プラッキングとは?頻度やナイフの使い方、注意点などテリア専門トリマーが解説
mmsu-ha代表の前野です。テリア専門でトリマーをしてきたため、今回はテリアのプラッキングについて、頻度やトリミングナイフの使い方、注意点などを紹介します。プラッキングは自宅でもできるので、ワンちゃんのコート管理を自分ですることで、テリアの綺麗なコート状態を保っていただければと思います。
プラッキングとは
プラッキングは、短期間でテリアの身体全体のコート(毛)を間引いて取り除くことにより、常に綺麗な状態を保つトリミング方法です。
コートを取り除くことによって毛の退色を防ぎ、毛質も硬くなります。
元々は、猟犬であったテリアが獲物を捕りに行く際に、外部からの物理的ダメージの軽減や雨などの水分を弾くためにプラッキングをしていました。
ストリッピングとプラッキングの違い
ストリッピングはコートを皮膚が見えるまで取り除き、ドッグショーなどの時期に綺麗な状態のピークを持っていくことを目的とするのに対し、プラッキングは全体の3割程度を定期的に取り除き、常時コートが綺麗な状態を保つことを目的としています。プラッキングをする犬種
エアデールテリア
キング・オブ・テリアと呼ばれ、テリアの中で最も大きな犬種です。ウェルシュテリア
テリアの中では毛量が少ないことが特徴です。通常はブラック&タンのごわごわした被毛を持っています。プラッキングして取れたコート
プラッキング後
レイクランドテリア
テリアの中では古い犬種です。「ブラック&タン」「レッド」「ウィートン」「レッド・グリズル」「レバー」「ブルー」「ブラック」の毛色を持っています。
ワイヤーフォックステリア
テリアの中で非常に古い犬種です。「ホワイト」の毛色が多く「ブラック」や「ブラック&タン」もあります。プラッキングして取れたコート
プラッキング後
ノーフォークテリア
ミニサイズのテリア犬種の一つです。「レッド」「ウィートン」「ブラック&タン」「グリズル」の毛色を持ちます。プラッキングして取れたコート
プラッキング中
ノーリッチテリア
ミニサイズのテリア犬種の一つです。「レッド」「ウィートン」「ブラック&タン」「グリズル」の毛色を持ちます。ジャックラッセルテリア
日本においてテリアの中で最も人気の犬種です。ホワイトの毛色が一般的ですが、ブラックやタンも存在します。
スコティッシュテリア
がっしりした体型が特徴のテリア犬種です。「ブラック」「ウィートン」「ブリンドル」の毛色を持ちます。ウエストハイランドホワイトテリア
ミニサイズのテリア犬種の一つです。毛色は「ホワイト」が一般的で、ケアン・テリアから派生したといわれています。
シーリハムテリア
テリア犬種の中では新しい犬種です。ホワイト一色か「ブラウン」「ブルー」も存在します。ワイヤーダックスフンド
テリア犬種ではありませんが、ダックスフンドのうち、毛質が粗いワイヤーヘアードを持つダックスフンドです。ブリュッセルグリフォン
テリア犬種ではありませんが、レッドや赤みがかったブラウンの毛質が特徴です。シュナウザー
テリア犬種ではありませんが、人気のシュナウザーもプラッキング犬種です。プラッキングの必要性
現代において、テリアにプラッキングの必要性があるかといえば、ありません。
一般家庭で暮らしているテリアはほぼ猟には行かないと思いますので、バリカンとハサミでカットしても大丈夫です。
ただ、テリアの本来の姿を「見たい」「魅せたい」方はプラッキングをすることをオススメします。
仕上がった時のカッコよさは、まさに彫刻のようです。ドッグショーにワンちゃんを出されたい方はプラッキングが必須になります。
プラッキングでよくある質問
プラッキングは皮膚を強くするって本当?
