リビアヤマネコはどんな猫?特徴や性格、イエネコの祖先といわれる理由を解説
リビアヤマネコは現在ペットとして飼われているイエネコの祖先と考えられており、外見はキジトラにそっくりです。今回はリビアヤマネコの特徴や性格、飼育している動物園を紹介します。
リビアヤマネコとは
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リビアヤマネコは英語で「African Wildcat」(アフリカン・ワイルド・キャット)、もしくは「Dsert cat」(デザート・キャット:砂漠の猫)といいます。
リビアヤマネコのリビアは北アフリカに位置する国のことで、英語名のアフリカンは「アフリカの」という意味ですし、デザートは砂漠のことです。つまり、北アフリカやアラビア半島の砂漠地帯に多く住んでいる猫なのです。
リビアヤマネコはヨーロッパ大陸に生息する「ヨーロッパヤマネコ」(Felis silvestris, Wildcat)の亜種です。
リビアヤマネコはイエネコの祖先
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リビアヤマネコが人と暮らすようになった理由
リビアヤマネコと人との距離が近くなった理由は、人間の農耕が盛んになったことと関係しています。リビアヤマネコの生息地域だった北アフリカや中東地帯は肥沃な穀倉地帯だったので、穀物の生産が盛んになりました。
それに伴い、穀物を荒すネズミなどの小動物も集まってきたところ、それらを捕食してくれたのがリビアヤマネコでした。
そのため人々はリビアヤマネコを大切にするようになり、そこから人間との共生が始まったと推測されています。
古代エジプトで愛玩動物へ
害獣を捕食するという以外にも、猫の愛らしさから愛玩動物として飼われるようになったのが、古代エジプトです。リビアヤマネコから派生したイエネコは、約4000年前の古代エジプト時代にイエネコという猫種として固定化されたとされています。
古代エジプトの人々も猫のかわいさにメロメロになり、ネズミを捕るという役割だけでなく、家族として猫を飼うようになったのでしょう。
人間に可愛がられ、守られることによって、野生の猫としてどう猛さが減少し、人間とともに生きるイエネコとなったのです。
リビアヤマネコの特徴
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外見はキジトラにそっくり
リビアヤマネコはキジトラにそっくりな外見をしています。それもそのはずで、現在ペットとして飼われているイエネコの祖先であるためです。ヨーロッパヤマネコの外見もキジトラに似ていますが、ヨーロッパヤマネコはリビアヤマネコにくらべて毛が長くずんぐりむっくりなのに比べて、リビアヤマネコはスリムでその点もキジトラによく似ています。
説明なしで写真だけ見せられたら「キジトラ猫」だと思うかもしれません。
ヨーロッパヤマネコ(Photo by Keimzelle)
リビアヤマネコの毛色・模様
リビアヤマネコの被毛はベースの被毛の色が砂のような灰色もしくは薄い茶色で、体全体に褐色から黒の縞模様があります。額の部分にMの字に見える縞模様、目の横からクレオパトラ・ラインと呼ばれる縞模様があり、これらはイエネコに見られる縞模様とそっくりです。
リビアヤマネコの容姿
体はイエネコよりも足が長くすらりとしており、耳が大きいので野性味が濃い外見をしています。被毛の色もより砂漠に近い灰色っぽい茶色で、日本でよく見るキジトラよりも全体的に色が薄く、砂漠に溶け込みやすい容姿をしています。
リビアヤマネコの大きさ
リビアヤマネコの体長は47~60cmで、しっぽの長さは25~38cm、体重は5㎏程度でイエネコとほとんど変わりません。リビアヤマネコの食生活
リビアヤマネコは野生の猫のため、狩りをして暮らしています。主に夜間に活動し獲物を探すので、基本的に夜行性です。リビアヤマネコの耳はイエネコよりも少し大きいのですが非常に聴覚に優れていて、小動物の立てる音を聞き逃しません。
リビアヤマネコは待ち伏せ型の狩りをし、忍耐強く獲物を待ちます。狩りの獲物は小動物、鳥、爬虫類、虫などです。
