【獣医師監修・完全ガイド】猫に飛行機は乗れる?飛行機に乗るリスクや注意点を解説

【獣医師監修・完全ガイド】猫に飛行機は乗れる?飛行機に乗るリスクや注意点を解説

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近年身近になった飛行機。愛猫と一緒に帰省などで使いたい方も多いと思いますが、新幹線とどちらにするか悩む方もいるのではないでしょうか。今回は、猫を飛行機に搭乗させる際のリスクや大手航空会社各社の規定について紹介します。

猫は飛行機に乗ることができる?

猫飛行機_空港

条件を満たしていれば受け入れている航空会社もありますが、会社によってそれぞれ規定が異なります。

特に、真夏は熱中症、冬は凍傷の恐れがあることから猫の受け入れを行なっていない会社もありますので、夏休みや冬休みに飛行機での旅行を考えている方は事前に確認してください。

犬と飛行機に座席で乗れる飛行機がある

スターフライヤー

スターフライヤー

スターフライヤーは、2024年1月15日(月)より国内線全路線・全便でペットをケージに入れた状態で飛行機に同乗できるサービスへと拡大しました。指定のサイズのケージ(50㎝x40㎝x40㎝程度)に入る小型の犬及び猫が対象です。

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猫を飛行機に搭乗する際の対応

例外を除き猫は受託荷物として扱われます。客室へ連れて行くことはできません。

ケージやクレートごと預けたあと、貨物室に入れて運送されます。貨物室の中は一般に公開されておらず、離陸後は乗務員でも見ることができないエリアなので、完全に無人の状態で長時間放置されることになります。

飛行機に乗ることができない・オススメしない猫

手に抱えられた子猫

貨物室は生き物が過ごすことを前提として用意された場所ではありません。猫によっては乗せることが認められていなかったり、乗せると命が危険な場合があります。

航空会社の規定に具体的に明記されていなくても、愛猫の様子を見て飛行機に乗せることを避けるなど、飼い主さんがきちんと正しい判断をできるように知識を身につけておきましょう。

短頭の猫種

「ペルシャ猫」や「ヒマラヤン」「エキゾチックショートヘア」「バーミーズ」などのように鼻が短い短頭種は、熱中症や呼吸器官へ悪影響を及ぼす可能性が高いため飛行機に乗せることはできません。

過去に短頭種の動物が機内で死亡した事故も起きているため、ほとんどの航空会社で搭乗が拒否されています。

病気がある

飛行機の貨物室の環境は過酷です。乾燥しているだけでなく気圧や気温の変化も激しく、普段は発症しない疾患も発症しやすくなります。

万が一のことがあってもすぐに駆けつけて処置をすることができないので、病気がある猫のフライトは完治してからにしましょう。

子猫・高齢の猫

生後5カ月未満の猫と、7歳以上のシニア猫は免疫力や体力がないため、長時間フライトで受けるダメージが大きくなってしまいます。

普段元気に過ごしていても機内では何が起きるかわからないので、子猫やシニアの猫を飛行機に乗せることは選択肢から外しましょう。

2匹以上の猫を預ける

航空会社ではペットの頭数ではなくケージの数ごとに料金が設定されていることが多いですが、2匹以上預けるときには猫1匹につき1つケージを用意します。

長時間のフライトは想像以上にストレスフルな環境なので、たとえ仲のいい猫同士であっても2匹を同時に狭いスペースに入れることは危険です。航空会社の規定になくても1つのケージには1匹のみ入れるようにしてください。

また、乗客1人につき預けるケージは1つに限られていることもありますので、航空券購入前に確認しましょう。

猫と飛行機を利用する際の流れ(国内線の場合)

飛行機

1. 同意書にサインする

「フライト中に猫が怪我・死亡しても航空会社は責任を負わない」という旨の同意書にサインします。

2. 猫を預ける

航空会社の規定に沿ったケージに入れて預けます。普段使っている毛布やおもちゃを入れることは可能です。

夏場、温度を下げるために保冷剤を入れてもいいですが、長時間フライトの場合は保冷剤が温まって逆効果になったり猫が噛みちぎってしまう可能性もあるので、安全が保証されているもののみにしましょう。


3. 猫を受け取る

国内線の場合は到着ロビーにある荷物受け取りエリアでの受け取りが多いです。

猫と飛行機を利用する際の流れ(国際線の場合)

空港

1. 入国条件を確認する

猫が入国する際には、マイクロチップの装着や予防接種などの証明や入国許可証が必要になります。

これらは各国の在日本大使館などで確認することができます。各証明書の言語や入国許可証のフォーマットも国により異なりますので、必ず事前に確認しましょう。

2. 検疫を受けさせる

日本を出国する際は動物検疫所で検疫を受け、輸出検疫証明書を発行してもらう必要があります。

出国の7日前までが目安となっていますが、入国する国によって申請時期が異なる場合もあります。

3. 同意書にサイン

「フライト中に猫が怪我・死亡しても航空会社は責任を負わない」という旨の同意書にサインします。

4. 猫を預ける

航空会社の規定に沿ったケージに入れて預けます。普段使っている毛布やおもちゃを入れることは可能です。

夏場、温度を下げるために保冷剤を入れてもいいですが、長時間フライトの場合は保冷剤が温まって逆効果になったり猫が噛みちぎってしまう可能性もあるので、安全が保証されているもののみにしましょう。

