
近年身近になった飛行機。愛猫と一緒に帰省などで使いたい方も多いと思いますが、新幹線とどちらにするか悩む方もいるのではないでしょうか。今回は、猫を飛行機に搭乗させる際のリスクや大手航空会社各社の規定について紹介します。
この記事のまとめ
- ANA・JALの国内線では、猫は客室に持ち込めず、貨物室に預ける「受託手荷物」になる
- 国際線は渡航先の入国条件の確認と、動物検疫所への輸出検査申請(輸出日の14日前まで)が必要
- 貨物室は暑さ・寒さや気圧の変化が大きく、猫には大きな負担。飛行機以外の手段やお留守番も検討を
猫は飛行機に乗ることができる?
条件を満たしていれば、猫を飛行機に乗せることはできます。ただし、乗せ方や料金、条件は航空会社によって異なります。
特に真夏や真冬は、貨物室への積み込みや取り降ろしの際に暑さ・寒さの影響を受けやすくなります。夏休みや年末年始に飛行機での移動を考えている方は、事前に条件を確認しておきましょう。
ANA・JALでは貨物室に預ける
ANAやJALの国内線では、猫は客室に持ち込めず、受託手荷物として貨物室に預けます。
ケージやクレートごと預けたあとは貨物室に搭載されるため、到着するまで飼い主さんが様子を見ることはできません。飛行中は貨物室の照明が消えて暗くなり、エンジン音や風切り音も聞こえる環境です。
スターフライヤーなら客室に同乗できる
スターフライヤーでは、機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」を利用すれば、国内線の全便で猫と一緒に客室に乗れます。
機内では原則として最後列の窓側の席にケージを固定し、飼い主さんは隣の席に座ります。飛行中もすぐそばで様子を確認できるので安心です。なお、機内でケージから出すことはできません。
| 対象 | 指定サイズのケージ(高さ75×横幅43×長さ55cm以内)に入る小型の犬・猫 |
|---|---|
| 対象便 | スターフライヤー国内線全便 |
| 料金 | 1匹50,000円(飼い主さんの運賃は別) |
| 予約 | 公式サイトから搭乗日2日前まで(支払いはクレジットカードのみ) |
| 主な条件 | 混合ワクチン(3種以上)の接種証明書、ペット用マナーウエア(おむつ)の着用、出発1時間30分前までのカウンター手続きなど |
飛行機に乗せないほうがよい猫
貨物室は、生き物が過ごすことを前提とした場所ではありません。猫によっては、預かりを断られたり、乗せると命に危険が及んだりする場合があります。
航空会社の規定に書かれていなくても、愛猫の様子を見て飛行機に乗せるのを避けるなど、飼い主さんが正しく判断できるように知識を身につけておきましょう。
短頭の猫種
「ペルシャ」や「ヒマラヤン」「エキゾチックショートヘア」などの鼻が短い猫種は、暑さに弱く、呼吸器にも負担がかかりやすいため注意が必要です。
ANAやJALでは、ブルドッグなどの短頭犬種の預かりを制限しています。短頭の猫種は対象外ですが、同じように熱中症や呼吸困難のリスクが高いので、飛行機での移動はできるだけ避けましょう。
病気がある
飛行機の貨物室は、乾燥しているだけでなく気圧や気温の変化も大きく、普段は発症しない病気も発症しやすくなります。
ANAでは、心臓や呼吸器に病気がある場合や、鎮静剤を使っている場合は預かりの対象外です。万が一のことがあってもすぐに駆けつけて処置することができないので、病気がある猫のフライトは治ってからにしましょう。
子猫・シニア猫
ANAでは生後4カ月未満、JALでは生後8週未満の子猫は預けられません。
また、体力や免疫力が落ちているシニア猫も、長時間のフライトで受けるダメージが大きくなります。普段元気に過ごしていても機内では何が起きるかわからないので、慎重に判断しましょう。
2匹以上の猫を預ける
ANA・JALとも、ケージ(クレート)1つにつき猫は1匹です。ペット同士の攻撃によるけがを防ぐため、仲のいい猫同士でも一緒には入れられません。
2匹以上を預けるときは、猫の数だけケージを用意し、料金もケージの数だけかかります。貨物室のスペースには限りがあるので、航空券を買う前に確認しましょう。
猫と飛行機を利用する際の流れ(国内線)
ANA・JALの国内線で猫を預ける場合の、おおまかな流れを紹介します。
1. ペットの事前予約をする
航空券を予約したら、ペットの事前予約をしておきましょう。ANAは公式サイトや電話で、搭乗日前日まで予約できます。ケージの大きさや、猫とケージを合わせた重さを事前に確認しておくとスムーズです。
2. 同意書にサインして猫を預ける
当日はカウンターで、「輸送中に猫がけがをしたり死亡したりしても、原因によっては航空会社は責任を負わない」という内容の同意書にサインし、ケージごと猫を預けます。
JALでは出発時刻の40分前を目安に預けるよう案内しています。早く預けすぎると待ち時間が長くなり、ぎりぎりだと急な温度変化で負担がかかります。
ケージには、普段使っている毛布やおもちゃを入れられます。夏場に保冷剤を入れる場合は、猫がかじって破らないように注意しましょう。
3. 猫を受け取る
到着後は、到着ロビーの手荷物受け取りエリアなどで猫を受け取ります。受け取ったら、すぐに様子を確認してあげましょう。
猫と飛行機を利用する際の流れ(国際線)
国際線で猫を連れて行く場合は、航空会社の手続きに加えて、出入国の検疫手続きが必要です。
1. 渡航先の入国条件を確認する
猫が入国する際には、マイクロチップの装着や狂犬病の予防接種、血清検査などが求められることがあります。条件は国によって異なるので、渡航先の動物検疫機関や在日大使館に確認しましょう。
2. 動物検疫所に輸出検査を申請する
