【獣医師執筆】猫はきゅうりを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説
きゅうりは猫が食べても大丈夫な野菜です。「栄養のない野菜」と言われることもありますが、水分量が多いため水分摂取が苦手な猫のおやつやごはんのトッピングに最適です。かさ増し食材としてダイエットにも向いています。与える際の注意点やきゅうりを見た猫が驚く理由について解説します。
猫はきゅうりを食べても大丈夫
きゅうりは猫が食べても大丈夫な野菜です。95%以上が水分で「世界一栄養のない野菜」と言われていますが、カリウム、βカロテン、ビタミンK、ビタミンCを含み、脂肪分が非常に少ない低カロリーな食材です。
きゅうりに含まれる栄養素
エネルギー | 13kcal |
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水分 | 95.4g |
糖質 | 1.9g |
カリウム | 200mg |
βカロテン | 330μg |
ビタミンK | 34μg |
ビタミンC | 14mg |
食物繊維 | 1.1g |
※100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)
カリウム | 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。 |
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βカロテン | βカロテンはビタミンAの前駆体ですが、猫は体内で合成することができません。ビタミンAは健康な被毛を保ち、視力維持にも役立ちます。不足することで免疫力の低下や骨の形成不全につながります。 |
ビタミンK | ビタミンKは血液凝固や骨の形成に欠かせません。犬や猫は腸内細菌によって体内で合成されるため、食事から補給する必要性は低いとされています。 |
ビタミンC | 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。犬は体内で合成することが可能です。 |
食物繊維 | 腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したりします。水溶性は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性は便秘の改善などの効果が期待できます。 |
猫にきゅうりを与える際の注意点
きゅうりは栄養が豊富なわけではありませんが、食感を楽しんだり、水分補給の代わりになったりします。しかしきゅうりにもアレルギー反応を起こしてしまう可能性があるので、初めて猫に与える時には少し注意してあげる必要があります。
01【猫にきゅうりを与える際の注意点】アレルギー
食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。
02【猫にきゅうりを与える際の注意点】嘔吐や下痢
きゅうりには90%以上の水分が含まれており、体を冷やす野菜でもあります。夏に暑さ対策のためにきゅうりを食べさせることは理にかなっているのですが、度がすぎると下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性があります。胃腸の強さは猫の体質によるので、アレルギーがないことが分かっていても最初は少量からスタートさせましょう。
03【猫にきゅうりを与える際の注意点】窒息
与えたきゅうりが大き過ぎると、勢いよく食べた時に喉に詰まったり、咀嚼が足りず胃腸の負担になったりしてしまう可能性があります。特に猫の口は小さめなので、食感が楽しめる程度に小さく切ってから与えてあげるとよいでしょう。猫にきゅうりを与える頻度や量
前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。
おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
きゅうりは100gで14Kcalと非常に低カロリーな食材ですが、水分量が多く体を冷やす食材であるため食べ過ぎればお腹を壊してしまいます。その子にあった「適量」を食べさせてあげましょう。
猫はなぜきゅうりに驚くのか
以前ネット上で、きゅうりを使って猫を驚かせる動画が流行りました。ごはんを食べたりのんびりしたりしている猫の背後にきゅうりをそっと置き、気付いた猫が驚いて飛び上がるというものです。「なぜ無害なきゅうりに驚くの⁉︎」というギャップと、猫のジャンプ力が話題になったようです。
なぜきゅうりに驚くのかは詳しいことは分かっていませんが「きゅうりだから」というより、いきなり現れた不審なものに対しての驚きが強いようです。また、細長いきゅうりは捕食者であるヘビを連想させることから、噛まれないように飛び上がる回避行動をしているのではと考えられます。
猫は基本的に未知のものに対しての警戒心が強い傾向にありますが、中にはあっけらかんとして驚かない猫もいるなど反応はそれぞれのようです。ただ、面白半分で猫のストレスになるようなことを行うのはやめましょう。
アメリカの認定動物行動学者であるジル・ゴールドマンは、ナショナルジオグラフィックの記事で「動物にストレスを与えるのは良いこととは言えません。笑いのためにそれをするなら、あなたの人間性を疑います」とコメントしています。
※参照:「People Are Scaring Their Cats with Cucumbers. They Shouldn’t.」(NATIONAL GEOGRAPHIC)
猫にきゅうりは与えてOK、怖がらせるのはNG
猫にとってきゅうりは有害なものではありませんが、驚かせて猫がびっくりした姿を楽しむのは少し悪趣味かもしれません。無害なきゅうりに飛び上がって驚く不思議な行動は、確かに興味深いことですが、猫のストレスをわざわざ作る必要はありません。きゅうりを食べさせる時は注意点に気をつけて与えてあげてください。
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