5. 検疫を受ける

これは目的の国に到着した際に受ける検疫です。

日本出国前は飼い主が動物検疫所検疫に猫を直接連れて行きますが、別の国に入国する場合には自動的に検疫を受けることになっている国が多いです。

国によっては何日・何週間もの時間を要する場合がありますので、おおよその所要日数を確認しましょう。

6. 猫を受け取る

着陸後に送られた検疫所にて受け取ります。

猫を飛行機に乗せる場合の大手航空会社の規格

航空会社によっても、国際線か国内線かによっても規定が異なりますが、いずれにしてもケージやクレートに入れた状態での輸送になり、場所の確保のため事前連絡が必要となります。

時期によって変更となる可能性があるため、利用する際は必ず各航空会社のホームページ等をご確認ください。

ANA(国内線)

ケージ ・個人で用意したペットケージか、貸し出し用ペットケージを利用
・個人で用意した場合は、IATA(国際航空運送協会)の規定に適合したプラスチックや金属製のケージであること
・サイズはペットがケージの中で「立つ」「座る」「寝そべる」「回転できる」など、十分に動けるスペースがあるもの
料金 ペットケージ1つにつき、1区間あたり6,500円(一部路線は4,500円)
特筆事項 5月1日〜10月31日の期間は、ペットケージに保冷剤、給水器を取り付けるサービスを申込可能


ANA(国際線)

ケージ 飛行機1機につき3檻まで
・コンテナ(檻)の3辺(縦・横・高さ)の和が292cm(115インチ)、もしくはペットとコンテナの総重量が45kg(99ポンド)を超える場合は搭乗不可
・硬い材質を使った、丈夫かつ底面から水漏れしない構造、ドア以外の3面に通気口が設けてある、安全ロック付き、ドアの内側に適切なごはん入れの箱または皿や、給水器が付いているケージであること
料金 ペットケージ1個につき1区間あたり2万5000〜4万円が目安
特筆事項 犬または猫を日本に連れてくる場合は、日本到着の40日前までに、動物検疫所への事前通知が必要


JAL(国内線)

クレート ・個人で用意したクレートか、貸し出し用クレートを利用
・個人で用意したクレートがペットの安全な輸送に適当でないと判断された場合や、貸し出し用クレートの用意ができなかった場合は、搭乗便を変更される可能性あり
・ペットと他の受託手荷物を含め、合計100kgまで
・ペットとクレートの合計重量は32kgまで
料金 ペットクレート1個1区間あたり4,400円~6,600円
特筆事項 乗り継ぎがあり、乗り継ぎ時間が長い場合は、ペットにごはんや水を与えることができます。出発空港で預ける際に申請が必要です。


JAL(国際線)

クレート 以下の条件を満たすクレートを個人で用意する必要あり
・ペットが立ち上がったり横になったり、動き回ったりすることが可能な大きさのもの
・硬質プラスティク製かグラスファイバー、木製などの強い素材であり、水漏れしないもの
・換気が十分にできるもの
・底面以外が金網状または格子状となっている鳥かごタイプのクレートは不可
・ペットが外に出られないように施錠できるもの
料金 チェックイン時にサイズなどを図ってからの提示
特筆事項 飛行機の種類によって搭載できるクレートの数に制限があるため、問い合わせ必須


猫を飛行機に乗せるために必要なグッズ・準備

クレート/ゲージ


丈夫かつサイズ展開も豊富です。車酔いもしにくく、安全でおすすめです。

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給水器


アイリスオーヤマ 給水ボトル

猫をクレートから出すことはできないため、隙間から飲めるタイプの給水器だと便利です。

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愛猫の匂いがついたタオルやブランケット

夏季にブランケットは必要ありませんが、自分の匂いがついたタオルやブランケットは少なからず安心材料の一つになります。

同意書を記入しておく

ペットとの飛行機での移動には、必ず各航空会社から同意書の記入が求められます。

事前に各航空会社の公式サイトでダウンロードし、記入しておくと受付がスムーズに行えます。

国際線の場合は各書類の準備を

ペットの出入国手続きは、国によってルールが異なります。

出入国に必要な書類には「輸出検疫証明書」や「出入国許可書」「健康証明書」「輸入証明書」などがありますが、これらの書類は、飼い主さん自身で出発国・渡航先の検疫所・大使館・領事館などに確認をして、事前に準備しなければなりません。

猫が飛行機に乗る際のリスク

クレートの中の猫

猫はもともと移動を好まない動物です。実は車などでの移動でも大きなストレスを感じる猫はとても多いので、さらに飛行機となると、経験したことのない環境に置かれた不安や恐怖で体調を崩す可能性も考えられます。

搭乗前に同意書へのサインが必要なことからもわかるように、猫が飛行機に乗る際には多くのリスクが伴うことを知っておきましょう。

気温や湿度、気圧の変化も大きいため体力の消耗も激しく、精神的なストレスだけでなく肉体的にもさまざまな問題を引き起こすことへの配慮もしてあげる必要があります。

猫との旅行は飛行機以外も検討しよう

猫

フライトは何か事情を抱えた猫だけでなく、元気で健康な猫にとっても大きな負担となります。

少し時間がかかっても陸路での接続があるなら、ほかの交通手段を検討した方がいい場合もありますし、ペットホテル等に預けるなどの手段もあります。

本当に仕方がない場合以外は飛行機にこだわらず、猫の健康を第一に考えたプランを組み立てましょう。