【獣医師執筆】猫に醤油を与えるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説

【獣医師執筆】猫に醤油を与えるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説

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醤油は人のための調味料ですので、猫に与えてはいけません。猫が醤油をなめてはいけない理由やリスク、間違ってなめてしまった場合の対応について解説します。

猫に醤油を与えるのはNG

醤油

醤油は大豆や塩などを発酵させて作る調味料です。食卓に出しておいた醤油を猫が舐めてしまった場合、少量であれば体に悪影響ということはありません。ただ、以下の3つに注意する必要があります。

  1. 塩分
  2. アレルギー
  3. 人向けに含まれる成分

1. 塩分に注意

皆さんご存じの通り、醤油には塩分が多く含まれます。醤油にはさまざまな種類がありますが、中でも日本の醤油生産量の8割以上を占める「こいくち醤油」の成分を詳しくみてみましょう。

こいくちしょうゆの成分(100gあたり)
エネルギー(kcal) 297
水分(g) 67.1
たんぱく質(g) 7.7
脂質(g) 0
炭水化物(g) 10.1
ナトリウム(mg) 5700
カリウム(mg) 390

人の場合ですと塩分過多は高血圧の原因になりますので、なるべく塩分を摂りすぎないように気を付けている方も多いと思います。同じように猫も塩分に気を付けたほうがいいと思う方も少なくないのですが、人と猫では体の作りが異なり、間違って舐めた少量の醤油で血圧の変化を心配する必要はありません。ただし、低塩分食が推奨されている慢性腎臓病の猫は食べてはいけませんし、現時点で健康な子でも塩分過多が長期にわたれば悪影響となります。

過剰摂取による血漿(けっしょう)高カリウム濃度が続くと、猫場合は心疾患、心不全へとつながる恐れがあります。逆に塩分を制限し過ぎても結石など塩分不足の悪影響が出てしまう場合もあります。猫は総合栄養食としてのキャットフードで過不足無く栄養を摂取できますので、飼い主さんの判断で個々の栄養素を増やしたり減らしたりしないようにしてください。

参照:三品美夏、渡辺俊文『正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動』(日本小動物獣医学会誌)
参照:小山秀一『犬および猫における水およびナトリウムの調節機構』(動物臨床医学)
参照:『ペット栄養管理学テキストブック』(日本ペット栄養学会)



2. アレルギーに注意

醤油は大豆からできていますので、大豆アレルギーのある猫は注意が必要です。製品によっては他にもアレルギー成分が含まれることもありますので、アレルギーの心配がある子が間違って舐めてしまった場合は必ず原材料を確認するようにしてください。

これまでアレルギーの心配が無かった子でも、舐めた後に嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が出ないか飼い主さんが様子を見てあげてください。異変がある場合は動物病院に行くようにしてください。その際、「いつ」「何を」「どれだけ食べたか」を伝えられるようにしておくと診察がスムーズになります。

3. 人向けに含まれる成分に注意

醤油は基本的に人向けに作られたものですので、商品によっては猫の健康を損ねる成分が含まれている場合もあります。予期せず猫が醤油を舐めてしまった場合は、アレルギー成分だけでなく、猫が中毒症状を引き起こす成分が含まれていないかチェックしてください。

猫には醤油を使った加工品もNG

佃煮

食卓に身近な醤油を使った加工品は、私たちの身の回りに多くあります。たとえば、おやつにぴったりの醤油せんべいやご飯のお供になる佃煮などです。うっかり猫が口にしてしまうこともあるかもしれませんが、これらも猫に与えることはやめておきましょう。醤油に含まれる塩分はもちろん、アレルギーのリスクや人間用の味付けが猫の健康に悪影響を与える可能性があります。


猫に醤油を舐めさせてはいけません

猫

日本の食文化に欠かせない醤油ですが、塩分が多く含まれていて、猫に与えることはおすすめできません。食卓にある醤油を何らかの拍子に誤って猫が舐めてしまうこともあるかもしれません。少量であればすぐに問題が起こることはないでしょう。

ただし、アレルギーや慢性腎臓病の子に塩分過多のリスクがあるなど、注意しなければいけないこともあります。必ず飼い主さんが様子を見て、異変があれば獣医師に相談するようにしてください。

その場で問題が起こらなかったとしても、醤油に限らず人向けの食べ物は猫の健康を考えて作られていません。栄養のバランスを崩したり、飼い主さんが予期しない猫にとっての中毒成分が含まれている可能性もあります。愛猫の健康のためにも醤油は舐めさせないように注意してください。

参考文献


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