犬の目やにが多いのは病気? 色別の原因や取り方などを獣医師が解説

診察室で飼い主さんに、「眼に関することで気になることはありますか?」と尋ねると、こんなご質問をよく耳にします。「うちの子、目やにがよく出るのよ。取っても、気付くとまた目やにが付いているんです。これって何かの病気かしら?」。これに対して、必ずお聞きするのが「その目やにはどんなタイプのものですか?」です。目やにの有無は飼い主さんが気付きやすい変化ですが、犬の場合、目やにが出ているからといって必ずしも何かの病気を患っているとは限りません。今回は「犬の目やに」の原因や取り方について、どうぶつ眼科EyeVetの吉岡が解説します。

犬の目やにとは

医療用語で目やにのことを眼脂(がんし)と言い、目頭やまぶたなどについた分泌物のことを意味します。生理的な目やにとは、眼の表面やまぶたの裏側に入ったゴミやホコリなどの異物、老廃物を外に出すために涙の成分が、それらを包んだ状態のことです。風の強い日に外出したり、公園やドッグランで遊んだりした後は、いつもより目やにの量が増えるかもしれません。

犬はまぶたの裏側がポケットのように深くなっており、そこに目やにを溜め込むことがあります。目頭に付いた透明または白色や灰色のゼリー状の濡れたタイプ、茶色や黒色の乾燥しているタイプの目やには、生理的なものであることが多く特に問題ありません。

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内眼角部に付着した乾燥した目やに

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灰色のゼリー状の濡れたタイプの目やに

病気の目やに

涙は眼の表面を潤すだけでなく、抗菌作用や眼に必要な酸素や代謝物を供給する働きがあります。涙の成分自体のトラブルや、病気の際には分泌状態が変わり、目やにとして見られるようになります。そのため、目やにはいろいろな病気のサインの一つであることもあります。眼がしょぼしょぼしていたり、白目が赤く充血したり、眼をこすったりする様子が見られます。いつも違う量やタイプの目やにが数日間続けて出る場合は、動物病院を受診することをお勧めします。

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どんな色?

黄色や緑色の目やにが出るときは、眼瞼炎や結膜炎などで細菌感染を起こしている可能性があります。またドライアイ(乾性角結膜炎)、角膜潰瘍、緑内障、白内障、ぶどう膜炎などの治療が必要な病気の可能性もあります。

どんな症状?

病気の目やには、生理的な目やにと違ってドロっとしていてベタベタするような粘り気のあるタイプがたくさん出ます。目頭だけでなくまぶた全体に付くことがあります。出始めは湿っていますが、時間がたつと乾いてまつ毛や目の周りの毛や皮膚にこびりつきます。

どんな治療が必要になるの?

病気や症状、目やにの種類によって異なりますが、多くは点眼薬が必要になります。目やには症状の一つなので、基礎疾患や細菌感染を治療することで量が軽減していきます。

点眼をする際には、犬の正面からではなく、背後から抱くような形で行うと上手くいきます。片方の手で犬の顎を持ち、必ず上を向かせます。もう片方の手で点眼薬を持ちながら上まぶたを引き上げて、点眼薬の容器の先端が眼やまぶたに触れないように気を付けながら、滴下します。1回の点眼は1滴で十分です。数滴さしても、眼の中に浸透していく量は限られているため、多くは溢れてしまいます。点眼が上手にできた後は、頑張ったことをよく褒めてあげましょう。

目やにのケア

目やにが出ているときは、こまめに拭き取り目の周りを清潔に保ちましょう。濡れたタイプのものであれば、ティッシュやコットンでも簡単に拭き取ることができます。無理に取ろうとすると嫌がる場合があるので、乾燥したタイプやまつ毛やまぶたにこびりついてしまった目やにを取る時には、ガーゼやコットンなど濡らしてパックするようにしばらく押し当てます。そうして、目やにをふやかしてから優しく拭くと簡単にきれいに取ることができます。

目やにが溜まって固まってしまい、ご自宅でのケアが難しい時には動物病院でケアをお願いしましょう。目やにが出ているからといって飼い主さんが無理に眼を洗浄してしまうと、かえって目やにが増えたり眼の病気が悪化したりすることがあるので、必ず獣医師の指示に従ってください。

治療で点眼薬を使用する際は、できるだけ目やにを取った後に点眼することをお勧めします。痒みの原因になることがあるので、点眼後は余分な液剤がまぶたに残らないように拭きとりましょう。

まぶたや目やにを拭くための商品もあります。

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これは滅菌された蒸留水にコットンを浸してあるタイプで、眼の中に液剤が入ってしまっても安心して使用することができます。市販品の中には眼やまぶたの皮膚に刺激となる成分が含まれていることがありますので、使用する際はお気を付けください。

その目やには病気のサインかも

犬


人と異なり、犬では生理的な目やにが多く見られます。しかし、目やには色んな病気の初期症状として出ることもあります。病気に早期に気付き、対応できるのは飼い主さんだけです。いつもと違う眼の様子が見られたり、黄色や緑色の粘り気のある目やにが出たりした場合は、動物病院を受診しましょう。

第2稿:2018年10月15日 公開
初稿:2016年1月12日 公開