日本を出国する際は、動物検疫所で輸出検査を受け、証明書を発行してもらう必要があります。輸出検査の申請は、輸出日の14日前までです。オーストラリアやニュージーランドなど、さらに早い準備が必要な国もあります。
3. 航空会社に予約し、猫を預ける
航空機に搭載できるケージの数には限りがあるため、国際線でも事前予約が必要です。当日は同意書にサインし、ケージごと猫を預けます。
4. 渡航先で検疫を受ける
到着した国で輸入検疫を受けます。国によっては何日・何週間もかかる場合があるので、おおよその所要日数を確認しておきましょう。
5. 日本に戻る場合は事前届出を
猫を連れて日本に帰国する場合は、日本到着の40日前までに、到着する空港の動物検疫所へ届出が必要です。出国前から帰国時の条件も確認しておきましょう。
猫を飛行機に乗せる場合の大手航空会社の規定
航空会社によっても、国内線か国際線かによっても規定は異なります。いずれもケージやクレートに入れた状態での輸送になり、貨物室のスペース確保のため事前予約が必要です。規定は変更されることがあるので、利用する際は必ず各航空会社の公式サイトで確認してください。
ANA(国内線)
| 料金 | ケージ1個1路線あたり6,600円(一部路線は4,400円) |
|---|---|
| 預けられない場合 | 生後4カ月未満、妊娠中、心臓疾患・呼吸器疾患がある、鎮静剤を使用しているなど |
| ケージ | IATA規定に適合した硬質プラスチック製・金属製などの丈夫なケージ(貸し出しあり)。原則1ケージに1匹 |
| 予約 | ANA公式サイト・ANAあんしんご予約デスクで搭乗日前日まで |
| 夏季の対応 | 5月1日〜10月31日はケージに保冷剤・給水器を取り付けるサービスあり |
JAL(国内線)
| 料金 | ペットクレート1個1区間あたり5,500円〜7,700円(路線・搭乗日により異なる) |
|---|---|
| 預けられる条件 | 生後8週間以上、妊娠中ではない、産業用・商業用ではないなど |
| クレート | 自分で用意したクレートか、貸し出し用クレートを利用。原則1クレートに1匹 |
| 重量 | ペットとクレートの合計が32kg以上の場合は貨物扱い |
| 注意点 | 給水器は自分で設置する。預けたあとは係員による食事や水やりはない |
ANA・JAL(国際線)
国際線も、受託手荷物として貨物室に預けるのが基本です。料金は路線やケージの大きさによって異なり、機材によって搭載できるケージの数やサイズにも制限があります。必ず事前に各社へ問い合わせて予約しましょう。
猫を飛行機に乗せるために必要なグッズ・準備
猫を飛行機に乗せる前に、次のグッズや書類を準備しておきましょう。
航空輸送に対応したクレート
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航空輸送用のクレートとして定番のバリケンネル。IATA(国際航空運送協会)の基準をクリアした丈夫なハードタイプです。
Sサイズは小型犬・猫用で、一般的な体格の猫にちょうどよい大きさ。使わないときは上下を重ねてコンパクトにしまえます。
| ブランド | ペットメイト(Petmate) |
|---|---|
| 外寸 | W40.6×D53.3×H38.1cm |
| 内寸 | W30×D42×H35cm |
| 重量 | 約2.5kg |
| 対応体重 | 〜6.8kg |
給水器
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預けたあとは、航空会社の係員が水を与えることはありません。JALでは給水器を自分で設置するよう案内しているので、クレートに取り付けられる給水ボトルを用意しておきましょう。
ペットボトルに取り付けて使うタイプで、クレートやケージの扉に固定できます。
| ブランド | アイリスオーヤマ |
|---|---|
| サイズ | 約W11×D16×H6cm |
| 重量 | 約110g |
| 素材 | [ノズル・ホルダー・ストッパー]ABS樹脂[吸口]真鍮(メッキ加工) |
愛猫の匂いがついたタオルやブランケット
自分の匂いがついたタオルやブランケットは、慣れない環境での安心材料になります。夏場は厚手のものを避け、薄手のタオルを入れてあげましょう。
同意書を記入しておく
ペットを飛行機に乗せる際は、各航空会社から同意書の記入が求められます。事前に公式サイトからダウンロードして記入しておくと、当日の手続きがスムーズです。
国際線の場合は各書類の準備を
ペットの出入国手続きは、国によってルールが異なります。輸出検査証明書のほか、渡航先によっては輸入許可証や健康証明書、ワクチンの接種証明書なども必要です。渡航先の条件を確認し、余裕をもって準備しましょう。
猫が飛行機に乗る際のリスク
猫はもともと移動を好まない動物です。車での移動でも大きなストレスを感じる猫は多く、飛行機となると、経験したことのない環境に置かれた不安や恐怖で体調を崩す可能性も考えられます。
貨物室は空調で管理されていますが、積み込みや取り降ろしは屋外で行われるため、季節によっては気温や湿度が大きく変わります。また、飛行中の気圧は0.8気圧程度(標高2,000mの山頂と同じくらい)になり、耳などに影響が出るおそれもあります。
搭乗前に同意書へのサインが必要なことからもわかるように、猫を飛行機に乗せる際には多くのリスクがあることを知っておきましょう。
さいごに
フライトは、病気などの事情がある猫だけでなく、元気で健康な猫にとっても大きな負担になります。
少し時間がかかっても陸路で移動できるなら、ほかの交通手段を検討したほうがよい場合もありますし、ペットホテルやペットシッターに預ける方法もあります。どうしても必要な場合以外は飛行機にこだわらず、猫の健康を第一に考えたプランを立てましょう。