「プラッキングをすることによって皮膚が強くなるのか?」と、よく聞かれますが、皮膚は強くはなりません。毛が強くなるため、皮膚を守ってくれます。
犬にとってプラッキングは痛い?
「プラッキングしたらワンちゃんが痛いんじゃないの?」とよく言われますが、人間を例にしますと、髪の毛より腕や足の毛を抜く感じに近いかもしれません。
髪の毛はずっと伸びます。腕や足の毛はずっと短いです。ということは、少しの摩擦や衝撃で自然に抜けます。
少しずつ取り除けば痛みをそんなに感じません。
犬を例にすると「柴犬」や「チワワ」「ダックスフンド」などの換毛犬種の毛質よりも少し抜けにくいバージョンになります。
ちょっと引っ張れば抜けます。テリアの毛質はそういった毛質になります。
プラッキングの頻度
ご自宅で行う場合は、毎週か隔週に1回、サロンに依頼する場合は月1回が目安です。短い期間でプラッキングをすることでコート状態が綺麗に保てるためです。
パピーの頃(3カ月齢以上)からプラッキングをしておくことによりコートの質が良くなりやすいです。
1回でもバリカンやハサミなどで切るとコートの質が柔らかくなり、またコートの質を硬くするのに時間がかかります。
プラッキングはバリカンやハサミのトリミングに比べ時間がかかるため、シニアを超えたワンちゃんの場合には、負担となりますのでプラッキングではなく、バリカンやハサミのカットにされた方が良いでしょう。
プラッキングの料金
地域や犬種によってさまざまですが1万円〜3万円が目安です。時間は3時間〜5時間が目安です。
自宅でできるプラッキングの方法
自宅でのプラッキングはトリミングナイフを使用するため、皮膚にナイフを当てすぎないことを気をつければ、ハサミやバリカンを使うより安全です。綺麗にカットができなくて修正をしたい場合は、プラッキングができるプロのトリマーに預けることをオススメします。
作業工程は簡単で、アンダーコート用ナイフで下毛を取り除き、オーバーコート用ナイフで全体のバランスを整えます。
足裏、耳裏、肛門周りはバリカンで整え、それ以外はナイフで作業します。
使用する道具
用意するものは、アンダーコート用ナイフ、オーバーコート用ナイフ、ミニバリカン、コームです。足(パット)のお手入れ
足裏のカットは、バリカンを使うようにしましょう。ハサミは足が動きやすく危ないため、バリカンを使うことをオススメします。バリカンの刃の短いミリ数(約1mm)で、パットに対して平行に小さいパットから大きいパットに向かって、ゆっくりとパットから出ている毛を刈っていきます。
バリカンを常にONにしたままだと怪我をさせてしまう可能性があるため、バリカンを使う時のみスイッチをONにしてあげましょう。
また、ONにしたまま使用するとバリカンの刃が熱くなりやすく、やけどしてしまうことがあるので、注意しましょう。
プラッキングで注意すること
トリミングナイフの「刃を皮膚に当てすぎない」ことと、「少しずつ毛を取り除く」ことです。一気にまとまった毛を取り除くとワンちゃんに負担がかかります。皮膚の状態も確認しながらプラッキングをしましょう。
毛が抜けやすい犬種にオススメ
チワワやコーギーなど、トリミング犬種は、換毛期になると毛が部屋中で抜けてしまったり、シャンプー後のドライヤー時にすごい量の毛が宙を舞って掃除が大変ですよね。アンダーコートナイフで日頃からアンダーコートを抜いておけば、毛が抜ける量も少なくなりますし、夏場は愛犬も快適に過ごすことができるのでオススメです。
まとめ
テリアのプラッキングは短い期間で手をかけてあげればあげるほど綺麗になります。昔、プラッキング教室で教えていたお客様に「プラッキングは盆栽と一緒ですね。」と言われました。10年以上たくさんのテリアのプラッキングをした結果、改めてそう思います。