【獣医師執筆】猫は小松菜を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫は小松菜を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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日本の食卓に馴染みの深い小松菜は、猫が食べても大丈夫な食材です。小松菜と比較されやすい野菜であるほうれん草は、含有するシュウ酸が懸念され、生で与えることは推奨されていません。では、小松菜はどうなのでしょう。今回は、猫に小松菜を与える際の注意点や、アレルギーについてなど解説します。

猫は小松菜を食べても大丈夫

小松菜

小松菜はアブラナ科の野菜で、火を通せば猫も食べることができます。緑黄色野菜として比較されやすいのがほうれん草です。外見も調理方法も似ているため「違いなんてあるの?」と思われがちですが、小松菜はほうれん草よりもアクが少なく、シュウ酸の含有量はほうれん草と比べ1/15ほどしかありません。

尿路結石症を引き起こす原因になり得るシュウ酸の含有量が少ないので、小松菜を生の状態で食べてしまっても少量であれば過剰に心配する必要はありません。

猫が食べて大丈夫な小松菜の栄養成分

小松菜には、ビタミン類やβカロテン、食物繊維などが豊富に含まれているため肝臓の働きもサポートしてくれます。小松菜の主な栄養素を確認してみましょう。

  • βカロテン
  • 「目のビタミン」とも言われ、白内障の予防や角膜の健康維持に重要です。また、皮膚や被毛の健康状態を保つ効果もあります。

  • ビタミンC
  • 人の場合、最も要求量の多いビタミンですが、健康な猫の場合は体内でビタミンCを生成できるため、必須ビタミンとはいえません。しかし抗酸化成分として、加齢や運動による酸化ストレス、関節炎などに関連する病気の予防、および治療に役立ちます。

  • ビタミンE
  • ビタミンEは抗酸化作用があります。細胞膜トラブルの原因となる活性酸素や過酸化物に対抗し守ってくれます。細胞膜が壊れてしまうと皮膚病やガン、消化器疾患などさまざまな病気になってしまう可能性があります。

  • カルシウム
  • 別名「天然の精神安定剤」とも呼ばれているカルシウムは、骨や歯を丈夫にするだけではなく、神経や筋肉の活動を円滑に進むようにサポートをする役割をします。

  • シュウ酸
  • 猫にとってシュウ酸は有害です。シュウ酸はシュウ酸カルシウム結石になり、尿路結石症などを引き起こす可能性があります。シュウ酸は水に溶けやすいので、茹でた後で水にさらすとある程度は除去することができます。小松菜の含有量は非常に少ないため過剰に心配する必要はありません。


尿路結石症とは?

尿路結石症とは、尿の通り道に結石という小さな石の塊のようなものができてしまい、尿を体外へ排出できない状態を指します。排出できないと体の中に尿が止まってしまい、腎臓に大きな負担がかかります。

最悪の場合腎臓が機能しなくなり、尿毒症(腎臓が機能しなくなり、体外へ老廃物や毒素を排出できない症状)という病気になり死に至る可能性もあります。腎臓の不調は気が付きにくいことで有名です。以下の症状が見られたら、動物病院で相談するようにしましょう。

  • 頻尿になる
  • (トイレをする姿勢になってから)尿が出るまでに時間がかかる
  • おしっこをする時に痛そう(鳴く、震えるなど)
  • 食欲がない
  • おしっこに血が混じっている

猫に小松菜を与える際の注意点

小松菜

基本的に猫に与えても大丈夫な小松菜ですが、いくつか注意点もあります。

与えていい量

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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甲状腺に問題がある猫は避ける

アブラナ科である小松菜には、ゴイトロゲン(グルコシノレート)という成分が含まれています。ゴイトロゲンは、ヨウ素の吸収を阻害するといわれています。必要とする甲状腺ホルモンの分泌に影響し、甲状腺に負担をかけるといわれています。

そのため、甲状腺に問題がある猫の場合も、食べることは避けたほうが良いでしょう。アブラナ科の食物を大量摂取したことによって、猫の甲状腺の機能が低下したという臨床報告は見受けられませんが、元々甲状腺に疾患のある場合は念のため注意しましょう。

食物アレルギーに注意

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。

初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 元気がない
  • 目の充血

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。


生の小松菜は与えない

生の小松菜にはシュウ酸が含まれています。ほうれん草よりは少ないのですが、結石の原因となる可能性がある以上は、生の状態で与えない方が良いでしょう。一度火を通した方が消化もしやすくなります。

猫に小松菜はおやつ程度に

ねこ

「愛猫にも健康的な食事を与えたい」とご飯を手作りする飼い主さんも増えてきました。しかし栄養の偏りなどが起きてしまうと、逆効果となってしまう可能性があります。

猫は肉食動物なので、小松菜などの野菜を与えすぎると消化の段階で負担になってしまうこともあります。総合栄養食のキャットフードに加える程度にしましょう。

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