犬と過ごすバレンタインはチョコに注意 調査でわかった誤飲の症状や多い年齢を獣医師が解説

日本ではバレンタインにチョコレートが贈り物として多く選ばれますが、犬にとってはチョコレートは注意すべき食べ物の代表的な存在として知られていると思います。筆者もチョコレートを食べて来院したワンちゃんを診察した経験があり、誤飲癖のある子は特に注意が必要です。今回はイギリスで行われた調査の結果をもとに、チョコレートの誤飲が多い犬の特徴や多かった症状について、獣医師の福地が解説します。

チョコレートは犬に毒?

甘い香りと味で大好きな人が多いチョコレートですが、実はワンちゃんも心惹かれるようで、目を離した隙に誤飲して慌てて病院に来られる飼い主さんがいらっしゃいます。チョコレートは犬が食べるとテオブロミンという物質が原因となり、嘔吐や心拍数の増加、興奮状態などの中毒を引き起こすことが知られています。誤飲の量が多かったり慢性的な摂取があったりする場合は、死に至ることもあります。

最近、英リバプール大学の教育動物病院が、イギリス国内で起きた犬のチョコレート中毒状況について報告を出しましたので紹介します。チョコレートを食べる文化的な習慣の違いはありますが、誤飲が多い年齢や起きた症状など共通する部分も多くありますので、参考にしていただければと思います。

チョコレート中毒を起こしやすい条件は?

調査は2012年11月から2017年5月まで270万件のカルテ情報を対象に行われ、チョコレートを摂取してしまったという相談1722件のうち、チョコレート摂取による中毒と断定できたのは386件でした。1匹の犬で複数回の誤飲が報告されたケースもありました。

チョコレートの誤飲が起きやすい時期

各症例を犬種、年齢に分けて犬のチョコレート摂取に傾向があるか分析したところ、何もイベントが無い時期より、クリスマスやイースター前後のイベントがある時期に発生が多いことが明らかになりました。バレンタインやハロウィンの前後についても同様に統計学的な分析が行われましたが、何もイベントが無い時期との違いが見られませんでした。これらのイベントの贈り物としてチョコレートが選ばれやすい日本で調査した場合は、違う結果になるかもしれません。

摂取したチョコレートの具体的な例としては、板チョコや贈り物として用いられるチョコレートボックスが35症例、イースターエッグのチョコレートが31症例、チョコレートケーキが22症例となっており、イベントに関連したチョコレート商品が多いと考えられます。

筆者の経験では、ワンちゃんはあまーい匂いが大好きなようで、あればあるだけ食べてしまう傾向にあります。マカダミアナッツのチョコレートを1箱すべて食べてしまったワンちゃんが来院したときもありましたが、嘔吐処置を行ったため診察室がチョコレートの甘い香りに包まれ、全員のお腹が空いてしまうという事件もありました(ワンちゃんは無事に快復しました)。

トイプードル

チョコレートの誤飲が多い年齢や犬種

年齢別でみると統計学的に年齢は4歳未満の若い犬で最も多く、ついで中年の成犬(4歳以上8歳未満)、8歳以上のシニア犬が最もチョコレートの摂取が少ないという結果になりました。チョコレートの摂取のしやすさに犬種の傾向は見られませんでした。

チョコレートの誤飲で多かった症状

チョコレートの誤飲で生じた症状は嘔吐が最も多く、チョコレート摂取してしまった症例の17%(64症例)で起きています。落ち着きのなさや興奮などはあまり多くなく、3%(12症例)でした。心拍数の増加のほうが多く、7.5%(28症例)報告されています。

ちなみに病院へ行くまでの時間は摂取から1時間以内が26%(101症例)で、56%(217症例)は6時間以内でした。チョコレートは体内で溶けてしまうと嘔吐で除去することが難しくなりますので、誤飲したことがわかった場合はすぐに動物病院に行くようにしてください。

所変われば発生時期も変わる

イギリスではイースターエッグでのチョコレートの誤飲が多く見られましたが、アメリカとドイツではバレンタインとハロウィンの時期に多く発生していました。これは各イベントの重要度や選ばれる贈り物の違いによるものと考えられますが、文化面での正確な調査報告はありません。ただ、日本では最近大きなイベントになってきたハロウィンクリスマス、バレンタインなどはどれもチョコレートがより身近になりますので、より注意が必要でしょう。

人の食べ物に興味があるワンちゃんは特に注意

日本では犬のチョコレート中毒の発生時期について網羅的に調査・報告されたものはありませんが、日本ではハロウィンやクリスマスに加え、バレンタインにチョコレートが贈り物としてよく用いられます。その前後にチョコレート菓子を作るときや家族の人が貰ってきたときは、ワンちゃんの体の届かないところにしまっておきましょう。

また、報告では1匹の犬が何度もチョコレート中毒を起こしている症例が紹介されていますが、筆者も誤飲癖のあるワンちゃんが毎年チョコレートを食べて来院してきた……という経験があります。普段からフード以外のものに興味を示す傾向のある性格のワンちゃんは、特に注意が必要と考えられます。

万が一チョコレートを食べてしまった場合は、なるべく早く病院に行くようにしてください。その際、チョコレート製品の種類によって中毒物質であるテオブロミンの含有量が異なりますので、製品の袋なども持って行くと参考になるでしょう。

調査概要

  • 調査期間:2012年11月〜2017年5月
  • 調査方法:相談時間、動物種、犬種、性別、カルテ上に記載されていた単語をもとにデータを収集、統計学処理を行って評価。各イベント期間はクリスマス、イースター、バレンタイン、ハロウィンの1週間前と2週間後までの間の診療や相談を分析。
  • 対象者:イギリス国内のsmall animal veterinary surveillance network(SVSNET)という診療ネットワークを用いて調査期間中の270万件のカルテ情報の中の1722例のチョコレート摂取してしまったという相談のうち、中毒と断定できた386件。
  • 調査結果の詳細:http://dx.doi.org/10.1136/vr.104762

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