リビアヤマネコは砂漠地帯に住んでいることもあって、ほとんど水を飲みまず、水分は食べものから摂取します。
これは、イエネコにも引き継がれた習性で、猫がなかなか水を飲まないのは先祖に由来するものと考えられます。
リビアヤマネコの性格
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リビアヤマネコがイエネコの祖先と考えられるようになったのは2007年に行われたDNAの解析によるのですが、それ以前からイエネコの祖先はリビアヤマネコではないかと推測されてきました。
理由は、「外見上にほとんど差がない」ことと「性格」です。
ワイルドキャットと呼ばれる他の野生の猫たちは、幼い頃から育てても野性味が抜け切ることはなく、人間に慣れさせるのが難しいです。
しかしリビアヤマネコは他の野生の猫に比べると、幼い頃から人間に育てられると人間に懐くことができるのです。
猫が家畜化されたのは農作物を作って暮らすようになった人間との関係が濃厚になったことによると推測されるのですが、リビアヤマネコは人間の前に姿を現したり、人間が近くにいることに他の野生の猫よりも警戒心が薄かったのでしょう。
ヤマネコ、イエネコ、野良猫の違い
イエネコであるキジトラとそっくりなリビアヤマネコ。外見はよく似ていますが、リビアヤマネコは自然界の中で生きる野生の猫種です。イエネコは体系的にはヤマネコの亜種ですが、ヤマネコ、イエネコ、野良猫は何が違うのでしょうか。
ヤマネコ
リビアヤマネコをはじめとするwild cat(ヤマネコ)は、森や山などの自然界に住み、基本的に狩りをして生活をする猫のことです。イエネコ
イエネコ
イエネコはヤマネコの亜種であり体系的にはヤマネコの一種といえますが、ヤマネコとは全く異なる点が、人間と一緒に暮らすということです。
イエネコは人間と一緒に暮らすのが当たり前の動物なのです。
野良猫
野良猫
野良猫のことを野生の猫と勘違いしている人がいますが、野良猫は分類的にはイエネコです。
つまり、人間と一緒に暮らすのが当たり前の動物。だから野良猫であっても人間の生活圏で暮らしているのです。
野良猫とは飼い主がいない猫のことで、決してそれが普通なのではありません。
野良猫もイエネコであり、イエネコは人間と一緒に暮らすのが当たり前なのですが、人間に捨てられたことで本来の生活を奪われた動物であるといえるでしょう。
リビアヤマネコはペットにできる?
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リビアヤマネコは許可が必要な特定動物ではありませんので、ペットとして飼うことはできます。
しかし、ペットショップにいるような種ではないため、一般の方が飼うのは難しいでしょう。
リビアヤマネコはほかのヤマネコに比べて人間に懐きやすいとされますが、それでも野生種です。
日本の自然環境を守るためにも、絶対に脱走させてはいけませんし、何よりリビアヤマネコが幸せに暮らせるようにしてあげなければなりません。
飼える可能性があったとしても、さまざまな準備と覚悟が必要で現実的とはいえないでしょう。
リビアヤマネコを展示している動物園はある?
残念ながら日本にリビアヤマネコを展示している動物園はありません。世界ではアメリカのバーミンガム動物園で展示されているようです。
なお、南アフリカのピラネスバーグ国立公園やボツワナのクガラガディー・トランスフロンティア公園など、生息地まで行き、運が良ければ野生のリビアヤマネコを見ることができます。
愛猫の祖先であるリビアヤマネコを幸せに
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リビアヤマネコが愛猫の祖先だと思うとがぜん興味がわいてくるのではないでしょうか。
数千年以上もの間、ほぼ変わらない姿で生き続けてくれていることも感慨深いものがあります。
日本にも数は少ないですが、ツシマヤマネコやイリオモテヤマネコなどヤマネコが生息しています。その子たちが絶滅することなく、生活の場所を奪われことなく、人間と共生できる世界であることを願います。