【獣医師執筆】猫はエビ(海老)を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説
猫は魚を好んで食べるイメージがありますが、エビは猫が食べても大丈夫な食べ物です。ただし魚を好まない猫もいますし、アレルギーや消化を苦手とする猫もいます。海産物の与え方にはよく注意をしてください。今回の記事ではエビの成分や与える際の注意点などを紹介します。
猫はエビを食べても大丈夫
猫はエビを食べても大丈夫です。生の状態だとビタミンB1欠乏症の恐れがあるため与えてはいけません。加熱している場合であっても、大量に与えてしまうと消化不良の原因となり、下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性もあります。猫によって許容できる量は異なり、主食として与えるのには適しません。
猫が食べて大丈夫なエビの成分
一言でエビといっても淡水に住むエビから深海に住むエビまで種類はたくさんですが、主な栄養成分として抗酸化作用のあるビタミンEや貧血対策に有効なビタミンB12などを豊富に含みます。今回は食卓やシーフード料理でよく使われる甘エビを例に成分を見ていきましょう。ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用があります。細胞膜トラブルの原因となる活性酸素、過酸化物に対抗し守ってくれます。細胞膜が壊れてしまうと皮膚病やガン、消化器疾患などさまざまな病気になってしまう可能性があります。ビタミンB12
ビタミンB12には神経機能の正常化や睡眠リズムの正常化、そして鉄分と共に貧血を予防する働きがありますタウリン
猫は猫とは異なり体内でタウリンを作ることができます。しかし年齢や体質によって十分に体内で作り出せるとは限らないので、フードやサプリによって摂取させることが一般的です。動脈硬化や貧血、視力の低下などを予防する効果が期待されます。猫にエビを与える際の注意点
エビを猫の手作りごはんのトッピングとして使う方もいますが、その際はアレルギーなどにも気を配った上で与えるようにしましょう。基本的に猫は年齢や体質にあった総合栄養食のキャットフードを食べていれば栄養のバランスは取れるようになっています。
01【猫にエビを与える際の注意点】アレルギー
エビのアレルギーを持っている子もいるので与え始めの数回は少量を食べさせることからスタートさせてあげましょう。アレルギー症状の多くは皮膚をかゆがることですが、下痢や嘔吐を伴う場合もあります。食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。
初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。
02【猫にエビを与える際の注意点】生はNG
エビなど海鮮系の食材は基本的に生の状態では与えないようにしましょう。生のエビやイカなどを食べるとビタミンB1が不足し、後ろ足のふらつきなど神経症状を起こしてしまいます。この症状は人間でいう脚気(かっけ)と同じで、江戸時代には多くの死者を出しました。
生の状態だとチアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素を含有しています。体質的にビタミンB1(チアミン)を必要とする猫がこのチアミナーゼを摂取してしまうとビタミンB1が不足し、ビタミンB1欠乏症になってしまう可能性が高いのです。猫は犬よりもビタミンB1要求量が多いため、欠乏症になりやすいです。
03【猫にエビを与える際の注意点】与え過ぎ
前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
04【猫にエビを与える際の注意点】殻や尻尾はNG
殻や尻尾は消化しづらいため、胃腸に負担をかけてしまいます。猫にエビを与える時に殻や尻尾は取り除き、実の部分だけ与えるようにしましょう。05【猫にエビを与える際の注意点】人用の加工品はNG
猫用に加工されているものなどであれば大丈夫ですが、人間用のえびせんは猫にとって味が濃すぎたり塩分が高すぎたりするので、食べさせないようにしましょう。猫にエビは最低限でOK
人間にとって栄養価の高い食べ物でも、猫にとっては健康被害の原因になってしまう可能性もあります。人と猫の体の構造は異なることをよく理解し、猫用の手作りご飯などを作る際にはしっかりと食べても大丈夫か調べてあげるようにしましょう。
なお、本稿は以下の情報を参照して執筆しています。
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
- 阿部又信(2008)『小動物栄養学』ファームプレス
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