眼精疲労・関節痛・胸の痛み・胃の痛み・過呼吸・パニック・倦怠感・脱力感・記憶力の低下・持病の悪化・睡眠障害・摂食障害・幻聴・幻覚

ペットロス回復までの心のプロセス

ペットロスは、さまざまな心のプロセスをたどり回復へと向かいます。回復にかかる時間は、お一人お一人で異なります。数カ月で元の生活に戻れる方、1年、2年と時間が必要な方などさまざまです。以前は、半年ほどで回復に向かうと言われていましたが、ペットとの関係性が密になり、ペットが我が子同然の存在になった現在、ペットロスの回復には半年以上の時間を要する方が多くなりました。

回復までに長い時間がかかるほど、「本当に回復できるだろうか」と不安は募ります。しかし、どれだけ長く悲しみの中にいらしたとしても、適切なケアをすることで悲しみは癒えるものです。「ペットロスを乗り越えられない!」と多くの方が悩まれますが、心をケアすることで必ず回復できます。つらい時は一人で悩まれず、ペットロスの専門家を頼ってください。それが回復への一番の近道です。

以下はペットロスが回復までに辿るプロセスです。

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ターミナル期

余命が宣告され、不安、恐怖、絶望感を抱きます。動物病院、獣医師に見放されたと怒りを感じることもあるでしょう。ただ、ターミナル期はペットの死を受け入れるための心の準備段階として、非常に重要な時期です。逆に突然死の場合は、心の準備を整える時間が持てないため、衝撃の大きさは計り知れないものとなるでしょう。

死・別れ

望んでいた見送り方、別れ方が出来ないことが多く、後悔や罪悪感を抱くことが多いです。

衝撃期

死の直後は心身の正常な反応(防衛反応)で一時的に感覚が麻痺するため、死を現実のものとして受け止めることができない場合があります。また、感覚が麻痺していることで、取り乱すことなく冷静に葬儀の準備をすることができるのですが、あまりに冷静に対応するご自身に「私はあの子を愛していなかったのかもしれない……」と罪悪感を抱くこともあります。

悲痛期

死を現実のものと認めざるを得ない時期に来た時、深い悲しみに覆われます。激しい喪失感、後悔、罪悪感を抱いたり、また周囲に対して怒り、憎しみを覚えたりすることも多くあります。

回復期

楽しかったことを思い出せるようになります。また、日常生活に徐々に戻れることで、元気になるご自身に罪悪感を抱くこともあります。「ペットロスを乗り越えたい」と思いながらも、「元気になることは、ペットへの裏切りである」との思いにも駆られ、自らペットロスからの回復を拒むことが多々あります。

再生期

亡きペットに感謝を抱くことができます。そして、喪失体験を肯定的に受け止めることができるようになります。「あの子が残してくれたモノはなんだったのだろう?」と考えることができるようになります。

ペットロスを回復させるために大切なこと

  • 涙を流すことを我慢したり、悲しみを抑えたりしないこと
  • ご自身の素直な想いを、心から分かってくれる人に語ること
  • 周囲の無理解に耳をかさないこと
  • 専門家のサポートを頼ること

ペットを亡くした方は、「私が泣いていては、あの子が成仏しない」と思い込み、悲しみをグッと押し殺します。悲しみを押し殺しては、ペットロスから回復はできません。また、現在はSNSが交流の主流になっているため、ペットの死の報告に対して、「かわいそう」とか「悲しいマーク」が付けられたことで、「私は、あの子に対して酷い事をしてしまったのではないか……」と罪悪感を抱かれる方が多くいらっしゃいます。

ペットロスとは非常にデリケートなものです。また、ペットロスの衝撃の大きさ、ペットロスの正しい知識が普及していないために周囲の言葉で傷付くケースがとても多いです。ペットロスは複雑化しないようにケアしていくことが大切です。

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心療内科を受診した方が良い?

最愛のペットを失った時の衝撃は非常に大きく、眠れない、食べられないなど日常生活を送ることすら困難になることが多々あります。心が大きな衝撃を受けている時、睡眠不足やご飯が食べられないことで体力まで低下してしまっては、心をケアする力も湧き上がりません。そのために、一時的に心療内科等でお薬を頂く事も体力を落とさないために大切と思います。眠れない、ご飯が食べられない、パニックになることが怖いといった症状がある場合は病院で相談するようにしてください。

ただ、心療内科の先生はペットロスの専門ではありません。ペットを我が子として愛されている方の想いが分かる先生にお会いできればよいのですが、勇気を出して心療内科を受診したのに、先生の心無い言葉で傷つく方も多くいらっしゃいますのでご注意ください。

ペットロスの方への接し方

ペットロスの方はペットを失ったのではありません。我が子を失ったのです。そこを捉え間違えて接すると、良かれと思って言った言葉で逆に傷付けてしまうことが多いです。ペットロスの方に接する時は、まずご自身が「我が子を失ったこと」をイメージしてみてください。年齢で言えば、お世話なしには生きていけない3歳、4歳くらいの子を亡くしたことをイメージするのです。「もし、そのような状況になったら、私はどんな想いを抱くだろうか」と想像すると、言葉ではなく、想いに寄添える接し方が出来るはずです。

ペットロスの予防法

ペットロスは誰にでも起こるものです。愛する存在を失った時、自然に起こる心と体の反応です。そのため、ペットロスを予防する方法はありません。ただ、ペットロスを複雑化しない方法として、ペットロスの正しい知識を得ることが有効でしょう。なぜなら、ペットロスの正しい知識を得ていれば、安心して悲しみの過程を体験する事ができるからです。

ペットロスは克服するものではありません

多くの方が「ペットロスを克服したい」と言われます。しかし、ペットロスとは克服しようとして出来るものではありません。歯を食いしばり、頑張って乗り越えようとすればするほどに、心は疲弊してしまいます。大切なことは、どのような想いを抱いたとしても、ご自身の心に優しく寄り添うことです。適切にケアすることで、ペットたちが残してくれた大切なものに気付けるはずです。

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